2014/10/22
保育園に学ぶ防災対策
これはさいたま市内の私立保育園に看護師として勤務する妻から聞いた話なのですが、妻が勤務する保育園では毎月避難訓練を行っていて、その避難訓練も“抜き打ち”で行うのだそうです。いつ訓練をやるのか、どんな災害を想定して訓練をやるのか等については、園児はもちろんのこと保育士をはじめとした職員にも事前にはいっさい知らされておらず、園長とごく一部の職員だけの秘匿事項になっているのだとか。まさに“抜き打ち”の訓練です(妻は避難訓練の実施責任者の1人だから知っているのだそうですが…)。
厚生労働省管轄の保育園や保育所では、児童福祉法と消防法により、避難訓練の実施が義務付けられています。児童福祉法の中の児童福祉施設最低基準(第6条)という法令で、少なくとも毎月1回は各種災害を想定した避難訓練を行わなければならない…と規定されています。
消防法では保育園や保育所、幼稚園は特定防火対象物という施設として規制され、消防法(第8条)と消防法施工令(第4条)という法律で年2回以上の避難訓練の実施が義務付けられています。ちなみに、文部科学省管轄の幼稚園は、幼稚園設置基準という法律はありますが、この中では避難訓練については特に規定されていません。従って、文部科学省管轄の幼稚園は消防法の規定のみが適用され、年2回以上の避難訓練を実施すればいいということに法律上はなっています(東日本大震災以降、自主的に毎月避難訓練を実施する幼稚園も増えてきているのだそうです)。
最近ではあまりテレビや新聞などで報道されることはありませんが、実はこの保育園(保育所)における日頃の避難訓練の成果が3年前の東日本大震災で発揮されたのだそうです。
東日本大震災で、岩手県、宮城県、福島県の3県で被災した保育園(保育所)は722ヶ所あったのですが、このうち、津波等で全半壊した保育園(保育所)は78施設。不幸にして乳幼児が亡くなった施設が1施設あり、クルマで避難中に3人の幼い園児が津波に襲われ犠牲になりました。東日本大震災では、巨大地震やそれによって引き起こされた津波により、死者・行方不明者あわせて約19,000名に及ぶ多くの尊い命が失われたのですが、そういう中にあって、保育園(保育所)での保育中だった園児や職員で避難時に亡くなったのが、宮城県山元町立東保育所の3人の園児にとどまったのが、奇跡とも言われています。当初は保育中の園児、職員の犠牲者がゼロと言われていましたが、その後の調査で3人の園児がクルマで避難中に津波に襲われて犠牲になっていたことが判明しました(合掌……)。それでも全犠牲者数から見ると、素晴らしいことだと私は思います。
妻は東日本大震災以降、保育園の防災対策の見直しを担当し、その中で被災地の保育園(保育所)の園長先生の講演を何度か聴きに行ったことがあるそうなのですが、これだけの被害で済んだことには、保育園(保育所)ならではの“あること”も大きく影響を与えたということのようです。
皆さん、ご存知ですか? 保育園(保育所)にあって、幼稚園にないもの。
それって“お昼寝”です。これが保育園と幼稚園の一番大きな違いと考える方も多いのではないでしょうか。子供を預かる時間の長い保育園(保育所)では、昼食後、約1時間半ほどのお昼寝(午睡)を取るのが一般的です。実はこのお昼寝(午睡)が東日本大震災の時は非常にいい方向に作用したのだそうです。
東日本大震災を引き起こした東北地方太平洋沖地震の本震は2011年3月11日14時46分18秒に発生しました。14時46分ということは、ちょうどお昼寝タイムが終わった直後か、終わる直前です。このタイミングが実によかったようです。時間帯から考えても、保育士さん達職員の皆さんが寝ている園児を起こしたり、声をかけながら身支度をさせ、乳児をおんぶするなどして集団避難した様子が容易に想像できます。
そういう中、この集団避難は日頃の避難訓練の成果が出て、どこもかなり統制がとれて行われた…と被災地の保育園の園長先生の講演の中でも語られたそうです。子供達はお腹がいっぱいになってるし、たっぷりお昼寝もしたので元気一杯。グズる子や泣き出す子も少なく、大きな揺れの直後とは言え、思いのほか統制が取れた避難行動ができたそうなんです。なんと言っても、お昼寝タイムで全児童が園内の1つのところで固まっていたということが大きかったそうです。職員の皆さんも気持ちに余裕が残っていたみたいで、ふだんの訓練通り冷静に対応ができたようですから。
なんと言っても、それまで“抜き打ち”で行っていた避難訓練の成果が出たのだそうです。職員1人1人が自分の頭で考えて状況判断から適切な避難行動の選択を行うことができたのだとか。中には、異常な揺れを感じて、瞬時の判断で日頃の避難ルートをやめて、さらに高い所へ逃げたことで全園児を守ることができたケースもあったとのことです。“想定以上”の大災害で、“想定外”の対応を迫られる中、日頃の避難訓練や保育士をはじめとした職員の皆さん方の適確な判断と臨機応変な行動が、犠牲をここまで少なくすることができたということでしょう。
ところが、「非常時は保護者に」というこれまでの常識に従って保護者に引き渡した後、犠牲に遭った子供達は残念ながら111名にものぼったそうです。前述の3人の園児の犠牲を出した宮城県山元町立東保育所の場合も、保護者に引き渡しを優先したがために逃げ遅れたことが大きな原因の1つとされています。
これは保育関係者の間では有名な話だそうで、これらの教訓から、それまで単に形骸化して実施されてきがちだった避難訓練が、全国の各保育園でそれぞれ工夫して実施されるようになってきたのだとか。“想定以上”の大災害に遭って“想定外”の対応を迫られることがあっても、適確な判断と臨機応変な行動がとれるように保育士をはじめとした職員の皆さん方を訓練するために。今や日本全国の多くの保育園で、妻が勤務する保育園と同様に、最低毎月1回は“抜き打ち”の避難訓練を実施するようになっているのだそうです。
素晴らしい!
一方、文部科学省の発表によると、東日本大震災における文部科学省管轄の学校関係者(国立学校、公立学校、私立学校)における犠牲者数は618名で、そのうち幼稚園の園児の犠牲者数は71名(平成23年8月8日現在)なんだそうです。このうち、幼稚園や学校の管理下で犠牲になったのは大川小学校の児童74名、南三陸町戸倉中学校の生徒1名、石巻市の日和幼稚園、山元町のふじ幼稚園で送迎中または待機中の園児13名に限られ、引き渡し後に自宅や帰宅途中で犠牲になった子供達のほうが圧倒的に多いと伝えられています。
「教職員らが避難場所や避難方法について話し合って、日頃から繰り返し避難訓練をしていた」なら、また、「地域が安全になるまで、学校の管理下で安全確保ができていた」なら、これほどたくさんの子供達が犠牲になることはなかった…との声も学校関係者からはあがっているようです。この震災から学んだ「素早い避難」と「学校での安全確保」、この2つの教訓は、今や学校での災害発生初動期における最も重要な学校防災管理の基本となっていて、保育園(保育所)に学ぼうという動きもでているようです。
また、妻から妻が勤務する防災マニュアルを特別に見せて貰ったのですが、これがなかなかよくできていて、私は驚きました。厚くもなく薄くもなく適度の分量で、内容も具体的で分かりやすい。これなら防災の素人さんがほとんどの保育園の職員さんでも、頭に入るでしょう…と思えるものでした。「なかなかよくできてるよ。何かを参考にしたの?」妻に訊いたところ、「これを参考にした」と教えて貰ったのが経済産業省商務情報政策局が作成してHPからダウンロードできる『子どもの安全のためのハンドブック』でした。
なにゆえ経済産業省が保育園向けのハンドブックを…と思ったのですが、日本経済を支えている働き盛り世代の方々は実は子育て世代の方々でもあるわけで、そういう方々が安心して働くために、子供を預かって貰っている保育園(保育所)や幼稚園など、子育ての現場で働く方々向けに、経済産業省が災害発生時における対応のためのハンドブックを出すことは全然おかしなことではないですよね。こういうところ、縦割り行政からの脱皮が徐々に進んでいることを実感しました。
保育園(保育所)の監督官庁である厚生労働省をはじめ他の省庁や自治体でも同様のものがないか探してみたのですが、いろいろなことを網羅的に(それも抜けがないようにあまりにきめ細かく)書いてあるものがほとんどで、文字ばっかりがズラァ~っと並んでいて、まず読む気が起きません。これじゃあ防災に関してほとんど素人に近い保育園の職員さんに「これをアレンジして、それぞれの園独自の防災マニュアルを作れ」と言われたって、なかなか作れるものではないだろうな…と、私は思いました。その点、経済産業省のこの『子どもの安全に関するハンドブック』は、よく出来ていると思います。
経済産業省では、子育ての現場における災害へのリスク管理や対応策について、各現場において考える際の参考となるよう、保育関係の有識者や、防災関係の専門家のご意見等を聴きながら、平成24年度にこの『子どもの安全に関するハンドブック』を作成したのだとか。やはり現場の実体験から得られた教訓を取り入れているからこその実践的なガイドラインになっているように思います。
この『子どもの安全のためのハンドブック』は『防災訓練用対応ケース集』 、『保育施設のための防災ハンドブック』、『保育ママのための防災ハンドブック』 、『ベビーシッターのための防災ハンドブック』の4部構成になっていて、以下のリンクから、PDFファイルでダウンロードできます。特に『防災訓練用対応ケース集』にはタイムスケジュールなども載っていて、かなり実践的です。
経済産業省:子供の安全のためのハンドブック
この経済産業省が出している『子どもの安全のためのハンドブック』は、あくまでも保育園(保育所)や幼稚園といった子育て現場向けのものですが、一般企業等でも十分に応用できるものになっていると思います。現場の方々向けに大変分かりやすく書かれていますので、皆さんも是非一度お読みになられることをお勧めします。災害対応マニュアル作成の参考資料としても大変に役立つと思います。
【追記】
その避難訓練を行う際、『おはしも』という標語があるそうで、園児達には避難する際には、まずこの標語をクチにさせ、それを徹底させるように指導するそうです。
この『おはしも』とは、
『お』…押さない、『は』…走らない、『し』…喋らない、『も』…戻らない
のことだそうです。なるほど、幼い子供達が集団で避難する際の的確なポイントを就いています。
ちなみに、この『おはしも』と同様に、防犯に関しては『いかのおすし』という標語もあるそうです。
『いか』…行かない(知らない人について行かない)、『の』…乗らない(知らない人の車に乗らない)、『お』…大きな声で呼ぶ、『す』…すぐ逃げる、『し』…知らせる(何かあったらすぐ知らせる)
どちらも一度耳にしたら忘れられないくらいのインパクトのある言葉で、子供達に受け入れられやすく、覚えやすい、しかも具体的な行動に取り入れやすい実に素晴らしい標語だと私は思います。作った方に心から敬意を表したいと思います。
厚生労働省管轄の保育園や保育所では、児童福祉法と消防法により、避難訓練の実施が義務付けられています。児童福祉法の中の児童福祉施設最低基準(第6条)という法令で、少なくとも毎月1回は各種災害を想定した避難訓練を行わなければならない…と規定されています。
消防法では保育園や保育所、幼稚園は特定防火対象物という施設として規制され、消防法(第8条)と消防法施工令(第4条)という法律で年2回以上の避難訓練の実施が義務付けられています。ちなみに、文部科学省管轄の幼稚園は、幼稚園設置基準という法律はありますが、この中では避難訓練については特に規定されていません。従って、文部科学省管轄の幼稚園は消防法の規定のみが適用され、年2回以上の避難訓練を実施すればいいということに法律上はなっています(東日本大震災以降、自主的に毎月避難訓練を実施する幼稚園も増えてきているのだそうです)。
最近ではあまりテレビや新聞などで報道されることはありませんが、実はこの保育園(保育所)における日頃の避難訓練の成果が3年前の東日本大震災で発揮されたのだそうです。
東日本大震災で、岩手県、宮城県、福島県の3県で被災した保育園(保育所)は722ヶ所あったのですが、このうち、津波等で全半壊した保育園(保育所)は78施設。不幸にして乳幼児が亡くなった施設が1施設あり、クルマで避難中に3人の幼い園児が津波に襲われ犠牲になりました。東日本大震災では、巨大地震やそれによって引き起こされた津波により、死者・行方不明者あわせて約19,000名に及ぶ多くの尊い命が失われたのですが、そういう中にあって、保育園(保育所)での保育中だった園児や職員で避難時に亡くなったのが、宮城県山元町立東保育所の3人の園児にとどまったのが、奇跡とも言われています。当初は保育中の園児、職員の犠牲者がゼロと言われていましたが、その後の調査で3人の園児がクルマで避難中に津波に襲われて犠牲になっていたことが判明しました(合掌……)。それでも全犠牲者数から見ると、素晴らしいことだと私は思います。
妻は東日本大震災以降、保育園の防災対策の見直しを担当し、その中で被災地の保育園(保育所)の園長先生の講演を何度か聴きに行ったことがあるそうなのですが、これだけの被害で済んだことには、保育園(保育所)ならではの“あること”も大きく影響を与えたということのようです。
皆さん、ご存知ですか? 保育園(保育所)にあって、幼稚園にないもの。
それって“お昼寝”です。これが保育園と幼稚園の一番大きな違いと考える方も多いのではないでしょうか。子供を預かる時間の長い保育園(保育所)では、昼食後、約1時間半ほどのお昼寝(午睡)を取るのが一般的です。実はこのお昼寝(午睡)が東日本大震災の時は非常にいい方向に作用したのだそうです。
東日本大震災を引き起こした東北地方太平洋沖地震の本震は2011年3月11日14時46分18秒に発生しました。14時46分ということは、ちょうどお昼寝タイムが終わった直後か、終わる直前です。このタイミングが実によかったようです。時間帯から考えても、保育士さん達職員の皆さんが寝ている園児を起こしたり、声をかけながら身支度をさせ、乳児をおんぶするなどして集団避難した様子が容易に想像できます。
そういう中、この集団避難は日頃の避難訓練の成果が出て、どこもかなり統制がとれて行われた…と被災地の保育園の園長先生の講演の中でも語られたそうです。子供達はお腹がいっぱいになってるし、たっぷりお昼寝もしたので元気一杯。グズる子や泣き出す子も少なく、大きな揺れの直後とは言え、思いのほか統制が取れた避難行動ができたそうなんです。なんと言っても、お昼寝タイムで全児童が園内の1つのところで固まっていたということが大きかったそうです。職員の皆さんも気持ちに余裕が残っていたみたいで、ふだんの訓練通り冷静に対応ができたようですから。
なんと言っても、それまで“抜き打ち”で行っていた避難訓練の成果が出たのだそうです。職員1人1人が自分の頭で考えて状況判断から適切な避難行動の選択を行うことができたのだとか。中には、異常な揺れを感じて、瞬時の判断で日頃の避難ルートをやめて、さらに高い所へ逃げたことで全園児を守ることができたケースもあったとのことです。“想定以上”の大災害で、“想定外”の対応を迫られる中、日頃の避難訓練や保育士をはじめとした職員の皆さん方の適確な判断と臨機応変な行動が、犠牲をここまで少なくすることができたということでしょう。
ところが、「非常時は保護者に」というこれまでの常識に従って保護者に引き渡した後、犠牲に遭った子供達は残念ながら111名にものぼったそうです。前述の3人の園児の犠牲を出した宮城県山元町立東保育所の場合も、保護者に引き渡しを優先したがために逃げ遅れたことが大きな原因の1つとされています。
これは保育関係者の間では有名な話だそうで、これらの教訓から、それまで単に形骸化して実施されてきがちだった避難訓練が、全国の各保育園でそれぞれ工夫して実施されるようになってきたのだとか。“想定以上”の大災害に遭って“想定外”の対応を迫られることがあっても、適確な判断と臨機応変な行動がとれるように保育士をはじめとした職員の皆さん方を訓練するために。今や日本全国の多くの保育園で、妻が勤務する保育園と同様に、最低毎月1回は“抜き打ち”の避難訓練を実施するようになっているのだそうです。
素晴らしい!
一方、文部科学省の発表によると、東日本大震災における文部科学省管轄の学校関係者(国立学校、公立学校、私立学校)における犠牲者数は618名で、そのうち幼稚園の園児の犠牲者数は71名(平成23年8月8日現在)なんだそうです。このうち、幼稚園や学校の管理下で犠牲になったのは大川小学校の児童74名、南三陸町戸倉中学校の生徒1名、石巻市の日和幼稚園、山元町のふじ幼稚園で送迎中または待機中の園児13名に限られ、引き渡し後に自宅や帰宅途中で犠牲になった子供達のほうが圧倒的に多いと伝えられています。
「教職員らが避難場所や避難方法について話し合って、日頃から繰り返し避難訓練をしていた」なら、また、「地域が安全になるまで、学校の管理下で安全確保ができていた」なら、これほどたくさんの子供達が犠牲になることはなかった…との声も学校関係者からはあがっているようです。この震災から学んだ「素早い避難」と「学校での安全確保」、この2つの教訓は、今や学校での災害発生初動期における最も重要な学校防災管理の基本となっていて、保育園(保育所)に学ぼうという動きもでているようです。
また、妻から妻が勤務する防災マニュアルを特別に見せて貰ったのですが、これがなかなかよくできていて、私は驚きました。厚くもなく薄くもなく適度の分量で、内容も具体的で分かりやすい。これなら防災の素人さんがほとんどの保育園の職員さんでも、頭に入るでしょう…と思えるものでした。「なかなかよくできてるよ。何かを参考にしたの?」妻に訊いたところ、「これを参考にした」と教えて貰ったのが経済産業省商務情報政策局が作成してHPからダウンロードできる『子どもの安全のためのハンドブック』でした。
なにゆえ経済産業省が保育園向けのハンドブックを…と思ったのですが、日本経済を支えている働き盛り世代の方々は実は子育て世代の方々でもあるわけで、そういう方々が安心して働くために、子供を預かって貰っている保育園(保育所)や幼稚園など、子育ての現場で働く方々向けに、経済産業省が災害発生時における対応のためのハンドブックを出すことは全然おかしなことではないですよね。こういうところ、縦割り行政からの脱皮が徐々に進んでいることを実感しました。
保育園(保育所)の監督官庁である厚生労働省をはじめ他の省庁や自治体でも同様のものがないか探してみたのですが、いろいろなことを網羅的に(それも抜けがないようにあまりにきめ細かく)書いてあるものがほとんどで、文字ばっかりがズラァ~っと並んでいて、まず読む気が起きません。これじゃあ防災に関してほとんど素人に近い保育園の職員さんに「これをアレンジして、それぞれの園独自の防災マニュアルを作れ」と言われたって、なかなか作れるものではないだろうな…と、私は思いました。その点、経済産業省のこの『子どもの安全に関するハンドブック』は、よく出来ていると思います。
経済産業省では、子育ての現場における災害へのリスク管理や対応策について、各現場において考える際の参考となるよう、保育関係の有識者や、防災関係の専門家のご意見等を聴きながら、平成24年度にこの『子どもの安全に関するハンドブック』を作成したのだとか。やはり現場の実体験から得られた教訓を取り入れているからこその実践的なガイドラインになっているように思います。
この『子どもの安全のためのハンドブック』は『防災訓練用対応ケース集』 、『保育施設のための防災ハンドブック』、『保育ママのための防災ハンドブック』 、『ベビーシッターのための防災ハンドブック』の4部構成になっていて、以下のリンクから、PDFファイルでダウンロードできます。特に『防災訓練用対応ケース集』にはタイムスケジュールなども載っていて、かなり実践的です。
経済産業省:子供の安全のためのハンドブック
この経済産業省が出している『子どもの安全のためのハンドブック』は、あくまでも保育園(保育所)や幼稚園といった子育て現場向けのものですが、一般企業等でも十分に応用できるものになっていると思います。現場の方々向けに大変分かりやすく書かれていますので、皆さんも是非一度お読みになられることをお勧めします。災害対応マニュアル作成の参考資料としても大変に役立つと思います。
【追記】
その避難訓練を行う際、『おはしも』という標語があるそうで、園児達には避難する際には、まずこの標語をクチにさせ、それを徹底させるように指導するそうです。
この『おはしも』とは、
『お』…押さない、『は』…走らない、『し』…喋らない、『も』…戻らない
のことだそうです。なるほど、幼い子供達が集団で避難する際の的確なポイントを就いています。
ちなみに、この『おはしも』と同様に、防犯に関しては『いかのおすし』という標語もあるそうです。
『いか』…行かない(知らない人について行かない)、『の』…乗らない(知らない人の車に乗らない)、『お』…大きな声で呼ぶ、『す』…すぐ逃げる、『し』…知らせる(何かあったらすぐ知らせる)
どちらも一度耳にしたら忘れられないくらいのインパクトのある言葉で、子供達に受け入れられやすく、覚えやすい、しかも具体的な行動に取り入れやすい実に素晴らしい標語だと私は思います。作った方に心から敬意を表したいと思います。
執筆者
株式会社ハレックス
前代表取締役社長
越智正昭
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