2017/03/15
気象ビジネス推進コンソーシアム発足
3月7日(火)、東京・永田町の星陵会館におきまして、気象庁や民間企業など約50社・団体が発起人となって『気象ビジネス推進コンソーシアム』の設立総会が開催されました。この『気象ビジネス推進コンソーシアム』は国土交通省の推進する「生産性革命プロジェクト」の一環として、多様な産業界における気象データの利活用を一層推進するとともに、IoT・AI 技術等の最新技術を駆使し、気象データを高度利用する「気象ビジネス」を推進するため、様々な分野の産官学が連携して、気象データのさらなる利活用を促進することで、社会経済活動の生産性を向上させることを目的として設立されるものです。
『気象ビジネス推進コンソーシアム』では、この目的を達成するために、「先進的気象ビジネスモデルの創出」、「気象ビジネスを推進するための環境整備」、「気象ビジネスに関する情報の収集・発信、普及・啓発」など、気象ビジネス市場発展の基盤づくりや、気象ビジネスの発展に向けた戦略の構築などに今後取り組む予定になっています。
気象庁HP「国土交通省生産性革命プロジェクト「気象ビジネス市場の創出」の選定について」
気象庁HP「気象ビジネス推進コンソーシアム」
弊社ハレックスもこの『気象ビジネス推進コンソーシアム』の設立趣旨に賛同して、発起人企業の1社として名前を連ねさせていただいています。
気象庁HP「設立趣意書」
気象庁HPの発起人名簿をご覧いただくとお分かりいただけるように、この『気象ビジネス推進コンソーシアム』には私達気象予報事業者のみならず、建設、電力・エネルギー、情報通信、農業、流通小売り、金融、観光といった実に幅広い業種の企業・団体が発起人に名前を連ねておられ、気象データ活用に関する世の中の関心の高さを伺わせます。この日の設立総会には、この発起人企業に加えて、この『気象ビジネス推進コンソーシアム』の目的に賛同して一般会員として参加なさる企業、団体、有識者、関係府省庁等が、合計200以上参加し、300名定員の星陵会館大ホールは大入り満員。立ち見も出るほどの盛況ぶりでした。それでも消防法の規定によりギリギリ350名までしか入れないとのことで、せっかく星陵会館までやって来たのに会場の中に入れない方も続出したようです。事務局を務めていただいている気象庁さんにお聞きしたところ、事前に300名定員で参加者を募集したところ500名以上の申し込みがあって、各社1名などの人数制限をなさったそうなのですが、それでもこういう状況でした。
この大盛況ぶりには気象庁さん自身が一番驚かれているようで、橋田俊彦気象庁長官も「これだけ注目されるのは、もしかすると気象庁始まって以来のことかもしれない」と興奮した表情でおっしゃっていました。
設立総会では、まず最初に規約の承認が行われ、次に会長・副会長、運営委員の選任が行われました。会長には東京大学大学院情報学環の越塚登教授が、また、副会長には東京大学大気海洋研究所の木本昌秀教授が選任されました。その後、会長、副会長を含め18名の運営委員が専任されたのですが、不肖・私、越智もその運営委員の一人として名前を連ねさせていただいております。その後、今後の活動方針の承認が行われ、最後に越塚会長が次のような宣言文を読み上げられ、めでたく『気象ビジネス推進コンソーシアム』が発足しました。
この宣言文に、私は激しく同意します。まったくその通りですね。ついに、こういう時代がやって来ました。と同時に、私達、民間気象情報会社も、この大きな時代の流れの中で、その重要な一翼を担えるようにしていかないといけないな…ということを、越塚会長が読み上げられるこの宣言文を聴きながら、改めて思っていました。
設立総会終了後は同じ会場で気象ビジネス推進コンソーシアム主催の『第1回 気象ビジネスフォーラム』が開催されました。気象ビジネスフォーラムの冒頭、来賓としてお見えになった末松信介国土交通副大臣(兼内閣府副大臣、兼復興副大臣)から『気象ビジネス推進コンソーシアム』の今後の活動と気象データ活用に対する熱い期待のこもった挨拶をいただきました(末松副大臣は当初のご予定を大幅に延長し会場に残られ、気象ビジネスフォーラムだけでなく、別フロアで開催された展示会も見て回られたそうです。国土交通省様からの期待のほどが窺えます)。
『第1回 気象ビジネスフォーラム』は、まず最初に、越塚登気象ビジネス推進コンソーシアム会長(東京大学大学院情報学環教授)より、「オープンデータ、AI及びIoTの最新動向」と題した基調講演で始まりました。気象情報はオープンデータの先駆けと言ってもいい情報であり、加えて、その気象情報を取り巻く環境は、昨今のAIやIoTといった情報工学の進展により大きく様変わりしようとしています。そのことを気づかせてくれる『第1回 気象ビジネスフォーラム』の基調講演として相応しい講演でした。
第1回気象ビジネスフォーラムパンフレット
越塚会長による基調講演の後は、シンポジウム。その後に行われるパネルディスカッションのパネリストの皆さんが5分~10分の持ち時間でミニプレゼンを行いました。
トップバッターは株式会社三井物産戦略研究所 技術・イノベーション情報部の平田祥一朗シニアマネージャー。平田シニアマネージャーからは今後拡大が期待される気象データのビジネス利用について、国内外の現状とともに、課題と今後の期待可能性について講演していただきました。
2番手は気象情報利用者の代表として株式会社ローソン 経営戦略本部の秦野芳宏本部長補佐。秦野本部長補佐からは全国に約5万5千店舗を展開するコンビニエンスストア「ローソン」において、個店ごとの販売予測にどのように気象情報を活用しているのかの事例についてご紹介いただきました。
3番手も気象情報利用者の代表として大塚製薬株式会社 業務管理部の藤川優次長。藤川次長からは、熱中症対策に代表されるヘルスケア分野において、データ分析を駆使して先手を取って消費者のニーズを適時に満たすための大塚製薬としての取り組みについてご紹介いただきました。
4番手は情報産業の代表としてヤフー株式会社 Yahoo!天気・災害 田中真司サービスマネージャー。田中サービスマネージャーからは、様々なデータを取り扱う情報産業の立場から、気象データの特徴と有用性、利用に当たっての工夫や課題についてご紹介いただきました。
5番手は気象事業者の代表として、不肖・私、株式会社ハレックス代表取締役社長の越智正昭が、気象事業者がいかに産業界の利益拡大に寄与できるか、気象ビッグデータの活用により、実際に産業界が新たな利益を上げるまでの手順や課題についてご紹介させていただきました。当日の私のプレゼン資料は以下からダウンロードできます。
第1回気象ビジネスフォーラム資料
6番手は気象庁総務部の大林正典企画課長。大林企画課長からは、高度利用者向けページの開設等、気象情報の利活用促進に関する気象庁の最新の取組みについてご紹介いただきました。
6人のパネリストによるミニプレゼンに引き続いて、株式会社三菱総合研究所 社会ICT事業本部の村上文洋主席研究員をコーディネーターにパネルディスカッションが行われました。このパネルディスカッション、気象データの可能性やビジネスの将来展望について語り合うってことが主題だったのですが、私もパネリストの1人として参加させていただいて、正直、楽しかったです。パネルディスカッションは、先ほどのパネリスト達によるミニプレゼンに対する会場からの質問やコメントに基づいて進められたのですが、それがよかった感じです。ミニプレゼンからの連続性がありますし、なにより具体的な話を中心にできましたから。私もいっぱい発言させていただいたのですが(マイクを独占しないように、それなりに気は遣いましたが…)、まだまだ語り足りないって感じで、このメンバーであと最低2時間は語り合いたい感じさえしちゃいました。皆さん、論客揃いで、エンジンが本格的にかかってきたな…って時に、残念ながら終了の時刻になってしまいました。久々に大変に有意義で中身のあるパネルディスカッションに参加できたのではないか…と思って、満足しています。
壇上から会場を眺めてみると、ほとんどの方が熱心にメモをとられていて、その熱気に圧倒されるようなところがありました。『気象ビジネスフォーラム』終了直後、知り合いの1人から「今日は歴史が動く瞬間というものをこの目で見て、肌で実感できた気がする。その場に立ち会えて光栄だった」というお言葉をいただきました。ふだんそういうことをおっしゃらない方だけに、それくらい素晴らしい『気象ビジネス推進コンソーシアム』の設立と、『気象ビジネスフォーラム』だったってことのようです。私も壇上から聴いていただいている皆様の真剣な表情を見て、同じことを思っていました。まさに“歴史が動いた瞬間”だってことを。将来、「振り返ってみると、2017年3月7日が極めて大きな時代の転換点だった」と語られる日が間違いなく来るのではないか…と私は思っています。
こういう素晴らしい、そして歴史的な場をご用意いただいた気象庁の事務局スタッフの皆様方に、心より感謝いたします。ありがとうございました。
執筆者
株式会社ハレックス
前代表取締役社長
越智正昭
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