2017/08/01
あの伝説の蛇口からみかんジュース
7月19日(水)、20日(木)の1泊2日で弊社ハレックスも深く関係している愛媛県の『坂の上のクラウドコンソーシアム』の関連で、愛媛県松山市に出張してきました。
仕事のことはともかく、20日に愛媛県農業法人協会会長でNPO法人・坂の上のクラウド利用研究会の会長を務められている牧秀宣さんとお会いするため、松山市近郊の東温市にある農業生産法人ジェイウィングファームを訪問しました。ジェイウィングファームを訪問するのは今年4月以来3ヶ月ぶりのことなのですが、事務所の前に広がる田圃では3ヶ月前にいっぱい穂を付けていたハダカ麦(裸麦)やモチ麦(餅麦)に代わって、イネ(稲)がグングン成長していました。よく晴れていて陽射しはキツく、日なたはやたらと暑いのですが、水を張った田圃の上を渡ってくる風が涼しくて心地いいので、戸外でも日陰に入るとクーラーも要らず、そこに椅子を持ってきて牧さんとお話をさせていただきました。
今年収穫したハダカ麦やモチ麦は天候に恵まれたことに加え、弊社ハレックスから提供させていただいている『HalexDream!』による1kmメッシュの詳細な気象情報を上手く活用できたおかげで、過去最高とも言える出来栄えだったそうで、牧さんも非常にご満悦でした。収穫量はほぼ例年並みだったのですが、品質が例年以上に良かったので、収入としては例年を遥かに上回ることができそうだとのことでした。麦は農林水産省の定める農産物規格規定に基づき穀粒の大きさやそのばらつき、タンパク質含有量、水分含有量等で品質を表す等級が決められているのですが、検査を受けた結果、100ヘクタール近い圃場のどこで生産した麦も最上級である1等級の水準を遥かに上回る検査結果が得られたということのようです。
麦は基本的に雨を嫌う作物で、少雨で水捌けの良いところでしか栽培ができません。愛媛県や香川県といった四国北部の瀬戸内海側の地域は温暖なわりに南側を標高1,500メートルを超える高い四国山脈の山々が迫っているので年間を通して雨が少なく、加えて土壌が“真砂土(まさつち)”といって花崗岩が砕けてできた土なので水捌けが極めて良く、麦の栽培に適した土地柄なのです。反対にコメ(米)の栽培にはあまり適しません。なので、昔から麦の栽培が盛んで、特に香川県では小麦を使った“讃岐うどん”がソウルフードになっているほどです。
このような作物ですから、気象情報のうち、雨に関する情報が極めて重要となるわけです。麦の穀粒を大きく、しかも均等の大きさで収穫しようと思ったら、できるだけ収穫時期を遅らせて、ギリギリまで大きくさせる必要があります。いっぽうで、大きく育った穀粒は少しの雨にあたっただけでも発芽してしまいますから、刈り取り前に雨に降られると、穂に付いたまま発芽してしまって、品質が一気に低下してしまうという悲劇になってしまいます。また、少しの雨にあたっただけでも刈り取り後に乾燥機で乾燥しなくてはいけなくなり、余分な燃料代と労力を必要とします。しかも麦の刈り取り時期は5月下旬から6月中旬。ちょうど日本列島全域が梅雨入りする時期で、雨が降る日の確率が高まる時期です。
今年、牧さんは弊社ハレックスから提供させていただいている『HalexDream!』による週間天気予報や72時間先までの1kmメッシュの詳細な気象情報を用いて経営判断によりギリギリまで刈り取りの時期を遅らせて、一気に収穫するというチャレンジを行われたそうなんです。3日前くらいからこの日の午前9時頃からこのあたりには雨が降るという予報が出ていて、その予報がその後もずっと変わらなかったので、刈り取りの最終日には朝の9時から夜中はサーチライトで照らしながら夜を徹して100ヘクタール弱の圃場の刈り取り作業を行い、作業が終わったのが翌朝の6時。予報どおり午前9時には雨が降り出し、その後、本降りの雨に変わったので、ギリギリで間に合ったって感じだったそうです。「農業において気象情報の活用は大事だと昔から思っていたが、改めて気象情報の活用の重要性を認識することができた。ありがとう」って嬉しい言葉を言っていただきました。
ジェイウィングファームで栽培している麦のうち、特にモチ麦は折からの健康食品ブームで昨年から急に世間の注目を集めています。
麦うらし2016(その1)
麦うらし2016(その2)
麦うらし2016(その3)
麦うらし2016(その4)
愛媛県で生産される(いや、日本全国で生産されている)モチ麦の生産量が約150トンで、そのうちジェイウィングファームで生産されているモチ麦の量は約100トン。品質が保証されている純粋なモチ麦ということではこのジェイウィングファーム産がほとんどということになります。なので、供給が需要に追いつかない状況がずっと続いています。牧さんは麦の生産に適した気候風土のこの愛媛県でもっとモチ麦の生産を増やそうと、これからモチ麦の普及と若い農家の栽培指導にもっと力を入れていく…とおっしゃっています。その際には、弊社ハレックスの『HalexDream!』を用いた気象情報の活用をセットで普及していくのでよろしくね…と言っていただきました。
もともと大麦の変種であるハダカ麦の、そのまた特異種が起源と言われるモチ麦は生命体としては弱い部類に入る植物で、栽培は難しい作物なのだそうです。そのため、普及が難しく、これまでは試行錯誤を重ねてきたベテラン農家の牧さんの経験と勘に頼る部分が大きかったのですが、「今年1年、真剣にハレックスが提供してくれる気象情報と向き合いながらやってみたおかげで、普及のヒントが得られた気がして、自信が湧いてきた」という言葉もいただきました。ウンウン、それはよかった。これが、これからの日本の農業が変わっていく1つのキッカケになればいいですね。
ジェイウィングファームの事務所の前には、3ヶ月前の4月にはまだ建設途中だった牧場が完成し、2頭の馬がのんびりと草を食(は)んでいました。背後には標高1,000メートルの皿ヶ嶺をはじめとした四国山脈の山々が屏風のように迫り、その手前には牧さんがアメリカの農家の庭をイメージして作り上げたという麦畑の真ん中の公園「Sunny Side Field」。これらをバックにして、素晴らしい景観が生まれています。最近は写真を撮影しにくる人もいらっしゃるようです。牧さんが若い頃に留学し、今も憧れているというアメリカ合衆国アイダホ州の農家のイメージが徐々に創り上げられつつように感じます。
それにしても、のんびり草を食む馬達の様子を見ていると、本当に癒されます。そういう馬達を眺めていると世知辛い仕事の話などちょっと馬鹿馬鹿しく思えてきて、そこそこに切り上げ、2人の間の話題はいつの間にやら他愛もない世間話に移っていきました。
松山市にある私の実家では今年もパッションフルーツのグリーンカーテンが青々と茂っています。果実もいっぱい付いていて、これはそのうち母が宅配便で送ってきそうです。母はパッションフルーツは酸っぱいからと言って食べないのですが、私の息子の嫁と娘が大好物なので…。
今は鉢植えにしているハイビスカスの根元には蝉の抜け殻が…。近くの神社からは今年も騒がしい蝉の鳴き声が聞こえてきます。アサガオも綺麗に咲いています。夏ですね。
東京に戻る帰路、松山空港でこんなものを見つけました。「愛媛では蛇口を捻るとポンジュースが出てくる」という“都市伝説”があるようなのですが、その伝説の「蛇口から出る“みかんジュース”」です(^-^)v 200円を払うとプラスチック製のコップが渡され、自分で蛇口を捻って果汁100%のフレッシュなみかんジュースを飲むことができます。美味しいです♪( ´▽`)
この「蛇口から出る“みかんジュース”」はこれまでも何度か松山空港で目にしましたが、今年もこの日(7月20日)、松山空港に設置されたのだそうです。期間限定ですが、“都市伝説”は本当でした( ^∀^)
愛媛県では今年第72回の国民体育大会(国体)と第17回の全国障害者スポーツ大会が開催されます。そのための準備が着々と進んでいるようです。松山市役所の土木部に勤務する私の姪も、水泳会場の設営の担当なのだそうで、「おいちゃん、今年は国体の準備のために忙しくて、夏休みも取れそうにないんよ」とボヤいていました。「全国には47都道府県があるわけだから、次に愛媛で国体が開催されるのは47年後。おそらくその忙しさは自分の人生で2度と経験することはない。だから、ブツクサ言わずに頑張れ! そして、その忙しさを楽しめ!」…と、(無責任な)伯父としてはアドバイスしておきました。
私の郷里愛媛、本当にいいところですよ。
仕事のことはともかく、20日に愛媛県農業法人協会会長でNPO法人・坂の上のクラウド利用研究会の会長を務められている牧秀宣さんとお会いするため、松山市近郊の東温市にある農業生産法人ジェイウィングファームを訪問しました。ジェイウィングファームを訪問するのは今年4月以来3ヶ月ぶりのことなのですが、事務所の前に広がる田圃では3ヶ月前にいっぱい穂を付けていたハダカ麦(裸麦)やモチ麦(餅麦)に代わって、イネ(稲)がグングン成長していました。よく晴れていて陽射しはキツく、日なたはやたらと暑いのですが、水を張った田圃の上を渡ってくる風が涼しくて心地いいので、戸外でも日陰に入るとクーラーも要らず、そこに椅子を持ってきて牧さんとお話をさせていただきました。
今年収穫したハダカ麦やモチ麦は天候に恵まれたことに加え、弊社ハレックスから提供させていただいている『HalexDream!』による1kmメッシュの詳細な気象情報を上手く活用できたおかげで、過去最高とも言える出来栄えだったそうで、牧さんも非常にご満悦でした。収穫量はほぼ例年並みだったのですが、品質が例年以上に良かったので、収入としては例年を遥かに上回ることができそうだとのことでした。麦は農林水産省の定める農産物規格規定に基づき穀粒の大きさやそのばらつき、タンパク質含有量、水分含有量等で品質を表す等級が決められているのですが、検査を受けた結果、100ヘクタール近い圃場のどこで生産した麦も最上級である1等級の水準を遥かに上回る検査結果が得られたということのようです。
麦は基本的に雨を嫌う作物で、少雨で水捌けの良いところでしか栽培ができません。愛媛県や香川県といった四国北部の瀬戸内海側の地域は温暖なわりに南側を標高1,500メートルを超える高い四国山脈の山々が迫っているので年間を通して雨が少なく、加えて土壌が“真砂土(まさつち)”といって花崗岩が砕けてできた土なので水捌けが極めて良く、麦の栽培に適した土地柄なのです。反対にコメ(米)の栽培にはあまり適しません。なので、昔から麦の栽培が盛んで、特に香川県では小麦を使った“讃岐うどん”がソウルフードになっているほどです。
このような作物ですから、気象情報のうち、雨に関する情報が極めて重要となるわけです。麦の穀粒を大きく、しかも均等の大きさで収穫しようと思ったら、できるだけ収穫時期を遅らせて、ギリギリまで大きくさせる必要があります。いっぽうで、大きく育った穀粒は少しの雨にあたっただけでも発芽してしまいますから、刈り取り前に雨に降られると、穂に付いたまま発芽してしまって、品質が一気に低下してしまうという悲劇になってしまいます。また、少しの雨にあたっただけでも刈り取り後に乾燥機で乾燥しなくてはいけなくなり、余分な燃料代と労力を必要とします。しかも麦の刈り取り時期は5月下旬から6月中旬。ちょうど日本列島全域が梅雨入りする時期で、雨が降る日の確率が高まる時期です。
今年、牧さんは弊社ハレックスから提供させていただいている『HalexDream!』による週間天気予報や72時間先までの1kmメッシュの詳細な気象情報を用いて経営判断によりギリギリまで刈り取りの時期を遅らせて、一気に収穫するというチャレンジを行われたそうなんです。3日前くらいからこの日の午前9時頃からこのあたりには雨が降るという予報が出ていて、その予報がその後もずっと変わらなかったので、刈り取りの最終日には朝の9時から夜中はサーチライトで照らしながら夜を徹して100ヘクタール弱の圃場の刈り取り作業を行い、作業が終わったのが翌朝の6時。予報どおり午前9時には雨が降り出し、その後、本降りの雨に変わったので、ギリギリで間に合ったって感じだったそうです。「農業において気象情報の活用は大事だと昔から思っていたが、改めて気象情報の活用の重要性を認識することができた。ありがとう」って嬉しい言葉を言っていただきました。
ジェイウィングファームで栽培している麦のうち、特にモチ麦は折からの健康食品ブームで昨年から急に世間の注目を集めています。
麦うらし2016(その1)
麦うらし2016(その2)
麦うらし2016(その3)
麦うらし2016(その4)
愛媛県で生産される(いや、日本全国で生産されている)モチ麦の生産量が約150トンで、そのうちジェイウィングファームで生産されているモチ麦の量は約100トン。品質が保証されている純粋なモチ麦ということではこのジェイウィングファーム産がほとんどということになります。なので、供給が需要に追いつかない状況がずっと続いています。牧さんは麦の生産に適した気候風土のこの愛媛県でもっとモチ麦の生産を増やそうと、これからモチ麦の普及と若い農家の栽培指導にもっと力を入れていく…とおっしゃっています。その際には、弊社ハレックスの『HalexDream!』を用いた気象情報の活用をセットで普及していくのでよろしくね…と言っていただきました。
もともと大麦の変種であるハダカ麦の、そのまた特異種が起源と言われるモチ麦は生命体としては弱い部類に入る植物で、栽培は難しい作物なのだそうです。そのため、普及が難しく、これまでは試行錯誤を重ねてきたベテラン農家の牧さんの経験と勘に頼る部分が大きかったのですが、「今年1年、真剣にハレックスが提供してくれる気象情報と向き合いながらやってみたおかげで、普及のヒントが得られた気がして、自信が湧いてきた」という言葉もいただきました。ウンウン、それはよかった。これが、これからの日本の農業が変わっていく1つのキッカケになればいいですね。
ジェイウィングファームの事務所の前には、3ヶ月前の4月にはまだ建設途中だった牧場が完成し、2頭の馬がのんびりと草を食(は)んでいました。背後には標高1,000メートルの皿ヶ嶺をはじめとした四国山脈の山々が屏風のように迫り、その手前には牧さんがアメリカの農家の庭をイメージして作り上げたという麦畑の真ん中の公園「Sunny Side Field」。これらをバックにして、素晴らしい景観が生まれています。最近は写真を撮影しにくる人もいらっしゃるようです。牧さんが若い頃に留学し、今も憧れているというアメリカ合衆国アイダホ州の農家のイメージが徐々に創り上げられつつように感じます。
それにしても、のんびり草を食む馬達の様子を見ていると、本当に癒されます。そういう馬達を眺めていると世知辛い仕事の話などちょっと馬鹿馬鹿しく思えてきて、そこそこに切り上げ、2人の間の話題はいつの間にやら他愛もない世間話に移っていきました。
松山市にある私の実家では今年もパッションフルーツのグリーンカーテンが青々と茂っています。果実もいっぱい付いていて、これはそのうち母が宅配便で送ってきそうです。母はパッションフルーツは酸っぱいからと言って食べないのですが、私の息子の嫁と娘が大好物なので…。
今は鉢植えにしているハイビスカスの根元には蝉の抜け殻が…。近くの神社からは今年も騒がしい蝉の鳴き声が聞こえてきます。アサガオも綺麗に咲いています。夏ですね。
東京に戻る帰路、松山空港でこんなものを見つけました。「愛媛では蛇口を捻るとポンジュースが出てくる」という“都市伝説”があるようなのですが、その伝説の「蛇口から出る“みかんジュース”」です(^-^)v 200円を払うとプラスチック製のコップが渡され、自分で蛇口を捻って果汁100%のフレッシュなみかんジュースを飲むことができます。美味しいです♪( ´▽`)
この「蛇口から出る“みかんジュース”」はこれまでも何度か松山空港で目にしましたが、今年もこの日(7月20日)、松山空港に設置されたのだそうです。期間限定ですが、“都市伝説”は本当でした( ^∀^)
愛媛県では今年第72回の国民体育大会(国体)と第17回の全国障害者スポーツ大会が開催されます。そのための準備が着々と進んでいるようです。松山市役所の土木部に勤務する私の姪も、水泳会場の設営の担当なのだそうで、「おいちゃん、今年は国体の準備のために忙しくて、夏休みも取れそうにないんよ」とボヤいていました。「全国には47都道府県があるわけだから、次に愛媛で国体が開催されるのは47年後。おそらくその忙しさは自分の人生で2度と経験することはない。だから、ブツクサ言わずに頑張れ! そして、その忙しさを楽しめ!」…と、(無責任な)伯父としてはアドバイスしておきました。
私の郷里愛媛、本当にいいところですよ。
執筆者
株式会社ハレックス
前代表取締役社長
越智正昭
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