2014/06/09

航跡雲

一般に航跡雲と言えば「飛行機雲」を思い出すが、今日は船舶が作り出す航跡雲についてである。

船舶の動力源は主に、蒸気タービン、ガスタービン、ディーゼル機関などだが、このエンジンを動かすことで放出する排気ガス中には微粒子が含まれる。船舶が放出した微粒子を核として、水蒸気が凝結すると雲が形成される。海洋上を行き来する船舶は、目的港に向かって比較的直線的に移動するので、その航跡に沿って細長い線状の雲が形成される。

航空機の航跡雲の寿命に比べ、船舶の航跡雲は極めて長い。寿命が長いのは、高跡雲が生成されるのは高気圧圏内で風も弱く安定した大気の場所であるためである。この時期千島列島の東からアリューシャン方面にかけての海域では海霧の発生が多いが、海霧が発生するような湿った空気が、航跡雲の発生に好都合の条件となっている。

発生した航跡雲が長時間持続するため、この海域を様々な方向に行き来する船舶が次々と作り出した航跡が、重なってさまざまな模様が見られる。また、この雲はその場の風に流され徐々に変形し複雑な形を作っている。

2014060609航跡雲説明図

一枚の画像では移動がわからないので、動画で見てほしい。平成26年6月6日5時~15時の様子を1時間間隔の画像を編集した。航跡雲とその周囲の海霧がゆっくり移動している。千島の東に南北に延びる2本の航跡雲は毎時20km程度で北西方向に移動している。千島列島北部の島から細く南に延びるのはこの港から出航した船舶の軌跡のようだ。

20140606千島東航跡雲動画