日雨量の日本記録1317㎜
伊豆諸島の南海上をゆっくり西進した平成16年台風第10号は7月31日に高知県西部に上陸してから北北西に進み、山口県西部から日本海に進んだ。その後もゆっくり日本海を北上した。台風の上陸時の勢力は強いものではなかったが、徳島県上那賀町にある四国電力の海川観測点では総雨量2049㎜に達する記録的な豪雨となり、8月1日の日雨量は、日本の日雨量の記録を更新する1317㎜に達した。
海川(海川の位置は台風経路図上の星印)での1時間雨量の時間変化図を見ると台風が接近・通過した31日は未明から雨が降り続き日雨量は575㎜に達した。台風を取り巻く雨雲によってもたらせた大雨であった。台風との位置関係を見るため台風経路図に四国付近を通過した前後を青括弧で示したが、この部分が31日中心の大雨が降ったときの台風の位置である。
台風が四国から離れるに従い、8月1日未明に雨脚がいったん弱まったかに見えたが、台風が日本海に進んだ後も四国地方は南海上からの湿潤な気流の流入が続き、特に東部の南東斜面を中心に大雨が降り続いた。この時期に海川では、1時間100㎜を超える猛烈な雨が波状的に現れ、日雨量は1317㎜を記録した。経路図に示した赤括弧の部分に当たり、台風が四国から次第に離れていた時期である。
降雨の状況から、2つの段階に分けてみたが、それぞれが記録的で、台風10号の接近から通過後にかけての3日間で降り続いた雨の総量はなんと2000㎜を超えた。台風の接近通過による豪雨の例では、台風の接近前からの前線の活発化に伴う大雨に台風本体の激しい雨が加わることで起こることが多いが、この例は、台風通過後の方が激しい雨となっていた。
台風が大雨を降らせた原因の第一は、台風の動きが遅かったことにある。そして、台風の東側の太平洋高気圧の西側の縁を回る暖湿な気流が、台風通過後もしばらく四国地方に流入し続けたためで、この暖湿な気流が四国南東斜面を滑昇し、雨雲を強化したことで、徳島県の山地部分に激しい雨が続いたものである。
平成23年台風12号によって紀伊半島南部でも記録的な豪雨となったが、この時も台風が日本海に進んだ後まで大雨が続いたが、この事例と類似しており、大雨に対して警戒を要するパターンである。
参考ながら、一日に1317㎜の雨がどれほど凄いかわからないので、こんな比較資料を示す。一年間に降る雨の量(平年の年間降水量)を見ると、東京では1528.8㎜、大阪では1279.0㎜であり、徳島県の隣、瀬戸内側の高松では1082.3㎜である。年間に100日近い雨の日があり、この100回分を集めた量に匹敵すると考えてみれば、いかにすごい値か判るであろう。
海川(海川の位置は台風経路図上の星印)での1時間雨量の時間変化図を見ると台風が接近・通過した31日は未明から雨が降り続き日雨量は575㎜に達した。台風を取り巻く雨雲によってもたらせた大雨であった。台風との位置関係を見るため台風経路図に四国付近を通過した前後を青括弧で示したが、この部分が31日中心の大雨が降ったときの台風の位置である。
台風が四国から離れるに従い、8月1日未明に雨脚がいったん弱まったかに見えたが、台風が日本海に進んだ後も四国地方は南海上からの湿潤な気流の流入が続き、特に東部の南東斜面を中心に大雨が降り続いた。この時期に海川では、1時間100㎜を超える猛烈な雨が波状的に現れ、日雨量は1317㎜を記録した。経路図に示した赤括弧の部分に当たり、台風が四国から次第に離れていた時期である。
降雨の状況から、2つの段階に分けてみたが、それぞれが記録的で、台風10号の接近から通過後にかけての3日間で降り続いた雨の総量はなんと2000㎜を超えた。台風の接近通過による豪雨の例では、台風の接近前からの前線の活発化に伴う大雨に台風本体の激しい雨が加わることで起こることが多いが、この例は、台風通過後の方が激しい雨となっていた。
台風が大雨を降らせた原因の第一は、台風の動きが遅かったことにある。そして、台風の東側の太平洋高気圧の西側の縁を回る暖湿な気流が、台風通過後もしばらく四国地方に流入し続けたためで、この暖湿な気流が四国南東斜面を滑昇し、雨雲を強化したことで、徳島県の山地部分に激しい雨が続いたものである。
平成23年台風12号によって紀伊半島南部でも記録的な豪雨となったが、この時も台風が日本海に進んだ後まで大雨が続いたが、この事例と類似しており、大雨に対して警戒を要するパターンである。
参考ながら、一日に1317㎜の雨がどれほど凄いかわからないので、こんな比較資料を示す。一年間に降る雨の量(平年の年間降水量)を見ると、東京では1528.8㎜、大阪では1279.0㎜であり、徳島県の隣、瀬戸内側の高松では1082.3㎜である。年間に100日近い雨の日があり、この100回分を集めた量に匹敵すると考えてみれば、いかにすごい値か判るであろう。
執筆者
気象庁OB
市澤成介