2014/06/11
限界集落株式会社
推薦図書ネタが続きます。
今回紹介する本は小説で、題名は『限界集落株式会社』(黒野伸一著、小学舘)
この本、とにかく読むと元気になれます。元気になれるだけでなく、農業に関する勉強もしっかりできます。まさに農業(正確には農業経営)の『入門書』のような小説です。
Amazon.co.jpの紹介だとこんな感じになります。
『ルールは変わった。新しい公共がここに!』
過疎、高齢化、限界集落、市町村合併、食糧危機、ワーキングプア、格差社会…等々、日本に山積する様々な社会不安を一掃する、前代未聞!の逆転満塁ホームラン。地域活性エンタテイメント!!
【あらすじ】
起業のためにIT企業を辞めた主人公・多岐川優が、人生の休息で訪れた故郷は限界集落と言われる過疎・高齢化のため社会的な共同生活の維持が困難な土地だった。彼は、村の人達と交流するうちに集落の農業経営を担うことになる。現代の農業や地方集落が抱える様々な課題や抵抗勢力と格闘し、この限界集落を再生しようとするのだが……。
集落の消滅を憂う老人達、零細農家の父親と娘、田舎に逃げてきた若者、かつての負け組たちが立ち上がる!
まぁ~、あくまでも小説なのであれこれと話がうまく進みすぎる感じはするのですが、地域再生を考えるにあたって大事な事がそこここに散りばめられていて、いろいろと勉強になります。
一例を挙げると、
①米作りは利益を追求する場合には効率が悪い作物であるということ
②なにを作るかも大事だが、いかに売るかがもっと重要であるということ
③確実に売れる物(しかも可能な限り高値で)を育てることが再生の鍵
これらはビジネスの世界では当たり前のことなのですが、残念ながら農業の世界ではその当たり前がこれまで当たり前でなかったように思えます。これはこの小説の舞台となった架空の限界集落『止村(とどめむら)』だけに当てはまることではなく、日本全国の地方の農業現場に当てはまることではないか…と推察します。でないと、日本の農業はこんなに危機的状況にまで衰退はしません。
この崖っぷちの危機的状況を前にして主人公・多岐川優は村人達と一緒になって農業生産法人を立ち上げます。その『止村集落営農組織』が取り組んだ内容は、ざっと以下の通りです。
●付加価値の低い米作から扱いやすい葉物野菜への転換
●JA以外の流通ルートの開拓。隣県、東京など大消費地への直接販売
●独自のブランドを認識してもらうためのキャラクター作り
●Webサイトを通して、従来では売り物にならなかったくず野菜の販売
●作物を保護するための獣害対策
●取引先への出資依頼……等々
果たしてそんなに上手くいくのか?…って思うところもありますが、これが妙にリアリティがあっていいんです。止村は大消費地である東京まで高速道路を使えば約2時間程度で着くところにあるって場所の設定も、「直販」を考える上では有利で、リアリティが増します。
冒頭はあまりにもオーソドックスな展開で、読んでいていささか退屈に感じられるのですが、途中から急にシフトチェンジされて展開が速まり、徐々に物語の中に引き込まれていきます。こんなに次から次にうまくいくはずがなかろう…とツッコミを入れたくなるのですが、順風満帆に見えた展開も終盤思わぬ形で波乱があったり…。で、一気にラストへ。
どのように直面する試練を乗り越えていくのかをもう少しじっくり描いてもらえれば、もっと参考になるのにな…と思えなくもないのですが、そこはページ数も限られた小説です。仕方ないか(^^; (とは言え、400ページ近 いページ数なのですが…。)
農業に詳しくない方々には凄く取っつきやすい作品です。現代日本の農業や地方が直面している課題がよく分かりますし、世の中の閉塞感を吹き飛ばすような希望や可能性のヒントを与えてもくれます。とにかく読むと元気になれる作品です。お薦めです(^^)d
それにしても、この小説を書いた黒野伸一という作家。この小説を書くにあたって相当農業のことをリサーチしたのでしょうね。でないと、これほどまでにリアリティのある小説は書けません。現代地方の抱える課題や、農業の抱える課題も的確に捉えているし。
読後、興奮してこの本の感想を愛媛県農業法人協会会長のジェイ・ウイングファーム牧社長に電話して、「『限界集落株式会社』って小説があるの知ってる?」って話したところ、
「おぉ、『限界集落株式会社』、越智さん読んだか。もちろんワシも読んどるでぇ。出版されてすぐ買うて読んだ。さすがやなぁ、その本に行き着くとは。でも、面白いやろ! 百姓やっとるワシらが読んでも 面白い思う。参考になるしな。現実はあの小説に書いてある通りや。」
とのことでした(^^)d
そうそう、「限界集落株式会社」関連で、私の故郷・愛媛県で、まさにその「限界集落株式会社」を地でいっているような集落があります。(まさに弊社が農業のIT化プロジェクトに取り組もうとしている愛媛県です)
愛媛県西予市城川町川津南地区
ここには「やっちみる会」という地域組織があり、自らを「元快衆楽(げんかいしゅうらく)の里」
と呼び、地域住民が全員参加して、様々な地域興し活動を行っています。「元快衆楽」とは、
元(げん)気で長生きできる、活気ある環境をつくります。
快(かい)適で住みよい、きれいな地域をつくります。
衆(しゅう)民と助け合い、協力しあって生活をします。
楽(らく)しいイベントも盛りだくさん!笑顔あふれる地域づくりを目指します。
の意味。小説「限界集落株式会社」の内容とイメージがダブっていて、こういう風に頑張っている集落が私の故郷・愛媛県にあるというだけで嬉しくなってきます。
http://kawazu-portal.jp/ (このHP、なかなか面白いです。)
【追記】
お客様のやられている仕事を好きになれるかどうか、それも半端じゃなく本気で。それが営業に成功する最大の要因(決め手)だと私は思っています。事実、これまでの経験から言っても、そうでした。成功したと言える仕事、今でも思い出に残っている仕事のほとんどは、お客様の仕事が好きになれた仕事ばかりです。
そのため、ソリューション営業で成功するためには、お客様の仕事について、好きになれるまで、出来る範囲でトコトン勉強します。今見えている表面的なことだけではなく、歴史から始まって、周辺のことまでも含めて。実際に自分が体験することはまず出来ませんが、疑似体験くらいなら今の時代いっぱいできます。こうして本を読むこともそう。インターネットなんか宝の山です。
1年や2年実際に体験してみたところでお客様の仕事のほんの一部しか体験できません。それで分かった気になるのは、お客様に対して失礼と言うものです。いくら頑張ってみても絶対にお客様にはかなわないのですから。なので、そういうことはあまり意味のないことだと私は思っています。私たちはプロのソリューション屋です。私達の目的は効果的なソリューションを提供し、お客様に喜んでいただくことですから、そういうソリューション屋の目でお客様の仕事を俯瞰的に見る、すなわち疑似体験をすることが一番の近道だと私は思っています。それがプロのソリューション屋のやり方だと私は思っています。
で、お客様に「おっ、こいつは他の奴とは違う。本当に俺達のことが解ってくれている」と思っていただけたら、まず半分は成功したようなものです(^^)d
ソリューション営業においてはお客様の課題、それも真の課題を知らなければいい結果には繋がりません。そのためにはお客様に「こいつは俺達のことが解ってくれている」と思っていただくことから始めないといけません。「こいつは俺達のことが解ってくれている」と思っていただくということは、“仲間”に入れていただくということ。お客様も馬鹿ではありません。“仲間”以外には自分達の抱える課題について深いところまで打ち明けません。表面的なことを喋るだけにとどまります。それでは効果的なソリューション提案なんて絶対に出来るわけがありません。
お客様に「こいつは一緒に考えてくれる真の“仲間”だ」と思っていただけて、初めてお客様は本音というか真の課題を我々に話していただけるわけです。真の課題が見つかりさえすれば、あとは自分の経験や知識を駆使してその課題を解決する方法を考え、ご提案し、実現するだけのことです。
そうすることで、成功した時にお客様とともに成功の喜びを心から分かち合え、またそれによりお客様との信頼関係もさらに深まり、その先も長いお付き合いが出来るようになるというものです。
今回紹介する本は小説で、題名は『限界集落株式会社』(黒野伸一著、小学舘)
この本、とにかく読むと元気になれます。元気になれるだけでなく、農業に関する勉強もしっかりできます。まさに農業(正確には農業経営)の『入門書』のような小説です。
Amazon.co.jpの紹介だとこんな感じになります。
『ルールは変わった。新しい公共がここに!』
過疎、高齢化、限界集落、市町村合併、食糧危機、ワーキングプア、格差社会…等々、日本に山積する様々な社会不安を一掃する、前代未聞!の逆転満塁ホームラン。地域活性エンタテイメント!!
【あらすじ】
起業のためにIT企業を辞めた主人公・多岐川優が、人生の休息で訪れた故郷は限界集落と言われる過疎・高齢化のため社会的な共同生活の維持が困難な土地だった。彼は、村の人達と交流するうちに集落の農業経営を担うことになる。現代の農業や地方集落が抱える様々な課題や抵抗勢力と格闘し、この限界集落を再生しようとするのだが……。
集落の消滅を憂う老人達、零細農家の父親と娘、田舎に逃げてきた若者、かつての負け組たちが立ち上がる!
まぁ~、あくまでも小説なのであれこれと話がうまく進みすぎる感じはするのですが、地域再生を考えるにあたって大事な事がそこここに散りばめられていて、いろいろと勉強になります。
一例を挙げると、
①米作りは利益を追求する場合には効率が悪い作物であるということ
②なにを作るかも大事だが、いかに売るかがもっと重要であるということ
③確実に売れる物(しかも可能な限り高値で)を育てることが再生の鍵
これらはビジネスの世界では当たり前のことなのですが、残念ながら農業の世界ではその当たり前がこれまで当たり前でなかったように思えます。これはこの小説の舞台となった架空の限界集落『止村(とどめむら)』だけに当てはまることではなく、日本全国の地方の農業現場に当てはまることではないか…と推察します。でないと、日本の農業はこんなに危機的状況にまで衰退はしません。
この崖っぷちの危機的状況を前にして主人公・多岐川優は村人達と一緒になって農業生産法人を立ち上げます。その『止村集落営農組織』が取り組んだ内容は、ざっと以下の通りです。
●付加価値の低い米作から扱いやすい葉物野菜への転換
●JA以外の流通ルートの開拓。隣県、東京など大消費地への直接販売
●独自のブランドを認識してもらうためのキャラクター作り
●Webサイトを通して、従来では売り物にならなかったくず野菜の販売
●作物を保護するための獣害対策
●取引先への出資依頼……等々
果たしてそんなに上手くいくのか?…って思うところもありますが、これが妙にリアリティがあっていいんです。止村は大消費地である東京まで高速道路を使えば約2時間程度で着くところにあるって場所の設定も、「直販」を考える上では有利で、リアリティが増します。
冒頭はあまりにもオーソドックスな展開で、読んでいていささか退屈に感じられるのですが、途中から急にシフトチェンジされて展開が速まり、徐々に物語の中に引き込まれていきます。こんなに次から次にうまくいくはずがなかろう…とツッコミを入れたくなるのですが、順風満帆に見えた展開も終盤思わぬ形で波乱があったり…。で、一気にラストへ。
どのように直面する試練を乗り越えていくのかをもう少しじっくり描いてもらえれば、もっと参考になるのにな…と思えなくもないのですが、そこはページ数も限られた小説です。仕方ないか(^^; (とは言え、400ページ近 いページ数なのですが…。)
農業に詳しくない方々には凄く取っつきやすい作品です。現代日本の農業や地方が直面している課題がよく分かりますし、世の中の閉塞感を吹き飛ばすような希望や可能性のヒントを与えてもくれます。とにかく読むと元気になれる作品です。お薦めです(^^)d
それにしても、この小説を書いた黒野伸一という作家。この小説を書くにあたって相当農業のことをリサーチしたのでしょうね。でないと、これほどまでにリアリティのある小説は書けません。現代地方の抱える課題や、農業の抱える課題も的確に捉えているし。
読後、興奮してこの本の感想を愛媛県農業法人協会会長のジェイ・ウイングファーム牧社長に電話して、「『限界集落株式会社』って小説があるの知ってる?」って話したところ、
「おぉ、『限界集落株式会社』、越智さん読んだか。もちろんワシも読んどるでぇ。出版されてすぐ買うて読んだ。さすがやなぁ、その本に行き着くとは。でも、面白いやろ! 百姓やっとるワシらが読んでも 面白い思う。参考になるしな。現実はあの小説に書いてある通りや。」
とのことでした(^^)d
そうそう、「限界集落株式会社」関連で、私の故郷・愛媛県で、まさにその「限界集落株式会社」を地でいっているような集落があります。(まさに弊社が農業のIT化プロジェクトに取り組もうとしている愛媛県です)
愛媛県西予市城川町川津南地区
ここには「やっちみる会」という地域組織があり、自らを「元快衆楽(げんかいしゅうらく)の里」
と呼び、地域住民が全員参加して、様々な地域興し活動を行っています。「元快衆楽」とは、
元(げん)気で長生きできる、活気ある環境をつくります。
快(かい)適で住みよい、きれいな地域をつくります。
衆(しゅう)民と助け合い、協力しあって生活をします。
楽(らく)しいイベントも盛りだくさん!笑顔あふれる地域づくりを目指します。
の意味。小説「限界集落株式会社」の内容とイメージがダブっていて、こういう風に頑張っている集落が私の故郷・愛媛県にあるというだけで嬉しくなってきます。
http://kawazu-portal.jp/ (このHP、なかなか面白いです。)
【追記】
お客様のやられている仕事を好きになれるかどうか、それも半端じゃなく本気で。それが営業に成功する最大の要因(決め手)だと私は思っています。事実、これまでの経験から言っても、そうでした。成功したと言える仕事、今でも思い出に残っている仕事のほとんどは、お客様の仕事が好きになれた仕事ばかりです。
そのため、ソリューション営業で成功するためには、お客様の仕事について、好きになれるまで、出来る範囲でトコトン勉強します。今見えている表面的なことだけではなく、歴史から始まって、周辺のことまでも含めて。実際に自分が体験することはまず出来ませんが、疑似体験くらいなら今の時代いっぱいできます。こうして本を読むこともそう。インターネットなんか宝の山です。
1年や2年実際に体験してみたところでお客様の仕事のほんの一部しか体験できません。それで分かった気になるのは、お客様に対して失礼と言うものです。いくら頑張ってみても絶対にお客様にはかなわないのですから。なので、そういうことはあまり意味のないことだと私は思っています。私たちはプロのソリューション屋です。私達の目的は効果的なソリューションを提供し、お客様に喜んでいただくことですから、そういうソリューション屋の目でお客様の仕事を俯瞰的に見る、すなわち疑似体験をすることが一番の近道だと私は思っています。それがプロのソリューション屋のやり方だと私は思っています。
で、お客様に「おっ、こいつは他の奴とは違う。本当に俺達のことが解ってくれている」と思っていただけたら、まず半分は成功したようなものです(^^)d
ソリューション営業においてはお客様の課題、それも真の課題を知らなければいい結果には繋がりません。そのためにはお客様に「こいつは俺達のことが解ってくれている」と思っていただくことから始めないといけません。「こいつは俺達のことが解ってくれている」と思っていただくということは、“仲間”に入れていただくということ。お客様も馬鹿ではありません。“仲間”以外には自分達の抱える課題について深いところまで打ち明けません。表面的なことを喋るだけにとどまります。それでは効果的なソリューション提案なんて絶対に出来るわけがありません。
お客様に「こいつは一緒に考えてくれる真の“仲間”だ」と思っていただけて、初めてお客様は本音というか真の課題を我々に話していただけるわけです。真の課題が見つかりさえすれば、あとは自分の経験や知識を駆使してその課題を解決する方法を考え、ご提案し、実現するだけのことです。
そうすることで、成功した時にお客様とともに成功の喜びを心から分かち合え、またそれによりお客様との信頼関係もさらに深まり、その先も長いお付き合いが出来るようになるというものです。
執筆者
株式会社ハレックス
前代表取締役社長
越智正昭
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