2014/06/20
坂の上のクラウドコンソーシアム
6月18日(水)~20日(金)の3日間、お台場の東京ビッグサイトで日刊工業新聞社主催の『スマートコミュニティJapan 2014』というイベントが開催され、そのイベントに弊社が愛媛県の
IT企業の方々や農業法人の方々とご一緒に取り組んでいるITによる農業活性化プロジェクト『坂の上のクラウドコンソーシアム』が出展していたので、コンソーシアムメンバーとして顔を出してきました。
『スマートコミュニティJapan 2014』は「次世代エネルギーがもたらす新しい街づくりの総合展示会」という副題がついていて、「スマートコミュニティ展」、「バイオマスエキスポ」、「次世代自動車展」、そして「農業ビジネスソリューション展」の4つのサブイベントから成っています。『坂の上のクラウドコンソーシアム』はそのうちの「農業ビジネスソリューション展」に出展しました。
『坂の上のクラウドコンソーシアム』が取り組む『気象ビッグデータの活用による地域特性を考慮した72時間先までの「農業用気象予報システム」の開発と、それを利用した新たな営農管理の検討』は、農林水産省の国庫補助事業「農業界と経済界の連携による先端モデル農業確立実証事業」(平成26年度新規事業)に採択されています。
http://www.halex.co.jp/press/20140407-2692.html
今回の展示では、その取り組みコンセプトをパネルで展示して広く広報するとともに、弊社の気象ビッグデータ解析による農業用高精度気象予報(1kmメッシュ、1日48回更新、72時間先までの予報。『HalexDream!』)を活用した世界初の農業用気象システムに関して、現時点で完成している部分をデモ展示しました。
県産業振興財団ポスター
県産業振興財団リーフ-パンフレット
地元四国愛媛からは『坂の上のクラウドコンソーシアム』の母体である『えひめITソリューション研究会』の仕掛人である愛媛県経済労働部の大内係長のほか、『坂の上のクラウドコンソーシアム』の事務局を勤められている公益財団法人えひめ産業振興財団の神尾課長、地元農業生産者の代表としてコンソーシアムメンバーになっていただいている野本農園の野本社長も会場におみえになり、来場者の方々に『坂の上のクラウドコンソーシアム』の取り組みや狙いについて説明を行いました。
また、このイベントの主催者である日刊工業新聞社の取材があり、『坂の上のクラウドコンソーシアム』を代表して、私が取材に応じました。
近年、IT(情報工学)の分野では、“オープンデータ”、“ビッグデータ”という言葉が時代のトレンドになっています。これは、これまでは情報(データ)を処理するコンピュータシステムの構築のほうに軸足が置かれていたのが、IT、ICT(情報通信技術)の目覚ましい発達により、人々の関心はそうした単なる“器”の世界から、情報の中身(コンテンツ)にまで一歩踏み込んで扱うことに関心が高まってきているということの表れのように思えます。
今回の愛媛県のこの取り組みは、基本的にこの“オープンデータ”、“ビッグデータ”に着目した取り組みだという点に最大の特徴があります。
言うまでもなく、農業は自然を相手にする産業です。天候や地形、土壌、地域特異性等の複雑な自然環境に左右されます。また、生産や供給に季節性があり、地域依存型の産業であるため、情報が多様で、ある地域のノウハウが必ずしも他の地域では活用できないという特徴もあります。このように農業は自然を相手にするという特徴から製造業をはじめとする他の産業とはまったく異なる特性を持つため、これまでIT化を進めることが難しかったと我々は分析しています。
このことから、愛媛県では農業のIT化に関しても、これまで様々なところで取り組まれてきたコンピュータシステムやフィールドセンサーといった仕組み(器)の単なる構築や導入とは根本的に異なる“別のアプローチ”を採ることにしました。すなわち、情報(データ)の活用から入るというアプローチというわけです。
合言葉は、『ITは今、Information TechnologyからIntelligence Technologyの時代へ!』
で、弊社ハレックスが深く関与していることもありますが、農業を取り巻く様々な情報のうち、我々が着目したのが気象に関する情報です。
自然を相手にする農業において、最大の経営リスクは気象リスクです。強風害・水害・干害・霜害・雪害・低温害・高温害・乾燥等、気象災害の回避は農業経営における最大の課題の一つであると言えます。また、農作物の生育管理や農作業計画立案においても気温の積算データ等は極めて有効な情報になっています。
その一方で、そうした農業に密接に関連する気象情報に関しては、農業の生産現場を調べた限り、残念ながら積極的に活用されているとは言いがたい現状にあります。生産現場の方々が気象に関する情報を得ているのはテレビの天気予報かインターネットのお天気サイト等、公共メディアからがほとんどです。しかしながら、そうした公共メディアから入手できる情報は、気象庁が発表する情報の極々僅かに過ぎず、多くの情報が使われないまま終わってしまっているという悲しい現状にあります。
気象情報のデータはまさに『オープンデータ』、『ビッグデータ』と呼べる膨大な量のデータで、しかもそのデータが頻繁に更新されるという特徴があります。これまでは既存の一般的な技術ではこの頻繁に更新される膨大な量のデータを容易に処理・管理することが困難であったため、農業に適した形で気象情報データを処理することができませんでした。しかしながら、最新の技術開発によりその処理も徐々に可能になってきています。
今回のプロジェクトでは、まず最新のビッグデータ処理技術を用いた弊社独自の局地気象情報(『HalexDream!』)の農業分野への活用を探ることを“最初の突破口”として、その上で、引き続き農業分野における様々な情報(データ)の分析・活用の範囲を徐々に広げていくことに取り組むとしています。
そして、栽培管理情報等を広く集める仕組みを用意し、そこから得られた情報(データ)と気象情報等を組み合わせて分析を行い、そこからその土地の気候に合った様々な作物の生育予測や生育管理の仕組みの構築までをも目指していきたいと考えています。
もちろん、ここには生産現場の農業従事者や大学等の農業研究機関との連携が不可欠であり、その検討・分析のベースとするための仕組みをまず構築すること、それこそが今回のプロジェクトの真の狙いです。
私が申し上げるまでもなく、コンソーシアム名称の『坂の上のクラウド』とは、私が大好きな司馬遼太郎先生の書かれた小説『坂の上の雲』から採らせていただきました。
その司馬遼太郎先生の小説『坂の上の雲』のあとがきには、次のような言葉が書かれています。
******************************************************************
この長い物語は、その日本史上類のない幸福な楽天家達の物語である。やがて彼等は日露戦争という途方もない大仕事に無我夢中で首を突っ込んでゆく。最終的には、このつまり百姓国家が持った滑稽なほど楽天的な連中が、ヨーロッパにおける最も古い大国の一つと対決し、どのように振る舞ったかということを書こうと思っている。
楽天家達は、そのような時代人としての体質で、前をのみ見つめながら歩く。登ってゆく坂の上の青い天にもし一朶(いちだ)の白い雲が輝いているとすれば、それのみを見つめて坂を登ってゆくであろう。
******************************************************************
このあとがきの文中にもあるように、この日本という国は元々は『百姓国家』、すなわち“農業”を主たる産業とした国です(農業しかなかった国とも言えます)。そうした国にとって、今、農業という産業が衰退の危機を迎えています。農業と言う産業の衰退は、国家存亡の危機に繋がる大変に大きな問題です。
この危機に立ち向かうため、愛媛県としては「今こそ多方面の様々な知恵の結集が必要である」との思いから、農業分野だけでなく広く産官学の知恵を結集し、全県をあげて農業の活性化に取り組もうとこのプロジェクトを立ち上げました。
登ってゆく坂の上の青い天に見える“一朶の白い雲”、それは、愛媛県発の地域再生、日本再生の1つの姿です。
これが『坂の上の雲』の主な登場人物、秋山好古、秋山真之、正岡子規…この3人の出身地である四国愛媛県だからこその、このコンソーシアム名称にかける強い“思い”です(^^)d
『スマートコミュニティJapan 2014』は「次世代エネルギーがもたらす新しい街づくりの総合展示会」という副題がついていて、「スマートコミュニティ展」、「バイオマスエキスポ」、「次世代自動車展」、そして「農業ビジネスソリューション展」の4つのサブイベントから成っています。『坂の上のクラウドコンソーシアム』はそのうちの「農業ビジネスソリューション展」に出展しました。
『坂の上のクラウドコンソーシアム』が取り組む『気象ビッグデータの活用による地域特性を考慮した72時間先までの「農業用気象予報システム」の開発と、それを利用した新たな営農管理の検討』は、農林水産省の国庫補助事業「農業界と経済界の連携による先端モデル農業確立実証事業」(平成26年度新規事業)に採択されています。
http://www.halex.co.jp/press/20140407-2692.html
今回の展示では、その取り組みコンセプトをパネルで展示して広く広報するとともに、弊社の気象ビッグデータ解析による農業用高精度気象予報(1kmメッシュ、1日48回更新、72時間先までの予報。『HalexDream!』)を活用した世界初の農業用気象システムに関して、現時点で完成している部分をデモ展示しました。
県産業振興財団ポスター
県産業振興財団リーフ-パンフレット
地元四国愛媛からは『坂の上のクラウドコンソーシアム』の母体である『えひめITソリューション研究会』の仕掛人である愛媛県経済労働部の大内係長のほか、『坂の上のクラウドコンソーシアム』の事務局を勤められている公益財団法人えひめ産業振興財団の神尾課長、地元農業生産者の代表としてコンソーシアムメンバーになっていただいている野本農園の野本社長も会場におみえになり、来場者の方々に『坂の上のクラウドコンソーシアム』の取り組みや狙いについて説明を行いました。
また、このイベントの主催者である日刊工業新聞社の取材があり、『坂の上のクラウドコンソーシアム』を代表して、私が取材に応じました。
近年、IT(情報工学)の分野では、“オープンデータ”、“ビッグデータ”という言葉が時代のトレンドになっています。これは、これまでは情報(データ)を処理するコンピュータシステムの構築のほうに軸足が置かれていたのが、IT、ICT(情報通信技術)の目覚ましい発達により、人々の関心はそうした単なる“器”の世界から、情報の中身(コンテンツ)にまで一歩踏み込んで扱うことに関心が高まってきているということの表れのように思えます。
今回の愛媛県のこの取り組みは、基本的にこの“オープンデータ”、“ビッグデータ”に着目した取り組みだという点に最大の特徴があります。
言うまでもなく、農業は自然を相手にする産業です。天候や地形、土壌、地域特異性等の複雑な自然環境に左右されます。また、生産や供給に季節性があり、地域依存型の産業であるため、情報が多様で、ある地域のノウハウが必ずしも他の地域では活用できないという特徴もあります。このように農業は自然を相手にするという特徴から製造業をはじめとする他の産業とはまったく異なる特性を持つため、これまでIT化を進めることが難しかったと我々は分析しています。
このことから、愛媛県では農業のIT化に関しても、これまで様々なところで取り組まれてきたコンピュータシステムやフィールドセンサーといった仕組み(器)の単なる構築や導入とは根本的に異なる“別のアプローチ”を採ることにしました。すなわち、情報(データ)の活用から入るというアプローチというわけです。
合言葉は、『ITは今、Information TechnologyからIntelligence Technologyの時代へ!』
で、弊社ハレックスが深く関与していることもありますが、農業を取り巻く様々な情報のうち、我々が着目したのが気象に関する情報です。
自然を相手にする農業において、最大の経営リスクは気象リスクです。強風害・水害・干害・霜害・雪害・低温害・高温害・乾燥等、気象災害の回避は農業経営における最大の課題の一つであると言えます。また、農作物の生育管理や農作業計画立案においても気温の積算データ等は極めて有効な情報になっています。
その一方で、そうした農業に密接に関連する気象情報に関しては、農業の生産現場を調べた限り、残念ながら積極的に活用されているとは言いがたい現状にあります。生産現場の方々が気象に関する情報を得ているのはテレビの天気予報かインターネットのお天気サイト等、公共メディアからがほとんどです。しかしながら、そうした公共メディアから入手できる情報は、気象庁が発表する情報の極々僅かに過ぎず、多くの情報が使われないまま終わってしまっているという悲しい現状にあります。
気象情報のデータはまさに『オープンデータ』、『ビッグデータ』と呼べる膨大な量のデータで、しかもそのデータが頻繁に更新されるという特徴があります。これまでは既存の一般的な技術ではこの頻繁に更新される膨大な量のデータを容易に処理・管理することが困難であったため、農業に適した形で気象情報データを処理することができませんでした。しかしながら、最新の技術開発によりその処理も徐々に可能になってきています。
今回のプロジェクトでは、まず最新のビッグデータ処理技術を用いた弊社独自の局地気象情報(『HalexDream!』)の農業分野への活用を探ることを“最初の突破口”として、その上で、引き続き農業分野における様々な情報(データ)の分析・活用の範囲を徐々に広げていくことに取り組むとしています。
そして、栽培管理情報等を広く集める仕組みを用意し、そこから得られた情報(データ)と気象情報等を組み合わせて分析を行い、そこからその土地の気候に合った様々な作物の生育予測や生育管理の仕組みの構築までをも目指していきたいと考えています。
もちろん、ここには生産現場の農業従事者や大学等の農業研究機関との連携が不可欠であり、その検討・分析のベースとするための仕組みをまず構築すること、それこそが今回のプロジェクトの真の狙いです。
私が申し上げるまでもなく、コンソーシアム名称の『坂の上のクラウド』とは、私が大好きな司馬遼太郎先生の書かれた小説『坂の上の雲』から採らせていただきました。
その司馬遼太郎先生の小説『坂の上の雲』のあとがきには、次のような言葉が書かれています。
******************************************************************
この長い物語は、その日本史上類のない幸福な楽天家達の物語である。やがて彼等は日露戦争という途方もない大仕事に無我夢中で首を突っ込んでゆく。最終的には、このつまり百姓国家が持った滑稽なほど楽天的な連中が、ヨーロッパにおける最も古い大国の一つと対決し、どのように振る舞ったかということを書こうと思っている。
楽天家達は、そのような時代人としての体質で、前をのみ見つめながら歩く。登ってゆく坂の上の青い天にもし一朶(いちだ)の白い雲が輝いているとすれば、それのみを見つめて坂を登ってゆくであろう。
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このあとがきの文中にもあるように、この日本という国は元々は『百姓国家』、すなわち“農業”を主たる産業とした国です(農業しかなかった国とも言えます)。そうした国にとって、今、農業という産業が衰退の危機を迎えています。農業と言う産業の衰退は、国家存亡の危機に繋がる大変に大きな問題です。
この危機に立ち向かうため、愛媛県としては「今こそ多方面の様々な知恵の結集が必要である」との思いから、農業分野だけでなく広く産官学の知恵を結集し、全県をあげて農業の活性化に取り組もうとこのプロジェクトを立ち上げました。
登ってゆく坂の上の青い天に見える“一朶の白い雲”、それは、愛媛県発の地域再生、日本再生の1つの姿です。
これが『坂の上の雲』の主な登場人物、秋山好古、秋山真之、正岡子規…この3人の出身地である四国愛媛県だからこその、このコンソーシアム名称にかける強い“思い”です(^^)d
執筆者
株式会社ハレックス
前代表取締役社長
越智正昭
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