2014/06/30
沖縄地方の梅雨明け
6月26日、沖縄気象台が「梅雨の時期に関する沖縄地方気象情報 第2号」を発表した。いわゆる「梅雨明けを宣言した」と報道される情報である。
この情報文を初めて見た方は、なんと歯切れの悪い表現だと思うかもしれない。
昔の梅雨明けの情報は、「今日(6月26日)、梅雨が明けました」と、特定の日を持って梅雨が明けたと発表していました。しかし、毎年毎年の季節変化を見ると、梅雨の入り明けが明瞭に現れる年もあれば、あまりはっきりしない年もある。気前よく梅雨の入りや明けを発表できる場合は良いが、発表の後も梅雨の状況から抜け切れないこともあって、「梅雨が明けたはずなのに」などの苦情が殺到することもあった。
先に示したような文面で、梅雨の入りや明けを発表するに至ったのは、ある年の梅雨の明けの発表が大きくずれたことがあり、国会においても、気象庁の梅雨入り・梅雨明けを発表することへの是非論まで出たことが発端でした。
厳しい批判をを受けて、気象庁は、梅雨は季節現象であり「移り変わりの期間」があるので、特定の日を持って「梅雨入りした」、「梅雨明けした」ではなく、移り変わりの期間を表現するよう改めることとした。今から20年ほど前のことである。
その時の発表形式で今回の沖縄地方の梅雨明けを表現すると「沖縄地方は6月下旬の後半に梅雨が明けました」となる。この「旬の前半」とか「旬の後半」といった表現に対して各方面から判りにくいとの意見が寄せられ、さらなる検討が行われた結果、現在の形に落ち着いたものである。
情報文の変遷はこの程度にして、沖縄の梅雨明けの様子を衛星画像で見ることにする。
6月26日に「沖縄が梅雨明けしたと見られる」とした前後の梅雨前線の動向を見るため、前後2日を加えた5日分の正午の画像を並べてみる。
東西に長く伸びる雲の帯が梅雨前線で、その南側の黒い部分が夏の主役となる太平洋高気圧である。24日、25日は梅雨前線は沖縄本島を隠しており、九州は雲の帯の北側の晴天域に入っていた。しかし、26日になると、この雲の帯が北上して九州を覆い、沖縄は太平洋高気圧の北縁に位置する形となった。この前線の北上は前線上を東進する低気圧によるものと、太平洋高気圧の強まりによるものが考えられる。確かに、低気圧化゛関東の南に進んだ28日には、前線はやや南下して、九州は再び前線の北側の晴天域に入ったが、沖縄本島までは南下しなかった。太平洋高気圧の勢力がこれ以上の前線の南下を抑えたものである。
沖縄の梅雨明けは、九州・四国・本州にとっては、梅雨本番を迎えたことになる。太平洋高気圧が一段と勢力を強めて、本州付近を覆うようになるまで、この画像に見られる梅雨前線とその南の太平洋高気圧のせめぎ合いが続くことになる。
日本周辺域を俯瞰できるひまわり画像では、梅雨前線は東西数千キロに及ぶ長大な雲の帯として見ることができる。今回示したように、一日一枚程度の間隔で見ると、緩やかな変動が見えるのでこんな方法で変動を追って見られたい。毎時間の画像を連続的に見た方が変化かわかると思うかもしれないが、短時間の変動の方に目が注がれ、緩やかな変動が見えなくなるので、見る対象によって見方を変えることが大切です。
ところで、日本の南東の海上に黄色円を付した部分の雲は、太平洋高気圧の南縁を西進する上空の寒冷低気圧周辺に発生している雲で、現在ゆっくりと西南西に進んでいます。この雲域の動向に注目したい。
このような熱帯域に見られる上空の寒冷低気圧の周辺で雲域が活発化し、ここに台風が発生することがある。まだ、今の状態では何とも言えないが、太平洋高気圧の南側の雲の動きにも注意を払う時期になってくる。週間予報資料でも、週後半に沖縄の南海上に熱帯じょう乱が予想されている(下図)。
この情報文を初めて見た方は、なんと歯切れの悪い表現だと思うかもしれない。
昔の梅雨明けの情報は、「今日(6月26日)、梅雨が明けました」と、特定の日を持って梅雨が明けたと発表していました。しかし、毎年毎年の季節変化を見ると、梅雨の入り明けが明瞭に現れる年もあれば、あまりはっきりしない年もある。気前よく梅雨の入りや明けを発表できる場合は良いが、発表の後も梅雨の状況から抜け切れないこともあって、「梅雨が明けたはずなのに」などの苦情が殺到することもあった。
先に示したような文面で、梅雨の入りや明けを発表するに至ったのは、ある年の梅雨の明けの発表が大きくずれたことがあり、国会においても、気象庁の梅雨入り・梅雨明けを発表することへの是非論まで出たことが発端でした。
厳しい批判をを受けて、気象庁は、梅雨は季節現象であり「移り変わりの期間」があるので、特定の日を持って「梅雨入りした」、「梅雨明けした」ではなく、移り変わりの期間を表現するよう改めることとした。今から20年ほど前のことである。
その時の発表形式で今回の沖縄地方の梅雨明けを表現すると「沖縄地方は6月下旬の後半に梅雨が明けました」となる。この「旬の前半」とか「旬の後半」といった表現に対して各方面から判りにくいとの意見が寄せられ、さらなる検討が行われた結果、現在の形に落ち着いたものである。
情報文の変遷はこの程度にして、沖縄の梅雨明けの様子を衛星画像で見ることにする。
6月26日に「沖縄が梅雨明けしたと見られる」とした前後の梅雨前線の動向を見るため、前後2日を加えた5日分の正午の画像を並べてみる。
東西に長く伸びる雲の帯が梅雨前線で、その南側の黒い部分が夏の主役となる太平洋高気圧である。24日、25日は梅雨前線は沖縄本島を隠しており、九州は雲の帯の北側の晴天域に入っていた。しかし、26日になると、この雲の帯が北上して九州を覆い、沖縄は太平洋高気圧の北縁に位置する形となった。この前線の北上は前線上を東進する低気圧によるものと、太平洋高気圧の強まりによるものが考えられる。確かに、低気圧化゛関東の南に進んだ28日には、前線はやや南下して、九州は再び前線の北側の晴天域に入ったが、沖縄本島までは南下しなかった。太平洋高気圧の勢力がこれ以上の前線の南下を抑えたものである。
沖縄の梅雨明けは、九州・四国・本州にとっては、梅雨本番を迎えたことになる。太平洋高気圧が一段と勢力を強めて、本州付近を覆うようになるまで、この画像に見られる梅雨前線とその南の太平洋高気圧のせめぎ合いが続くことになる。
日本周辺域を俯瞰できるひまわり画像では、梅雨前線は東西数千キロに及ぶ長大な雲の帯として見ることができる。今回示したように、一日一枚程度の間隔で見ると、緩やかな変動が見えるのでこんな方法で変動を追って見られたい。毎時間の画像を連続的に見た方が変化かわかると思うかもしれないが、短時間の変動の方に目が注がれ、緩やかな変動が見えなくなるので、見る対象によって見方を変えることが大切です。
ところで、日本の南東の海上に黄色円を付した部分の雲は、太平洋高気圧の南縁を西進する上空の寒冷低気圧周辺に発生している雲で、現在ゆっくりと西南西に進んでいます。この雲域の動向に注目したい。
このような熱帯域に見られる上空の寒冷低気圧の周辺で雲域が活発化し、ここに台風が発生することがある。まだ、今の状態では何とも言えないが、太平洋高気圧の南側の雲の動きにも注意を払う時期になってくる。週間予報資料でも、週後半に沖縄の南海上に熱帯じょう乱が予想されている(下図)。
執筆者
気象庁OB
市澤成介