2014/09/12
『デング熱』考
このところテレビのニュースや新聞などでは、連日『デング熱』の感染のことが報道されていて、感染場所と推定される代々木公園や新宿中央公園が封鎖されたり、東京都主催のイベントが中止になったり、厚生労働省が東京都など関係機関を集めた緊急の対策会議を開いたり…と、時ならぬ大騒動になっているような感じです。
ただ、世の中には『デング熱』のことを『テング(天狗)熱』だと誤って認識していた人がかなり大勢いらっしゃったようで、恥ずかしながら私もその1人でした(^^; 高熱を発して天狗のように真っ赤っかな顔になるから『テング熱』と言うのかな…なぁ~んて勝手に思っちゃっていました(苦笑)
この『デング熱』を巡っては、先週、東京・渋谷の代々木公園を訪れていた男女3人がおよそ70年ぶりに国内で感染したことが確認されて以降、今日までに確か15の都道府県で合わせて88人の感染が確認されています。
と言うことで、この日本人には耳慣れない『デング熱』という感染症に関して、少し調べてみました。以下はWikipediaからの抜粋です。なお、〔⇒ 〕内はあくまでも医学素人の私の勝手な解釈です。気にしないで読み飛ばしてください(^.^)
『デング熱(dengue fever)』はデングウイルス(Dengue virus)が原因の感染症であり、熱帯病の一つです。予防のワクチンは今のところ無く、蚊を介して感染することから、とにかく蚊に刺されないようにするしか、感染を予防する方法はないということのようです。
〔⇒要するに、これまで、優先順位的に世界の研究者の主たる研究対象にはなっていなかった…ってことのようです〕
一過性の熱性疾患であり、症状には発熱、頭痛、筋肉痛、関節痛があげられ、麻疹(はしか)の症状によく似た特徴的な皮膚発疹が出ることもあるようです。治療方法は対症療法が主体で、発熱や頭痛といった今起きている症状を軽減するための治療しかないようで、より重度の場合は、点滴静脈注射や輸血といった治療が用いられるそうです。デング熱に感染してもほとんどの場合重篤な状態にはならず、1週間くらいで症状は消え、後遺症もなく回復するらしいです。ただ、極々稀なことではありますが、生命を脅かすデング出血熱に発展し、出血、血小板の減少、または血漿(けっしょう)漏出を引き起こしたり、デングショック症候群に発展して、出血性ショックを引き起こすこともあるそうです。
〔⇒要するに、大抵はたいしたことがなく、刺されてすぐにウナコーワに代表されるような虫刺されの薬をチョチョイと塗っておけば、気がつかないうちに治癒してしまっていた…ということだったようです。およそ70年ぶりに国内で感染が確認されたというのも、この間、かかったとしても病院に担ぎ込まれるくらい重症な症状を発症した人がいなかっただけか、病院で診てもらったとしてもただの夏風邪だと診断されていただけのことだと考えたほうがよさそうです(今のところ対処療法しかないので、処置は変わらなかったと思います)。蜂に刺されたら熱は出ますし、蚊に刺された場合よりもよっぽど大きく腫れ上がります。場合によっては死に至ります。蜂に刺されて病院に担ぎ込まれる人のほうが、よっぽど多いのでは…と考えます。蚊ということで、甘く見られていたのかもしれません〕
主な媒介生物は蚊の中でもヤブ蚊と呼ばれる昼行性の蚊で、その中でも特にネッタイシマカ(日本にはいないとされています)やヒトスジシマカ(日本で昼間に刺す最も普通の蚊)などの蚊によって媒介されます。
〔⇒要するに、黒くてシマシマのあるヤブ蚊には注意しろ!…ということのようです。夜行性の日本でよく見かける蚊はイエ蚊と呼ばれる種類の蚊で、理由は分かりませんが、デング熱の感染にはあまり関係がないようです。とにかく、ヤブ蚊に刺されないようにすることですね。私も何度も(田舎育ちなので子供の頃から考えると数えきれないくらい)刺されたことがありますが、イエ蚊と異なり、ヤブ蚊に刺されるとかなり腫れ上がりますし、猛烈に痒いです。刺された箇所が熱を帯びたりもします。また、痒みが収まった後もしばらく痕が残ります〕
デング熱の存在が文献に現れるようになったのは1779年からであり、ウイルスが原因であることや伝染経路について解明されたのは20世紀初頭になってからのことです。第二次世界大戦以降、デング熱は世界的に広まり、1960年代からその発生数は急激に増加しているようです。現在では110ヶ国以上で毎年およそ5,000万人から1億人が感染する風土病となっているのだそうです。
〔⇒毎年、およそ5,000万人から1億人が感染するなんて、インフルエンザや麻疹の比ではありません。要するに、世界的に見ると、感染すること自体はそんなに珍しいことではないということのようです。むしろ、意識しないといけないのは、これまで熱帯地方特有の風土病と思われていた病気の発症が日本でも見られるようになったということですね〕
その原因として、急激な都市化や地球温暖化が関与していると考えられています。
〔⇒要するに、原因がよく分かっていないということのようです。原因が不明なものは、なんでもかんでも「急激な都市化や地球温暖化が関与していると考えられている」とする現代の風潮に、いかがなものか…と私は考えています。研究者の方々には、しっかりしろ! もう一歩、踏み込め!と応援のエールを贈らせていただきます。それによりもっと具体的な対策も考えられるわけですから〕
このように『デング熱』がここまでの大騒動になっている背景には、西アフリカで患者が増え続けている『エボラ出血熱』の影響が少なからずあるように、私には思えます。
この『エボラ出血熱』、WHO(世界保健機関)の事務局長が9月3日に行った最新の記者会見によると、西アフリカの4ヶ国でエボラウイルスに感染、または感染の疑いがある人は3,500人に上り、死者の数は既に1,900人を超えたということのようです。WHOは先月28日に死者の数を1,552人と発表していましたので、この1週間ほどで死者の数が300人以上増えたことになります。WHOの事務局長は「感染は今も我々の努力を超える速度で拡大している」との強い危機感を示しているとのことで、国際的にも大きな問題になっています。
『デング熱』に関しては、この西アフリカにおける『エボラ出血熱』の感染が同時期に国際的に大きな問題になっているので、マスコミが必要以上に過敏に反応し過ぎているのではないか…と、私は思っています。まぁ、同じ熱帯性の感染症だし、カタカナがついた聞き慣れない“◯◯◯熱”という名称のせいで話題性もあり、マスコミがパクッと飛びついて、必要以上に大袈裟に騒ぎ立てた…と見て間違いないと私は思っています。取り上げること自体は問題だと思っておりませんが、取り上げるのであれば、冷静になって、問題をもう少し論理的に掘り下げて扱う必要があるのではないか…と、私は思っています。いたずらに危機感ばかりを煽りすぎると、世の中、間違った方向にいきがちになります。
また、厚生労働省が開いた緊急の対策会議でも、対策は蚊の駆除しかないという極めて当たり前の対策しか出なかったそうです。
〔⇒といって、今回みつかった患者さん達の多くに共通する感染場所と疑われている代々木公園や新宿中央公園等だけを消毒駆除したところで、ほとんど意味はないことだと私は思うのですが…。逆にやり過ぎると、従来からの生態系の破壊にも繋がって、別の問題も発生しそうに思えます。感染源の場所を特定することが無駄なことだとは言いませんが、それらの場所に行ったことのない感染者さんも新たに見つかっていて、むしろ、今や日本中どこにでもウイルスがいる可能性があって、単にこれまで問題にされてこなかっただけだ…と理解しておいたほうが、より効果的な対応策も考えやすいと思います〕
蚊の駆除と言うと、今年は蚊が大量に発生しているような印象を持ちますが、私の感想で言わせていただくと、むしろその逆で、そもそも今年は例年以上に蚊の発生が少ないのではないか、それも半端じゃあなく少ないのではないか…と思っています。
思い出す限りにおいて、私は今年、これまで一度も蚊に刺されていません。蚊に刺されやすい体質なのか、子供の頃から夏になると身体中蚊に刺されまくっていた私ですが、どういうわけか、今年は記憶にある限り、一度も刺されてはいません。それどころか、蚊が飛んでいる姿も見かけたことがないし、プゥ~~ンというあの不快な羽音も耳にしたことがないように思えます。(たまたま幸いなことに…というだけのことだと思いますが…)
これは東京やさいたま市といった首都圏だけのことでもなく、今年は四国・愛媛県の松山市にある実家に帰省した際にも、蚊に刺された記憶がありません。松山の実家は周囲に田圃があり、毎年夏になると夜は蚊取り線香の匂いで室内が充満しているようなところがあるのですが、3年前からその田圃も近所の農家の方が高齢のため稲作を止めてしまったので水を張っていないこともあり、今年はその蚊取り線香の匂いも嗅いでないような……。
今年の私はアウトドア系の活動をほとんどやっていないので、ヤブ蚊が発生しそうな場所にいっさい近付いていないことも、今年、蚊に刺されていないことの大きな要因かと思います。皆さんがお住まいのあたりはいかがですか?
今年はこれまでのところ蚊に刺されてはおりませんが、確か昨年まではこんな感じではなく、プゥ~~ンという羽音を耳にして、夜、眠れなかった日も何度かあったように思います。でも、それも以前と比べると格段に減ったような気がします。
“異常”ということで言うと、私にはむしろこのことのほうが“異常”のように感じ、研究者の皆さんには、是非その実態と原因を調査していただかないといけないと思っています。
蚊はとっても迷惑で、蚊に刺されやすい私のような体質の者にとっては二度と見たくもないくらいに大嫌いな存在ではあるのですが、さりとて、1シーズン、まったく遭遇していないというのも気になるものです。自然環境になにか重大な異変があるのかもしれません。
かつて、夏と言えば蚊に刺されることが、花火やスイカ、かき氷等とともに季節を感じさせる「風物詩」のようなところがあったのですが、このところ、それが変わりつつあるように思えます。このことに興味を持って、蚊の生態についてネットで調べてみると、面白いことがわかりました。
一言で言うと、ここ数年続く夏の猛暑と少雨により水溜まりが干上がり、卵を産む場所が少なくなっているほか、あまりの猛暑で成虫でも生命を維持することが困難な環境になっているのだそうです。
蚊が産卵する場所は基本的に水が溜まるところで、かつ、水がその場に滞留していることが条件です。卵がかえるとボウフラという幼虫になるのですが、水が流れるような場所では、卵も幼虫のボウフラも流失してしまい、成虫にはなりません。その水溜まりが少なければ、当然成虫の個体数を増やせないわけです。特に都市部では地面がコンクリートやアスファルトに覆われ、水溜まりになるようなところ自体が減っていることも大きく影響しているのかもしれません。街中への空き缶や空き瓶をはじめとしたゴミの放置もほとんどなくなり、綺麗になりましたし。
前述のように、日本に棲息する代表的な蚊は、「ヒトスジシマカ」と「アカイエカ」。ヒトスジシマカは一般に「ヤブ蚊」と呼ばれる黒い体に白いまだら模様のある蚊で、比較的水が少ない環境でも幼虫は育ちます(デングウイルスを媒介する蚊であることは前述の通りです)。これに対し、アカイエカは一般に「イエ蚊」と呼ばれ、その名の通り赤褐色の体色が特徴で、住宅や田園が残るような場所に多く、比較的水の量が多いところで幼虫が育ちます。
アカイエカ、ヒトスジシマカとも活動に最適な環境は気温が25℃前後なんだそうです。蚊と言うと暑さに強いイメージがあるのですが、蚊にとっての適温は人間と変わらないんですね。だから気温が下がる朝晩になると、急に動きが活発になるのだとか。
さらに、アカイエカは気温が30℃以上、ヒトスジシマカは35℃以上になると成虫自身が死ぬ可能性が高くなり、高温になれば日陰に身を隠し、おとなしくじっと身を守るという特性を持ちます。また、高温が続くと長生きはできません。すなわち、蚊は猛暑に弱く、晴れの日が続き、高温となり、その影響で水溜まりが減ると、蚊にとっては極めて生きにくい環境になるってことのようです。このことは、今後地球温暖化が進んで猛暑の夏が続くようになってくると、実は蚊にとっても生活しにくい環境になっていくってことを意味しています。
蚊についてもっと詳しく知りたい方には害虫防除技術研究所のWebサイトを是非ご覧ください。
害虫防除技術研究所HP
読むだけで痒くなりそうなサイトですが、蚊に関する情報が満載で、非常に興味深いです。
まぁ~、今年は蚊の発生が例年に比べて少なかったから、『デング熱』の感染もこのくらいで済んでいる…という見方もできます。問題は、今年のこの『デング熱』騒動をどのように受け止め、将来に備えるか…だと、私は思っています。
地球が世界的規模で温暖化に向かっていることもありますが、それ以上に、ヒトやモノの行き来が日々グローバルワイドで活発に行われる時代において、これまでの常識はほとんど通用しない時代になっていて、地球規模の気候変動を含め、対応を根本から考え直さないといけない時代になっているってことは、間違いないようです。
とにかく蚊に刺された後、発熱などの症状が出た場合には速やかに医療機関を受診することです。決して、たかが蚊…と侮ってはいけないってことのようです。
【追記1】
今年、私が一度も蚊に刺されていない…とか、このところ例年以上に蚊が少ないような気がする…とか書きましたが、これは単に今年これまでがそうだったというだけのことなのかもしれません。
蚊が猛暑で絶滅しているのかというと、決してそんなことはありません。そもそも、蚊はしぶとい昆虫だし、馬鹿じゃあありません。彼等も生き残るために必死な筈です。東京都内でも代々木公園や新宿中央公園といった緑の多い(過ごしやすい)ところで、木々の中や草むらの中に身を潜めて、活動するのに快適な時期がやって来るのをジッと待っているのかもしれません(人間にとって遊びに行くような快適な場所は、蚊にとっても快適な場所であると言えますから)。
9月に入り、(蚊も苦手な)猛暑も一段落。日中の気温も、蚊にとっても快適な25℃前後という気温に近付いてきました。しかも、前月8月は日本各地で観測史上最高の降水量を記録したところもあったように、水溜まりや湿地も増えていると思います。むしろ、蚊が元気に活動するようになるのは“これから”ということなのかもしれません。
蚊は寒さに弱そうですが、調べてみると、決してそんなことはありません。種類によりますが、大雑把に言って気温が10℃くらいまでなら十分活発に活動をするようです。アカイエカやコガタイエカなどは成虫で越冬しますので、気温が5℃くらいになっても平気で活動します。オオクロヤブカ等は幼虫で越冬しますので、これも0℃前後の水の中でも平気で生きています。ヒトスジシマカは卵で越冬します。
地球温暖化ということで言うと、問題は夏よりも冬のほうにあります。このところ関東地方以西では1日の最低気温が0℃以下となる冬日の日数が激減している傾向にあります(これが年平均気温を上昇させている最大の要因です)。加えて、以前と比べると建物の断熱性も格段に向上しています。と言うことは、それだけ蚊の活動期間が長くなるということを意味しています。すなわち、これからは冬でも蚊に刺されることがある…ということです。
本文で、「蚊に刺されることは夏の風物詩」なぁ~んてことを書きましたが、もはやこれも過去のことで、これからの日本では1年中蚊に刺されることがある…ということを覚悟しないといけなくなるかもしれません。
『デング熱』の感染と、蚊の生態と、地球温暖化の関係のことを考えるにあたっては、むしろこちらのほうを意識しないといけない…と私は思っています。
ちなみに、弊社ハレックスでは、ウナコーワの興和株式会社様のWebサイト『コーワのケロコロランド』向けに次のような情報サービスをご提供しています。是非、ご活用ください(^^)d
ハレックス社導入事例
【追記2】
環境省が『地球温暖化と感染症 ~いま、何がわかっているのか?~』という冊子をWebで公開しています。こちらも是非ご覧ください。
環境省HPより
【追記3】
“蚊”と言えば、忘れられない思い出があります。今から15年ほど前、イギリスのマンチェスターに出張した時のこと。夜、あるパブに入ったのですが、ビールを運んできた筋肉モリモリの屈強な男性ウエイターのぶっとい二の腕に彫られたタトゥーに目が釘付けになっちゃいました(@_@)
当時イギリスでは漢字がブームなのか、そのウエイターの左の二の腕には、ある一文字の漢字がタトゥーで彫られていました。その字が彼にはあまりに不似合いなので気になり、私がそのウエイターに「それはどういう意味があるの?」って訊いてみたところ、そのウエイターは自信満々な顔をして、こう答えました。
「スネイクだ! オマエは日本人だろ、この字も読めないのか?」
ヘッ!? スネイク? スネイクなら虫ヘンにウ書いてヒで“蛇”だよね。それ、どう見ても虫ヘンに文。だから“蚊”、“モスキート”!(笑)
きっといかがわしいタトゥーの彫り士が適当に彫ったものだと思います。“蚊”がアナコンダやコブラのようなデッカイ蛇のことだと勝手に思い込んでいる筋肉モリモリの屈強なウエイター君が、この衝撃の“真実”を知った時、どのような行動に出るのかについては、想像するのも恐ろしいことなので、想像することをやめました。もちろん、私から彼にその事実(真実)を伝える勇気もなく、あまりに気の毒すぎて、ずっと笑いを噛み殺していました(^^;
文化は正しく人に伝えないと、必ず不幸な人が生まれるという、いい例です(^^)d
ただ、世の中には『デング熱』のことを『テング(天狗)熱』だと誤って認識していた人がかなり大勢いらっしゃったようで、恥ずかしながら私もその1人でした(^^; 高熱を発して天狗のように真っ赤っかな顔になるから『テング熱』と言うのかな…なぁ~んて勝手に思っちゃっていました(苦笑)
この『デング熱』を巡っては、先週、東京・渋谷の代々木公園を訪れていた男女3人がおよそ70年ぶりに国内で感染したことが確認されて以降、今日までに確か15の都道府県で合わせて88人の感染が確認されています。
と言うことで、この日本人には耳慣れない『デング熱』という感染症に関して、少し調べてみました。以下はWikipediaからの抜粋です。なお、〔⇒ 〕内はあくまでも医学素人の私の勝手な解釈です。気にしないで読み飛ばしてください(^.^)
『デング熱(dengue fever)』はデングウイルス(Dengue virus)が原因の感染症であり、熱帯病の一つです。予防のワクチンは今のところ無く、蚊を介して感染することから、とにかく蚊に刺されないようにするしか、感染を予防する方法はないということのようです。
〔⇒要するに、これまで、優先順位的に世界の研究者の主たる研究対象にはなっていなかった…ってことのようです〕
一過性の熱性疾患であり、症状には発熱、頭痛、筋肉痛、関節痛があげられ、麻疹(はしか)の症状によく似た特徴的な皮膚発疹が出ることもあるようです。治療方法は対症療法が主体で、発熱や頭痛といった今起きている症状を軽減するための治療しかないようで、より重度の場合は、点滴静脈注射や輸血といった治療が用いられるそうです。デング熱に感染してもほとんどの場合重篤な状態にはならず、1週間くらいで症状は消え、後遺症もなく回復するらしいです。ただ、極々稀なことではありますが、生命を脅かすデング出血熱に発展し、出血、血小板の減少、または血漿(けっしょう)漏出を引き起こしたり、デングショック症候群に発展して、出血性ショックを引き起こすこともあるそうです。
〔⇒要するに、大抵はたいしたことがなく、刺されてすぐにウナコーワに代表されるような虫刺されの薬をチョチョイと塗っておけば、気がつかないうちに治癒してしまっていた…ということだったようです。およそ70年ぶりに国内で感染が確認されたというのも、この間、かかったとしても病院に担ぎ込まれるくらい重症な症状を発症した人がいなかっただけか、病院で診てもらったとしてもただの夏風邪だと診断されていただけのことだと考えたほうがよさそうです(今のところ対処療法しかないので、処置は変わらなかったと思います)。蜂に刺されたら熱は出ますし、蚊に刺された場合よりもよっぽど大きく腫れ上がります。場合によっては死に至ります。蜂に刺されて病院に担ぎ込まれる人のほうが、よっぽど多いのでは…と考えます。蚊ということで、甘く見られていたのかもしれません〕
主な媒介生物は蚊の中でもヤブ蚊と呼ばれる昼行性の蚊で、その中でも特にネッタイシマカ(日本にはいないとされています)やヒトスジシマカ(日本で昼間に刺す最も普通の蚊)などの蚊によって媒介されます。
〔⇒要するに、黒くてシマシマのあるヤブ蚊には注意しろ!…ということのようです。夜行性の日本でよく見かける蚊はイエ蚊と呼ばれる種類の蚊で、理由は分かりませんが、デング熱の感染にはあまり関係がないようです。とにかく、ヤブ蚊に刺されないようにすることですね。私も何度も(田舎育ちなので子供の頃から考えると数えきれないくらい)刺されたことがありますが、イエ蚊と異なり、ヤブ蚊に刺されるとかなり腫れ上がりますし、猛烈に痒いです。刺された箇所が熱を帯びたりもします。また、痒みが収まった後もしばらく痕が残ります〕
デング熱の存在が文献に現れるようになったのは1779年からであり、ウイルスが原因であることや伝染経路について解明されたのは20世紀初頭になってからのことです。第二次世界大戦以降、デング熱は世界的に広まり、1960年代からその発生数は急激に増加しているようです。現在では110ヶ国以上で毎年およそ5,000万人から1億人が感染する風土病となっているのだそうです。
〔⇒毎年、およそ5,000万人から1億人が感染するなんて、インフルエンザや麻疹の比ではありません。要するに、世界的に見ると、感染すること自体はそんなに珍しいことではないということのようです。むしろ、意識しないといけないのは、これまで熱帯地方特有の風土病と思われていた病気の発症が日本でも見られるようになったということですね〕
その原因として、急激な都市化や地球温暖化が関与していると考えられています。
〔⇒要するに、原因がよく分かっていないということのようです。原因が不明なものは、なんでもかんでも「急激な都市化や地球温暖化が関与していると考えられている」とする現代の風潮に、いかがなものか…と私は考えています。研究者の方々には、しっかりしろ! もう一歩、踏み込め!と応援のエールを贈らせていただきます。それによりもっと具体的な対策も考えられるわけですから〕
このように『デング熱』がここまでの大騒動になっている背景には、西アフリカで患者が増え続けている『エボラ出血熱』の影響が少なからずあるように、私には思えます。
この『エボラ出血熱』、WHO(世界保健機関)の事務局長が9月3日に行った最新の記者会見によると、西アフリカの4ヶ国でエボラウイルスに感染、または感染の疑いがある人は3,500人に上り、死者の数は既に1,900人を超えたということのようです。WHOは先月28日に死者の数を1,552人と発表していましたので、この1週間ほどで死者の数が300人以上増えたことになります。WHOの事務局長は「感染は今も我々の努力を超える速度で拡大している」との強い危機感を示しているとのことで、国際的にも大きな問題になっています。
『デング熱』に関しては、この西アフリカにおける『エボラ出血熱』の感染が同時期に国際的に大きな問題になっているので、マスコミが必要以上に過敏に反応し過ぎているのではないか…と、私は思っています。まぁ、同じ熱帯性の感染症だし、カタカナがついた聞き慣れない“◯◯◯熱”という名称のせいで話題性もあり、マスコミがパクッと飛びついて、必要以上に大袈裟に騒ぎ立てた…と見て間違いないと私は思っています。取り上げること自体は問題だと思っておりませんが、取り上げるのであれば、冷静になって、問題をもう少し論理的に掘り下げて扱う必要があるのではないか…と、私は思っています。いたずらに危機感ばかりを煽りすぎると、世の中、間違った方向にいきがちになります。
また、厚生労働省が開いた緊急の対策会議でも、対策は蚊の駆除しかないという極めて当たり前の対策しか出なかったそうです。
〔⇒といって、今回みつかった患者さん達の多くに共通する感染場所と疑われている代々木公園や新宿中央公園等だけを消毒駆除したところで、ほとんど意味はないことだと私は思うのですが…。逆にやり過ぎると、従来からの生態系の破壊にも繋がって、別の問題も発生しそうに思えます。感染源の場所を特定することが無駄なことだとは言いませんが、それらの場所に行ったことのない感染者さんも新たに見つかっていて、むしろ、今や日本中どこにでもウイルスがいる可能性があって、単にこれまで問題にされてこなかっただけだ…と理解しておいたほうが、より効果的な対応策も考えやすいと思います〕
蚊の駆除と言うと、今年は蚊が大量に発生しているような印象を持ちますが、私の感想で言わせていただくと、むしろその逆で、そもそも今年は例年以上に蚊の発生が少ないのではないか、それも半端じゃあなく少ないのではないか…と思っています。
思い出す限りにおいて、私は今年、これまで一度も蚊に刺されていません。蚊に刺されやすい体質なのか、子供の頃から夏になると身体中蚊に刺されまくっていた私ですが、どういうわけか、今年は記憶にある限り、一度も刺されてはいません。それどころか、蚊が飛んでいる姿も見かけたことがないし、プゥ~~ンというあの不快な羽音も耳にしたことがないように思えます。(たまたま幸いなことに…というだけのことだと思いますが…)
これは東京やさいたま市といった首都圏だけのことでもなく、今年は四国・愛媛県の松山市にある実家に帰省した際にも、蚊に刺された記憶がありません。松山の実家は周囲に田圃があり、毎年夏になると夜は蚊取り線香の匂いで室内が充満しているようなところがあるのですが、3年前からその田圃も近所の農家の方が高齢のため稲作を止めてしまったので水を張っていないこともあり、今年はその蚊取り線香の匂いも嗅いでないような……。
今年の私はアウトドア系の活動をほとんどやっていないので、ヤブ蚊が発生しそうな場所にいっさい近付いていないことも、今年、蚊に刺されていないことの大きな要因かと思います。皆さんがお住まいのあたりはいかがですか?
今年はこれまでのところ蚊に刺されてはおりませんが、確か昨年まではこんな感じではなく、プゥ~~ンという羽音を耳にして、夜、眠れなかった日も何度かあったように思います。でも、それも以前と比べると格段に減ったような気がします。
“異常”ということで言うと、私にはむしろこのことのほうが“異常”のように感じ、研究者の皆さんには、是非その実態と原因を調査していただかないといけないと思っています。
蚊はとっても迷惑で、蚊に刺されやすい私のような体質の者にとっては二度と見たくもないくらいに大嫌いな存在ではあるのですが、さりとて、1シーズン、まったく遭遇していないというのも気になるものです。自然環境になにか重大な異変があるのかもしれません。
かつて、夏と言えば蚊に刺されることが、花火やスイカ、かき氷等とともに季節を感じさせる「風物詩」のようなところがあったのですが、このところ、それが変わりつつあるように思えます。このことに興味を持って、蚊の生態についてネットで調べてみると、面白いことがわかりました。
一言で言うと、ここ数年続く夏の猛暑と少雨により水溜まりが干上がり、卵を産む場所が少なくなっているほか、あまりの猛暑で成虫でも生命を維持することが困難な環境になっているのだそうです。
蚊が産卵する場所は基本的に水が溜まるところで、かつ、水がその場に滞留していることが条件です。卵がかえるとボウフラという幼虫になるのですが、水が流れるような場所では、卵も幼虫のボウフラも流失してしまい、成虫にはなりません。その水溜まりが少なければ、当然成虫の個体数を増やせないわけです。特に都市部では地面がコンクリートやアスファルトに覆われ、水溜まりになるようなところ自体が減っていることも大きく影響しているのかもしれません。街中への空き缶や空き瓶をはじめとしたゴミの放置もほとんどなくなり、綺麗になりましたし。
前述のように、日本に棲息する代表的な蚊は、「ヒトスジシマカ」と「アカイエカ」。ヒトスジシマカは一般に「ヤブ蚊」と呼ばれる黒い体に白いまだら模様のある蚊で、比較的水が少ない環境でも幼虫は育ちます(デングウイルスを媒介する蚊であることは前述の通りです)。これに対し、アカイエカは一般に「イエ蚊」と呼ばれ、その名の通り赤褐色の体色が特徴で、住宅や田園が残るような場所に多く、比較的水の量が多いところで幼虫が育ちます。
アカイエカ、ヒトスジシマカとも活動に最適な環境は気温が25℃前後なんだそうです。蚊と言うと暑さに強いイメージがあるのですが、蚊にとっての適温は人間と変わらないんですね。だから気温が下がる朝晩になると、急に動きが活発になるのだとか。
さらに、アカイエカは気温が30℃以上、ヒトスジシマカは35℃以上になると成虫自身が死ぬ可能性が高くなり、高温になれば日陰に身を隠し、おとなしくじっと身を守るという特性を持ちます。また、高温が続くと長生きはできません。すなわち、蚊は猛暑に弱く、晴れの日が続き、高温となり、その影響で水溜まりが減ると、蚊にとっては極めて生きにくい環境になるってことのようです。このことは、今後地球温暖化が進んで猛暑の夏が続くようになってくると、実は蚊にとっても生活しにくい環境になっていくってことを意味しています。
蚊についてもっと詳しく知りたい方には害虫防除技術研究所のWebサイトを是非ご覧ください。
害虫防除技術研究所HP
読むだけで痒くなりそうなサイトですが、蚊に関する情報が満載で、非常に興味深いです。
まぁ~、今年は蚊の発生が例年に比べて少なかったから、『デング熱』の感染もこのくらいで済んでいる…という見方もできます。問題は、今年のこの『デング熱』騒動をどのように受け止め、将来に備えるか…だと、私は思っています。
地球が世界的規模で温暖化に向かっていることもありますが、それ以上に、ヒトやモノの行き来が日々グローバルワイドで活発に行われる時代において、これまでの常識はほとんど通用しない時代になっていて、地球規模の気候変動を含め、対応を根本から考え直さないといけない時代になっているってことは、間違いないようです。
とにかく蚊に刺された後、発熱などの症状が出た場合には速やかに医療機関を受診することです。決して、たかが蚊…と侮ってはいけないってことのようです。
【追記1】
今年、私が一度も蚊に刺されていない…とか、このところ例年以上に蚊が少ないような気がする…とか書きましたが、これは単に今年これまでがそうだったというだけのことなのかもしれません。
蚊が猛暑で絶滅しているのかというと、決してそんなことはありません。そもそも、蚊はしぶとい昆虫だし、馬鹿じゃあありません。彼等も生き残るために必死な筈です。東京都内でも代々木公園や新宿中央公園といった緑の多い(過ごしやすい)ところで、木々の中や草むらの中に身を潜めて、活動するのに快適な時期がやって来るのをジッと待っているのかもしれません(人間にとって遊びに行くような快適な場所は、蚊にとっても快適な場所であると言えますから)。
9月に入り、(蚊も苦手な)猛暑も一段落。日中の気温も、蚊にとっても快適な25℃前後という気温に近付いてきました。しかも、前月8月は日本各地で観測史上最高の降水量を記録したところもあったように、水溜まりや湿地も増えていると思います。むしろ、蚊が元気に活動するようになるのは“これから”ということなのかもしれません。
蚊は寒さに弱そうですが、調べてみると、決してそんなことはありません。種類によりますが、大雑把に言って気温が10℃くらいまでなら十分活発に活動をするようです。アカイエカやコガタイエカなどは成虫で越冬しますので、気温が5℃くらいになっても平気で活動します。オオクロヤブカ等は幼虫で越冬しますので、これも0℃前後の水の中でも平気で生きています。ヒトスジシマカは卵で越冬します。
地球温暖化ということで言うと、問題は夏よりも冬のほうにあります。このところ関東地方以西では1日の最低気温が0℃以下となる冬日の日数が激減している傾向にあります(これが年平均気温を上昇させている最大の要因です)。加えて、以前と比べると建物の断熱性も格段に向上しています。と言うことは、それだけ蚊の活動期間が長くなるということを意味しています。すなわち、これからは冬でも蚊に刺されることがある…ということです。
本文で、「蚊に刺されることは夏の風物詩」なぁ~んてことを書きましたが、もはやこれも過去のことで、これからの日本では1年中蚊に刺されることがある…ということを覚悟しないといけなくなるかもしれません。
『デング熱』の感染と、蚊の生態と、地球温暖化の関係のことを考えるにあたっては、むしろこちらのほうを意識しないといけない…と私は思っています。
ちなみに、弊社ハレックスでは、ウナコーワの興和株式会社様のWebサイト『コーワのケロコロランド』向けに次のような情報サービスをご提供しています。是非、ご活用ください(^^)d
ハレックス社導入事例
【追記2】
環境省が『地球温暖化と感染症 ~いま、何がわかっているのか?~』という冊子をWebで公開しています。こちらも是非ご覧ください。
環境省HPより
【追記3】
“蚊”と言えば、忘れられない思い出があります。今から15年ほど前、イギリスのマンチェスターに出張した時のこと。夜、あるパブに入ったのですが、ビールを運んできた筋肉モリモリの屈強な男性ウエイターのぶっとい二の腕に彫られたタトゥーに目が釘付けになっちゃいました(@_@)
当時イギリスでは漢字がブームなのか、そのウエイターの左の二の腕には、ある一文字の漢字がタトゥーで彫られていました。その字が彼にはあまりに不似合いなので気になり、私がそのウエイターに「それはどういう意味があるの?」って訊いてみたところ、そのウエイターは自信満々な顔をして、こう答えました。
「スネイクだ! オマエは日本人だろ、この字も読めないのか?」
ヘッ!? スネイク? スネイクなら虫ヘンにウ書いてヒで“蛇”だよね。それ、どう見ても虫ヘンに文。だから“蚊”、“モスキート”!(笑)
きっといかがわしいタトゥーの彫り士が適当に彫ったものだと思います。“蚊”がアナコンダやコブラのようなデッカイ蛇のことだと勝手に思い込んでいる筋肉モリモリの屈強なウエイター君が、この衝撃の“真実”を知った時、どのような行動に出るのかについては、想像するのも恐ろしいことなので、想像することをやめました。もちろん、私から彼にその事実(真実)を伝える勇気もなく、あまりに気の毒すぎて、ずっと笑いを噛み殺していました(^^;
文化は正しく人に伝えないと、必ず不幸な人が生まれるという、いい例です(^^)d
執筆者
株式会社ハレックス
前代表取締役社長
越智正昭
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