2014/12/24
メラビアンの法則
『メラビアンの法則』って、ご存知ですか? 『メラビアンの法則』とは、米国の心理学者アルバート・メラビアンが1971年に提唱した法則で、声の感じで、「maybe」(かもしれない)といった文がどの程度「そうかもしれない」という意味で受け取られるか(判断されるか)ということを実験した結果による研究発表の中で述べられたものです。
この研究は好意・反感などの感情や態度のコミュニケーションについて扱う実験で、それによると、力強い口調の場合は、普通の口調で述べたよりも「そうかもしれない」と感じられる割合が高いということが立証できたそうです。
感情や態度について矛盾したメッセージが発せられた時の人の受け止め方についても実験が行われていて、その結果から、人のどのような行動が他人にどのように影響を及ぼすか…という統計的な類推がなされています。
それによると、話の内容などの“言語情報が7%”、口調や話の早さなどの“聴覚情報が38%”、見た目などの“視覚情報が55%”の割合であるということが実証されたそうです。
この数字の割合から「7-38-55のルール」とも、また、「言語情報=Verbal」、「聴覚情報=Vocal」、「視覚情報=Visual」の頭文字を取って「3Vの法則」とも言われています。
この内容が次第に一人歩きをし、この法則から「見た目が一番重要」あるいは「話の内容よりも喋り方のテクニックが重要」という結論が導き出されると言う解釈が有名になっていて、就職活動の面接対策セミナー、営業セミナー、自己啓発書、話し方教室等ではこの解釈がしばしば用いられます。
ただし、この実験は、あくまでも「好意・反感などの態度や感情のコミュニケーション」の場において、“メッセージの送り手がどちらとも取れるメッセージを送った”場合の“メッセージの受け手が声の調子や身体言語といったものを重視する”という事を言っているに過ぎません。
したがって、単に事実のみを伝えたり要望をしたりするコミュニケーションの場合にはまったく触れられておらず、コミュニケーション全般においてこの法則が適用されると言うような拡大した解釈(俗流解釈)は、メラビアンはいっさい提唱してはおりません。
日本ではこの俗流解釈のほうだけが一般に流布しているようなところがあり、困った状態を招いていると私は思っています。2005年に出版され、たちまち100万部を超える大ベストセラーとなった竹内一郎氏の著書『人は見た目が9割』は、このメラビアンの法則の俗流解釈を完全にベースにしており、題名まで“まんま”なものが付けられています。
この『人は見た目が9割』などの俗流解釈は、一種の都市伝説のようなもので、私は完全に信じてはおりませんが、とは言え、コミュニケーションは単に「言語情報=Verbal」のみならず、「聴覚情報=Vocal」や「視覚情報=Visual」も含めた総合的なものであるということだけは否定するものではありません。
そもそもコミュニケーション(Communication)という単語は、ラテン語のコムニカチオ(communicatio)に由来し、それは「分かち合うこと」を意味するものです。
人間の場合は、特に、他者に対して自分の心の状態を伝えることで働きかけるだけでなく、他者から受け取った情報により、相手の心の状態を読み取ったり共感したりすることも含まれます。なので、自らの「言語情報」「聴覚情報」「視覚情報」といった表現能力を高めることだけではコミュニケーション能力が向上するというものでもありません。
我々民間気象情報会社は、情報を人々にお伝えすることを生業(なりわい)としています。それも圧倒的パワーを持つ自然の脅威の来襲から人々の生命と財産をお守りするための極めて重要な情報を…。そして、我々からの情報を受け取った人は、その情報をもとに回避や防御、救済等のための行動をとる判断を行う…そんな極めて重要な性格を持った情報を扱っています。
「生業(なりわい)」、すなわち“生きる”ための“業(“仕事”の意味)”とするということは、我々は『気象情報提供のプロフェッショナル』、いや、その前に『コミュニケーションのプロフェッショナル』でないといけません(^^)d
まず、情報の受け手の皆さんの置かれている状況や立場、心の状態、取れる選択肢等を読み取ったり共感したりした上で、「言語情報」「聴覚情報」「視覚情報」…といった用いることが可能な全ての手段を駆使して、お伝えすべき情報をお伝えする…、こういう姿勢が重要だと考えています。
また、その順番も重要です。まず初めは情報の受け手の方を理解することからです。でないと、コミュニケーションの語源であるコムニカチオ、「分かち合うこと」にはなかなか結び付きません。
コミュニケーション能力の高い人に共通して当てはまることは、総じて「聞き上手」であるということ。私はテレビのバラエティ番組が好きで、よく観るのですが、そうした番組によく登場する“売れっ子”と言われる芸人さんに共通する能力もこの「聞き上手」ってことですね。“受けの芸”とでも言いますか…。その典型とも言える方が明石家さんまさんとタモリさん。このお二人ともなにか1つの突出した“芸”や“技”を持っているとは言い難い方です。にも関わらず、現在あの地位を得ているというのは、「聞き上手」と言うか、“場”の空気をしっかりと読み、その上で、その“場”を自分のペースに持ち込んでコントロールする…という能力に関しては人並み外れたものを持っているからです。あの能力は天才的で、鍛えてどうなるという“芸”のレベルではなく、天性のモノとしか思えません。まさに“タレントofタレント”です。
タモリさんやさんまさんほどのレベルの方はなかなかいませんが、まぁ、今“売れっ子”と呼ばれているタレントさんの大部分はこのタイプですね。最初は自らの芸で出てくるのですが、バラエティ番組の雛壇芸人を経て、番組のMCに抜擢されたり、さらには冠番組を持たせてもらったり…と抜擢されていく芸人さんを見ていると、前述の「聞き上手」と言うか、“場”の空気をしっかりと読み、その上で、その“場”を自分のペースに持ち込んでコントロールする能力に長けた人ばかりのように感じています。途中から芸人としてのスタイルがガラッと変えて「聞き上手」に変わり、それから頭角を表す人というのもいますし。
こういうところにも、コムニカチオ、すなわち「分かち合うこと」がコミュニケーションの基本だと感じますね。
情報提供を生業としている以上、弊社は常にこのことを意識していこうと思っています。
この研究は好意・反感などの感情や態度のコミュニケーションについて扱う実験で、それによると、力強い口調の場合は、普通の口調で述べたよりも「そうかもしれない」と感じられる割合が高いということが立証できたそうです。
感情や態度について矛盾したメッセージが発せられた時の人の受け止め方についても実験が行われていて、その結果から、人のどのような行動が他人にどのように影響を及ぼすか…という統計的な類推がなされています。
それによると、話の内容などの“言語情報が7%”、口調や話の早さなどの“聴覚情報が38%”、見た目などの“視覚情報が55%”の割合であるということが実証されたそうです。
この数字の割合から「7-38-55のルール」とも、また、「言語情報=Verbal」、「聴覚情報=Vocal」、「視覚情報=Visual」の頭文字を取って「3Vの法則」とも言われています。
この内容が次第に一人歩きをし、この法則から「見た目が一番重要」あるいは「話の内容よりも喋り方のテクニックが重要」という結論が導き出されると言う解釈が有名になっていて、就職活動の面接対策セミナー、営業セミナー、自己啓発書、話し方教室等ではこの解釈がしばしば用いられます。
ただし、この実験は、あくまでも「好意・反感などの態度や感情のコミュニケーション」の場において、“メッセージの送り手がどちらとも取れるメッセージを送った”場合の“メッセージの受け手が声の調子や身体言語といったものを重視する”という事を言っているに過ぎません。
したがって、単に事実のみを伝えたり要望をしたりするコミュニケーションの場合にはまったく触れられておらず、コミュニケーション全般においてこの法則が適用されると言うような拡大した解釈(俗流解釈)は、メラビアンはいっさい提唱してはおりません。
日本ではこの俗流解釈のほうだけが一般に流布しているようなところがあり、困った状態を招いていると私は思っています。2005年に出版され、たちまち100万部を超える大ベストセラーとなった竹内一郎氏の著書『人は見た目が9割』は、このメラビアンの法則の俗流解釈を完全にベースにしており、題名まで“まんま”なものが付けられています。
この『人は見た目が9割』などの俗流解釈は、一種の都市伝説のようなもので、私は完全に信じてはおりませんが、とは言え、コミュニケーションは単に「言語情報=Verbal」のみならず、「聴覚情報=Vocal」や「視覚情報=Visual」も含めた総合的なものであるということだけは否定するものではありません。
そもそもコミュニケーション(Communication)という単語は、ラテン語のコムニカチオ(communicatio)に由来し、それは「分かち合うこと」を意味するものです。
人間の場合は、特に、他者に対して自分の心の状態を伝えることで働きかけるだけでなく、他者から受け取った情報により、相手の心の状態を読み取ったり共感したりすることも含まれます。なので、自らの「言語情報」「聴覚情報」「視覚情報」といった表現能力を高めることだけではコミュニケーション能力が向上するというものでもありません。
我々民間気象情報会社は、情報を人々にお伝えすることを生業(なりわい)としています。それも圧倒的パワーを持つ自然の脅威の来襲から人々の生命と財産をお守りするための極めて重要な情報を…。そして、我々からの情報を受け取った人は、その情報をもとに回避や防御、救済等のための行動をとる判断を行う…そんな極めて重要な性格を持った情報を扱っています。
「生業(なりわい)」、すなわち“生きる”ための“業(“仕事”の意味)”とするということは、我々は『気象情報提供のプロフェッショナル』、いや、その前に『コミュニケーションのプロフェッショナル』でないといけません(^^)d
まず、情報の受け手の皆さんの置かれている状況や立場、心の状態、取れる選択肢等を読み取ったり共感したりした上で、「言語情報」「聴覚情報」「視覚情報」…といった用いることが可能な全ての手段を駆使して、お伝えすべき情報をお伝えする…、こういう姿勢が重要だと考えています。
また、その順番も重要です。まず初めは情報の受け手の方を理解することからです。でないと、コミュニケーションの語源であるコムニカチオ、「分かち合うこと」にはなかなか結び付きません。
コミュニケーション能力の高い人に共通して当てはまることは、総じて「聞き上手」であるということ。私はテレビのバラエティ番組が好きで、よく観るのですが、そうした番組によく登場する“売れっ子”と言われる芸人さんに共通する能力もこの「聞き上手」ってことですね。“受けの芸”とでも言いますか…。その典型とも言える方が明石家さんまさんとタモリさん。このお二人ともなにか1つの突出した“芸”や“技”を持っているとは言い難い方です。にも関わらず、現在あの地位を得ているというのは、「聞き上手」と言うか、“場”の空気をしっかりと読み、その上で、その“場”を自分のペースに持ち込んでコントロールする…という能力に関しては人並み外れたものを持っているからです。あの能力は天才的で、鍛えてどうなるという“芸”のレベルではなく、天性のモノとしか思えません。まさに“タレントofタレント”です。
タモリさんやさんまさんほどのレベルの方はなかなかいませんが、まぁ、今“売れっ子”と呼ばれているタレントさんの大部分はこのタイプですね。最初は自らの芸で出てくるのですが、バラエティ番組の雛壇芸人を経て、番組のMCに抜擢されたり、さらには冠番組を持たせてもらったり…と抜擢されていく芸人さんを見ていると、前述の「聞き上手」と言うか、“場”の空気をしっかりと読み、その上で、その“場”を自分のペースに持ち込んでコントロールする能力に長けた人ばかりのように感じています。途中から芸人としてのスタイルがガラッと変えて「聞き上手」に変わり、それから頭角を表す人というのもいますし。
こういうところにも、コムニカチオ、すなわち「分かち合うこと」がコミュニケーションの基本だと感じますね。
情報提供を生業としている以上、弊社は常にこのことを意識していこうと思っています。
執筆者
株式会社ハレックス
前代表取締役社長
越智正昭
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