2015/01/16
網走で流氷初日を観測
平成27年1月12日、網走地方気象台から「流氷初日を観測しました」との発表があった。発表された情報には流氷初日を、「視界外の海域から漂流してきた流氷が、視界内の海面で初めて見られた日。」と説明しています。簡単に言えば、初めて流氷が見えた日である。今年は平年より9日早い流氷初日であった。
流氷は潮の流れと、風によって移動するため、一端流氷が見えても、また見えなくなることもある。海流はサハリンの東を北から南に流れる東樺太海流があり、この流れに乗りゆっくり南下するが、この流れは弱く、風の影響の方が大きい。この日の地上天気図を見ると、オホーツク海は等圧線が南北に何本も並んでおり、流氷を南に運ぶ北風が続く状況である。ただ、北寄りの風は次第に北西に変わり弱まっており、どんどん岸に向かって押し寄せてくるわけではなさそうである。
オホーツク海の流氷観測の主役は、気象衛星である。地上からの観測では、観測範囲に限度があり、広がりなどは把握できないが、気象衛星が観測する画像を解析すると、その広がり、移動などを捕えることができる。ただし、対象海域が雲に覆われてしまえば観測できず万能ではない。網走気象台が流氷初日を観測した日も衛星画像ではオホーツク海南部は雲に覆われて北海道沿岸域の流氷の広がりは観測できなかった。
翌日、13日は朝からオホーツク海南部は雲も切れて、流氷の広がりを見ることができた。13日の様子を見ることにするが、流氷は動きが遅く、その上を流れる雲とははっきりと区別できるので、動画にしてみる。
北海道のオホーツク海沿岸部には雲があるが、雲は西から東へと流されているので、ほとんど動きの無い流氷とは区分けができ、かつ、流氷は太陽光などの反射率が海面や雲より高いので、最も白くかつ平坦に見える。このような眼で見ると流氷の広がりを確認でき、わずかな動きも捉えることができる。サハリンの東の沿岸部を南に細長く伸びている白い帯が流氷でその先端は北緯45度線まで達し、北海道オホーツク海沿岸に近づいていることが見える。
静止気象衛星ひまわりだけでなく極軌道衛星NOAAの観測資料を使って流氷を強調表示することによって、密度の少ない流氷域も解析でき、その解析結果は次のような流氷解析図として、気象庁HPに掲載されている。この図と比較すると密度が小さいが、流氷域は北緯45度より南の海域にまで広がっていることを捕えている。網走で観測された流氷はこの先端部分が陸から見えたことを示している。
今後、低気圧が通過し、千島北部やカムチャッカの東海上に進むたびに北風が卓越し、そのたびに、この風に流され次第々々に沿岸へ近づく。網走の沿岸に接岸する「流氷接岸初日」の平年値は2月2日である。これから、沿岸に近づいたり遠のいたりを繰り返し、平年並みであれば、1月末から2月の始めには接岸する。ただし、統計資料を見ると、網走で最も早い流氷の接岸を観測したのは2001年1月8日であり、年々の変動はかなり大きいと思ってほしい。今後の低気圧の発達位置や経路によって、流氷の流れが大きく左右されるので、予測は難しい。
流氷は潮の流れと、風によって移動するため、一端流氷が見えても、また見えなくなることもある。海流はサハリンの東を北から南に流れる東樺太海流があり、この流れに乗りゆっくり南下するが、この流れは弱く、風の影響の方が大きい。この日の地上天気図を見ると、オホーツク海は等圧線が南北に何本も並んでおり、流氷を南に運ぶ北風が続く状況である。ただ、北寄りの風は次第に北西に変わり弱まっており、どんどん岸に向かって押し寄せてくるわけではなさそうである。
オホーツク海の流氷観測の主役は、気象衛星である。地上からの観測では、観測範囲に限度があり、広がりなどは把握できないが、気象衛星が観測する画像を解析すると、その広がり、移動などを捕えることができる。ただし、対象海域が雲に覆われてしまえば観測できず万能ではない。網走気象台が流氷初日を観測した日も衛星画像ではオホーツク海南部は雲に覆われて北海道沿岸域の流氷の広がりは観測できなかった。
翌日、13日は朝からオホーツク海南部は雲も切れて、流氷の広がりを見ることができた。13日の様子を見ることにするが、流氷は動きが遅く、その上を流れる雲とははっきりと区別できるので、動画にしてみる。
北海道のオホーツク海沿岸部には雲があるが、雲は西から東へと流されているので、ほとんど動きの無い流氷とは区分けができ、かつ、流氷は太陽光などの反射率が海面や雲より高いので、最も白くかつ平坦に見える。このような眼で見ると流氷の広がりを確認でき、わずかな動きも捉えることができる。サハリンの東の沿岸部を南に細長く伸びている白い帯が流氷でその先端は北緯45度線まで達し、北海道オホーツク海沿岸に近づいていることが見える。
静止気象衛星ひまわりだけでなく極軌道衛星NOAAの観測資料を使って流氷を強調表示することによって、密度の少ない流氷域も解析でき、その解析結果は次のような流氷解析図として、気象庁HPに掲載されている。この図と比較すると密度が小さいが、流氷域は北緯45度より南の海域にまで広がっていることを捕えている。網走で観測された流氷はこの先端部分が陸から見えたことを示している。
今後、低気圧が通過し、千島北部やカムチャッカの東海上に進むたびに北風が卓越し、そのたびに、この風に流され次第々々に沿岸へ近づく。網走の沿岸に接岸する「流氷接岸初日」の平年値は2月2日である。これから、沿岸に近づいたり遠のいたりを繰り返し、平年並みであれば、1月末から2月の始めには接岸する。ただし、統計資料を見ると、網走で最も早い流氷の接岸を観測したのは2001年1月8日であり、年々の変動はかなり大きいと思ってほしい。今後の低気圧の発達位置や経路によって、流氷の流れが大きく左右されるので、予測は難しい。
執筆者
気象庁OB
市澤成介