2015/03/09

2月の北海道は極端な天候だった

気象庁からは月初めに前月の天候をまとめたものが発表される。今年の2月の天候のまとめ(http://www.data.jma.go.jp/obd/stats/data/stat/tenko1502.pdf)によると、

特徴1 北日本では、気温が高かった。
特徴2 日本海側の降雪量は少なく、北日本日本海側では統計開始以来2月として最も少なかった。
特徴3 北日本では、北海道を中心に暴風雪となる日があった。

をあげており、全て北日本(北海道)に関連したものであった。異常さが際立った北海道の天候の様子を発表資料も含めてみることにする。
気温や降水量などは日々の変動があるが、月平均してみるとほぼ平年並みに落ち着き、比較的のっぺりした図になることが多いが、今年2月の北海道はかなり複雑な形状を示しており、異常な状況であったことを示している。

2月の北海道は極端な天候だった

2月の北海道は極端な天候だった_2
気温の様子を見ると、北海道はほぼ全域で平年より2℃以上高くなっており、平年よりかなり高い状態であった。これだけではどれほど高かったか判らないので、北海道地方の2月の月平均気温の平年差の年変動を示す図で見る。1946年以降の70年間で1990年と2002年の+2.5℃に次ぐ3番目の高温(+2.3℃)であり、かなり特異な状況であったと言える。

次に降水量を見ると、東部を中心に平年をかなり上回り、釧路地方では3倍を超えていた。反面、西部の日本海側では平年をかなり下回り、石狩地方から上川地方にかけての地域では平年の7割以下となった。 一般的に2月の北海道は西部の日本海側では降雪の日が多く、東部の太平洋側で晴天の日が多いのだが、今年は違っていたと言える。これは、日照時間にも表れており、東部は平年の8割以下の所があったが、西部は平年を上回ったところが多かった。
冬型の気圧配置が続く状況では、北海道東部は晴天が多いが、今年は冬型気圧配置が長続きせず、低気圧が頻繁に当地方の近くを通過したことで、雪の日が多くなったことを示している。

特徴3に挙げた、「北海道を中心に暴風雪となる日があった。」については、低気圧が北海道東部近海で急発達した事例が多かったことに関係している。2月には1日、9日、15日、23日、27日と5回も低気圧が北海道近海で発達しており、そのたびに北海道東部を中心に大雪や暴風雪となり、吹雪のため交通マヒや停電等の被害が発生した。この低気圧が北海道付近で発達する傾向は3月初めも続いている。

北海道の異常な天候を見る資料として、東部の知床半島の羅臼の降雪と積雪の変化を示す。2月1~2日の低気圧により積雪は一気に1m近く増え179㎝を記録した。その後15日の低気圧と27日の低気圧によって、新たな降雪があって、1か月以上も積雪が1mを超える状況が続いた。日本海側の多雪地帯の降雪かと思われるような状況である。

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ここからは北海道付近が普段とどのような違いがあったかを月平均の気圧分布図で見る。左図が今年2月の月平均の地上気圧分布で、平年からのずれの程度を色わけして示している。一方の右図が平年の地上気圧分布図である。この図では、濃い色の部分は年々の変動が大きい所を示している。

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平年であればカムチャッカ半島の南東海上に中心を持つ低気圧(いつもこの海域に低気圧があることから低気圧の墓場と言われることがある)が、今年はこの部分に高気圧が居座って、低気圧の中心はアリューシャン列島東部の南海上に移り、一部が北海道の東に分離している様子が現れている。この付近の気圧配置が平年から大きな偏りを示したことが、低気圧の発達移動に大きく関係している。日本海や日本の南海上を通過した低気圧は、日本の東海上の高気圧が強かったため、何時もより北向きの動きが大きくなり、北海道近海に進んで発達することが多かったと見られる。

日本付近の上空の大気の流れも見る。ここでも左図に今年2月の500㍱平均高度分布図と平年からの偏り度合を示し、右図に2月の平年の高度分布と年々の変動の程度を示した。
この時期は日本付近の上空は強い西風が吹いているが、今年はこの強い偏西風の流れがやや南に位置して、西日本や南西諸島では、気温の低い日が多かったが、この変動はそれほど大きなものではなかった。しかし、地上の気圧配置で見られたようにカムチャッカ半島の南東海上を中心にオホーツク海にかけて、平年より高度が高くなっている。このため北日本は平年より高度が高めに経過した。500㍱の高度分布の偏りを見ると、カムチャッカ半島からオホーツク海にかけては平年より高度が高くなっている。特にカムチャッカ半島の南東海上から南には、気圧の尾根が形成されている。この気圧の尾根は、日本の東海上の大気の流れがいつもの年より北向き成分が強かったことを示している。これらも北海道近海に進む低気圧が多かったことと、急発達したことに関連している。

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この冬、北海道方面での低気圧の発達による暴風雪がニュースに何回も取り上げられたが、こうしたことが起こった要因を簡単に決めつけるのは良くないが、やはり、地球温暖化が、影響していると見られる。今年の2月をまとめると、北海道東部では記録的な大雪となったところがあったが、東北地方から北陸地方の日本海側の沿岸部では雪の量はかなり少ない所が多かったが、内陸山間部では、局所的に雪の量が多い所もあった。気温が上昇したことで、沿岸部では、雪ではなく雨となる日が多くなった。しかし、たっぷりと水分を含んだ雪雲は内陸山間地に一時に大量の雪を降らせることが出るようになったと見られる。北海道東部では、南岸を進む低気圧の度に湿りをたっぷり含んだ雪によって雪の少ない東部で大雪となることが増えてくる。

さらに、次のニュースも今年2月の北海道の天候に異常をもたらした大気の流れや温暖化にも関連していると思う。気象庁が2月19日に発表した「2015年2月のオホーツク海の海氷域面積が過去最少(http://www.jma.go.jp/jma/press/1502/19a/seaice_okhotsk_201502.pdf)」である。
その内容を見ると、

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と、北海道の東に停滞した低気圧に関連があることを示している。なお、この傾向は3月初めになっても続いている。

最後に、最新の1か月予報(3月5日発表)によると、北海道地方の気温予想は

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と、前半は気温が高めの確率がかなり大きな予想となっており、このような極端な傾向は他の地域には見られない。
気温が高めの予報で良いなと思うかも知れないが、この予報は、引き続き北海道は平年とは異なる天候が現れやすい状況にあると思っていた方が良いだろう。