2015/07/13
幼児にも学級崩壊の兆し
サラリーマンの家庭に生まれ育ち、自分自身もサラリーマン(エンジニア)の道を選び、医療職(助産師)の妻と結婚したつもりでしたが、気がつけば我が家はいつの間にか“先生(教育関係者)”だらけになっちゃった感じがしています。
妻は現在保育園の看護師として勤務していますが、園では“おってんて(おちせんせい)”と呼ばれていて、娘は中学校の保健室の先生。現在は育休中ですが、息子の嫁が小学校の先生。私も埼玉大学工学部で長く非常勤講師をやらせていただいて、“越智先生”と呼ばれていた時代がありました。(ついでに言うと、嫁のお母さんも保育園の保母さんで、妹さんは幼稚園の先生。) なんじゃ、なんじゃあ!? 気がつけば我が家は先生だらけじゃあないの(^^;
で、最近は、週末、近所に住む息子夫婦を呼んで孫を加えた5+1の6人で食卓を囲むことが多いのですが、これだけ先生(教育関係者)が多いと、どうしても話題はそちらのほうにばかりいっちゃったりします(多くは仕事の愚痴から入るのですが…)。
特に嫁の話を聞くと、現在の小学校の教育現場が直面している切実な問題に眉をひそめてしまいます。
小学校で、“立ち歩き”や“私語”などで授業が不成立になる「学級崩壊」が問題視されて久しいのですが、当初は高学年に目立ったこの「学級崩壊」が、最近は低学年、さらには入学したばかりの1年生の間でも見られるようになっているのだそうなんです(嫁の学校では低学年のほうが酷いとか)。
娘(中学校の教師)と嫁(小学校の教師)の話を聞くと、どうも小学校高学年の学級崩壊は、中学校の“荒れ”が雪崩のように下の世代に下りてきている現象で、教師への不満や怒り、私立中学受験のストレスなどから教師いじめに走る…ってケースが多かったようなのですが、小学校の低学年の学級崩壊は、これとはまったく質の異なるもののようなんです。
ここでご登場は保育園勤務の妻。
妻の話を聞いていると、「急に泣き出し、パニックを起こす」、「みんなでやることを苦にする」、 「いきなり友達を叩く」…等、小学校低学年での学級崩壊に繋がる傾向が、既に小学校入学前の段階で、かつてより増えているとのこと。さらに、根本的な親子関係や、「食べる・遊ぶ・寝る」という生きる上での根本に関わるこれまでの一般常識も、大きく揺らいでいるようなんです。
親の夜型の生活に子供達まで引きずられて、昼間、保育園で睡眠不足で体力的についていけない子がいたり、友達や保母さん達となかなかうまく関係を結べない子がいたり。
リンゴが硬くて食べられないと言い出す子や、 足を椅子に乗せて食べる子など、まともに食事さえもできない子がいたりするそうです。
最近、妻が受講してきたというあの“金八先生”のモデルにもなったテレビでも有名な“尾木ママ”こと、教育評論家、尾木直樹さん(法政大学教授で早稲田大学客員教授。臨床教育研究所「虹」主宰)の講演会の資料を見せてもらったのですが、そのほかにも最近の幼稚園児や保育園児に見られる問題行動がいろいろと書かれていますね。
・朝「おはよう」の挨拶をしても、親もしないため、子供もしない。
・保育園の給食の量が食べきれない。乳児の量にして配膳することもある。
・シラけて避びに参加しない子が4歳くらいからかなりの数でいる。
・「疲れたぁ」、「もうやめる」が口癖になってる子が多い。
・静かな雰囲気に耐えられず、シーンとした環境に置かれると、わざと奇声を発する子がいる。
・出来ないことはいっさいやらない。異常にプライドが高く、負けを恐れ、なんでもやらずに済まそうとする子がいる。
・集団でやることを苦にしている子がいる(鬼ごっこ、ごっこあそびなど)。
・自分が拒否されたことでショックを受け、泣きわめいたり、物にあたったり、パニックになってしまう子がいる。
・保母を独占し、膝に座り甘える子が多い。
・「うるせぇ―」「バァーカ」「おまえ」「くそばば」などと言葉遣いが乱暴な子が増えた。
・声をかけられると固まってしまう子もいれば、知らんぷりを通す子もいる。
テレビの報道番組などでも時々取り上げられ、社会的な問題になっていることは知っていましたが、この資料を見ながら身近な家族が「いるいる、こんな子」…なんて会話をしているのを横で聴いていると、この社会問題がより実感を持って切実な問題として受け止められます。
加えて、子供がこうなら、親は親でさらに問題があり、“過保護”か“放任”かという極端なケースが多いという感じ…とのこと。妻の話を聞いても、面談をしても子供のことより、まず自分のことを話したがる親までいて(まるで話し友達のように)、親自身も未熟で孤独な様子が透けて見えたりするんだとか。
先ほどの尾木ママの講演資料によると、さらにこんな感じの親が増えているそうなんです。
・躾や生活面で面倒なことは極力避けて通ろうとする親が多い。
・ゆっくり子供と関わることが少なく、そういう家庭に限って“遊ぶ”というと海外旅行等の大型の観光だと勘違いしているケースが多い。
・父親は仕事中心の親と育児参加に積極的な親の両極に分かれる。
・そもそも自分の子供を叱れないお父さんが増えてきている。
・親ではなく友達感覚の親子関係で、自分の都合のいい時だけ父親や母親になる親も見受けられる。
等々、我々の世代の感覚からすると、とても理解できない項目のオンパレード(我々の世代がちゃんと理想的な“親”をやれていたかどうかは別にして)。しかも、妻や嫁の感覚からすると明らかにそうした親が増えているとのこと。また、保育園では生活保護の受給家庭の子供の割合が徐々に増えてきているのだとか。今の制度だと、保育園では生活保護受給者の子供を優先的に受け入れざるをえないので、どうしようもないのだとか。
保育園で最古参職員の一人になった妻はそうした子供達の(と言うか親の)入園時の面談を担当しているので、各家庭の事情を聞いたりしているのですが、もう滅茶苦茶な家が多いんだとか。ドメスティック・バイオレンス(DV)やら夫婦揃ってのパチンコ依存症やらとか…。そんな我々極々ふつうの一般市民からすると想像がつかないような複雑な家庭環境に置かれたのでは子供達がおかしくなるのもさもありなん…って感じもします。
少子高齢化社会と言われて、これからどんどん子供の数が減っていくと言うのに、その数少なくなっていく子供達がこんな状態になっていったのでは……。
こりゃあ「学級崩壊」でなく「家庭崩壊」。このままだと「社会崩壊」にも繋がりかねませんね。この流れを食い止める有効な手段などまったく思いも付かないだけに、この先、この国はどうなっていくんだろう…と不安に思わざるをえません。たいへん危険な状態ですね。孫娘の可愛い笑顔を見ながら、心配になってきました。
妻は現在保育園の看護師として勤務していますが、園では“おってんて(おちせんせい)”と呼ばれていて、娘は中学校の保健室の先生。現在は育休中ですが、息子の嫁が小学校の先生。私も埼玉大学工学部で長く非常勤講師をやらせていただいて、“越智先生”と呼ばれていた時代がありました。(ついでに言うと、嫁のお母さんも保育園の保母さんで、妹さんは幼稚園の先生。) なんじゃ、なんじゃあ!? 気がつけば我が家は先生だらけじゃあないの(^^;
で、最近は、週末、近所に住む息子夫婦を呼んで孫を加えた5+1の6人で食卓を囲むことが多いのですが、これだけ先生(教育関係者)が多いと、どうしても話題はそちらのほうにばかりいっちゃったりします(多くは仕事の愚痴から入るのですが…)。
特に嫁の話を聞くと、現在の小学校の教育現場が直面している切実な問題に眉をひそめてしまいます。
小学校で、“立ち歩き”や“私語”などで授業が不成立になる「学級崩壊」が問題視されて久しいのですが、当初は高学年に目立ったこの「学級崩壊」が、最近は低学年、さらには入学したばかりの1年生の間でも見られるようになっているのだそうなんです(嫁の学校では低学年のほうが酷いとか)。
娘(中学校の教師)と嫁(小学校の教師)の話を聞くと、どうも小学校高学年の学級崩壊は、中学校の“荒れ”が雪崩のように下の世代に下りてきている現象で、教師への不満や怒り、私立中学受験のストレスなどから教師いじめに走る…ってケースが多かったようなのですが、小学校の低学年の学級崩壊は、これとはまったく質の異なるもののようなんです。
ここでご登場は保育園勤務の妻。
妻の話を聞いていると、「急に泣き出し、パニックを起こす」、「みんなでやることを苦にする」、 「いきなり友達を叩く」…等、小学校低学年での学級崩壊に繋がる傾向が、既に小学校入学前の段階で、かつてより増えているとのこと。さらに、根本的な親子関係や、「食べる・遊ぶ・寝る」という生きる上での根本に関わるこれまでの一般常識も、大きく揺らいでいるようなんです。
親の夜型の生活に子供達まで引きずられて、昼間、保育園で睡眠不足で体力的についていけない子がいたり、友達や保母さん達となかなかうまく関係を結べない子がいたり。
リンゴが硬くて食べられないと言い出す子や、 足を椅子に乗せて食べる子など、まともに食事さえもできない子がいたりするそうです。
最近、妻が受講してきたというあの“金八先生”のモデルにもなったテレビでも有名な“尾木ママ”こと、教育評論家、尾木直樹さん(法政大学教授で早稲田大学客員教授。臨床教育研究所「虹」主宰)の講演会の資料を見せてもらったのですが、そのほかにも最近の幼稚園児や保育園児に見られる問題行動がいろいろと書かれていますね。
・朝「おはよう」の挨拶をしても、親もしないため、子供もしない。
・保育園の給食の量が食べきれない。乳児の量にして配膳することもある。
・シラけて避びに参加しない子が4歳くらいからかなりの数でいる。
・「疲れたぁ」、「もうやめる」が口癖になってる子が多い。
・静かな雰囲気に耐えられず、シーンとした環境に置かれると、わざと奇声を発する子がいる。
・出来ないことはいっさいやらない。異常にプライドが高く、負けを恐れ、なんでもやらずに済まそうとする子がいる。
・集団でやることを苦にしている子がいる(鬼ごっこ、ごっこあそびなど)。
・自分が拒否されたことでショックを受け、泣きわめいたり、物にあたったり、パニックになってしまう子がいる。
・保母を独占し、膝に座り甘える子が多い。
・「うるせぇ―」「バァーカ」「おまえ」「くそばば」などと言葉遣いが乱暴な子が増えた。
・声をかけられると固まってしまう子もいれば、知らんぷりを通す子もいる。
テレビの報道番組などでも時々取り上げられ、社会的な問題になっていることは知っていましたが、この資料を見ながら身近な家族が「いるいる、こんな子」…なんて会話をしているのを横で聴いていると、この社会問題がより実感を持って切実な問題として受け止められます。
加えて、子供がこうなら、親は親でさらに問題があり、“過保護”か“放任”かという極端なケースが多いという感じ…とのこと。妻の話を聞いても、面談をしても子供のことより、まず自分のことを話したがる親までいて(まるで話し友達のように)、親自身も未熟で孤独な様子が透けて見えたりするんだとか。
先ほどの尾木ママの講演資料によると、さらにこんな感じの親が増えているそうなんです。
・躾や生活面で面倒なことは極力避けて通ろうとする親が多い。
・ゆっくり子供と関わることが少なく、そういう家庭に限って“遊ぶ”というと海外旅行等の大型の観光だと勘違いしているケースが多い。
・父親は仕事中心の親と育児参加に積極的な親の両極に分かれる。
・そもそも自分の子供を叱れないお父さんが増えてきている。
・親ではなく友達感覚の親子関係で、自分の都合のいい時だけ父親や母親になる親も見受けられる。
等々、我々の世代の感覚からすると、とても理解できない項目のオンパレード(我々の世代がちゃんと理想的な“親”をやれていたかどうかは別にして)。しかも、妻や嫁の感覚からすると明らかにそうした親が増えているとのこと。また、保育園では生活保護の受給家庭の子供の割合が徐々に増えてきているのだとか。今の制度だと、保育園では生活保護受給者の子供を優先的に受け入れざるをえないので、どうしようもないのだとか。
保育園で最古参職員の一人になった妻はそうした子供達の(と言うか親の)入園時の面談を担当しているので、各家庭の事情を聞いたりしているのですが、もう滅茶苦茶な家が多いんだとか。ドメスティック・バイオレンス(DV)やら夫婦揃ってのパチンコ依存症やらとか…。そんな我々極々ふつうの一般市民からすると想像がつかないような複雑な家庭環境に置かれたのでは子供達がおかしくなるのもさもありなん…って感じもします。
少子高齢化社会と言われて、これからどんどん子供の数が減っていくと言うのに、その数少なくなっていく子供達がこんな状態になっていったのでは……。
こりゃあ「学級崩壊」でなく「家庭崩壊」。このままだと「社会崩壊」にも繋がりかねませんね。この流れを食い止める有効な手段などまったく思いも付かないだけに、この先、この国はどうなっていくんだろう…と不安に思わざるをえません。たいへん危険な状態ですね。孫娘の可愛い笑顔を見ながら、心配になってきました。
執筆者
株式会社ハレックス
前代表取締役社長
越智正昭
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