2015/12/21
探査衛星「あかつき」、金星軌道投入に成功
エンジニアにとって、胸が躍るようなまたまた嬉しい報道が流れました。
『探査衛星「あかつき」、金星軌道投入に成功』
金星を回る軌道を目指し、7日、5年ぶりにエンジンの噴射に再挑戦した探査機「あかつき」が、金星を回る軌道に入ることに成功しました。JAXA(宇宙航空研究開発機構)は、9日午後6時から記者会見を開き、「あかつき」が撮影した精細な金星の画像を公開しました。
5年前の平成22年5月に打ち上げられた日本の金星探査機「あかつき」は当初、その年の12月に金星を回る軌道に入る予定でしたが、メインエンジンが噴射中に壊れ、当時の計画は失敗しました。「あかつき」は、その後、本来の目的から外れて、太陽の周りを回っていましたが、7日、残された小型のエンジンを使って金星を回る軌道に入ることに再挑戦しました。JAXAは、金星の上空に接近した「あかつき」の小型エンジン4基を20分28秒にわたって噴射させ予定どおりに噴射したことを確認するとともに、金星を回る軌道に入ったかどうかデータの分析を進めていました。この再挑戦の結果についてJAXAは、9日午後6時から記者会見を開き、「あかつき」が金星を回る軌道に入ることに成功したと発表しました。
日本の探査機が、地球以外の惑星を回る軌道に入ったのは、初めてです。また、一度、深刻なトラブルを起こした日本の探査機が復活を遂げるのは、機体を損傷しながらも5年前に地球に帰還した小惑星探査機「はやぶさ」以来の快挙です。
記者会見で、「あかつき」の責任者を務めるJAXAの中村正人プロジェクトマネージャは、「大変感慨深いものがあります。ついにわれわれの夢が実現しました。これで、惑星探査の世界に仲間入りができました」と述べました。記者会見では、「あかつき」が撮影した精細な金星の画像も公開されました。金星観測の責任者を務めるJAXAの今村剛准教授は、「間違いなく、世界トップレベルの精細な画像だ。観測用のカメラは、現在のところ目立った劣化はみられず、良好だ」と述べました。
JAXAでは、今後、「あかつき」に搭載されたカメラの試験を進め、来年4月頃から、すべての観測機器を使った本格的な観測に入りたいとしています。
(NHKニュース&スポーツ 12/09 20:31)
機器の故障を乗り越え、太陽からの熱にも耐えて、金星探査機「あかつき」がやってくれました。JAXAが諦めずに頑張ってくれました。この決して諦めない気持ちこそが、新しい技術や発見を生むのではないでしょうか。5年前の小惑星探査機「はやぶさ」の帰還、そして先日の国産初のジェット旅客機MRJの初飛行成功に引き続いて、日本のエンジニアにとって、胸が踊るような嬉しいニュースです。
5年前の平成22年5月に打ち上げられた日本の金星探査機「あかつき」は、当初、その年の12月にメインエンジンを逆噴射して金星を回る楕円周回軌道に入る予定でしたが、メインエンジンが燃料系のトラブルによって噴射中に壊れ、当時の計画は失敗しました。「あかつき」は、その後、本来の目的から外れて、太陽の周りを回っていましたが、7日、残された小型の姿勢制御用エンジンを使って金星を回る軌道に入ることに再挑戦しました。この5年間、最も懸念されたのは、想定を最大4割も超える厳しい太陽からの熱による悪影響だったようです。この間、「あかつき」は最も太陽に近づく近日点を9回通過。この時の「あかつき」の機体の温度は約140℃。設計想定温度は100℃なので、想定を40℃も超える厳しい環境に9回も突入したわけです。
メインエンジンが故障により使えなくなった「あかつき」ですが、失敗から5年後の今年12月7日、姿勢制御用の小型エンジン4基を使い、再び軌道投入に挑んだのでした。この軌道修正用の小型エンジンの推力は、1基あたりメインエンジンの約1/20。通常、姿勢制御用の小型エンジンは1秒以下と言う極々短時間しか噴射しないものなのですが、この決定的なパワー不足を補うため、今回は4基を同時に連続20分28秒にわたって噴射させたわけです。しかも、今回噴射した面はずっと太陽に向けていたため、設計想定温度を9回も超える厳しい環境に晒されていたため、劣化して使用できない可能性もありました。それでもリスクを承知の上で、いちかばちかの挑戦をしたわけです。もうこれは荒業と言ってもいいくらいの措置です。そして、この噴射が成功して、「あかつき」を奇跡的に金星周回軌道に乗せることができたわけです。
世界の惑星探査の歴史を見ても、先行した米国や旧ソ連も多くの失敗を経験しています。しかし、機体が損傷して惑星の周回軌道投入に失敗した探査機が、再挑戦で成功した例は他になく、今回の「あかつき」が世界初の快挙のようです。5年前の小惑星探査機「はやぶさ」の帰還も幾重にも上る致命的なトラブルを乗り越えての感動的な帰還でしたが、今回の「あかつき」の金星周回軌道投入も実に感動ものです。
素晴らしい!
僅かな可能性に賭けて、決して諦めずに挑戦していただいたJAXAのエンジニアの方々に敬意を表します。おめでとうございます。この決して諦めない姿勢は、日本の技術力の底力を世界に印象付けたことだと思います。
金星の周回軌道への投入には成功しましたが、JAXAの中村正人プロジェクトマネージャは今後の観測に向けて懸念材料があることも明らかにしています。報道によりますと、「金星を撮影した画像を地球に送るアンテナは何年も使っていないため、動くかどうかが心配で、仮にこれが使えないと、探査のうえで非常に痛い。また、機器の劣化は避けられず、突然どこかの機器が動かなくなったりすると、探査機全体の機能が失われる危険性もある」と述べたそうです。さらに、「金星の観測を成功させるためには、金星に近づき過ぎたり、日陰に入る時間が長くなり過ぎたりしないよう、これから2年間、正しい軌道に載せ続ける努力が必要だ」とも述べられています。その上で、「(今回の措置は)5年前に本当はやっているべきことであり、5年経って、もう一度スタートに立てただけだ。一度は失われたと思われたミッションが、人間の力以上のもので再びチャンスを与えられた。金星探査で得られる情報は、地球の将来やわれわれの子孫に必ず役に立つ知識になるので、しっかりと成功させたい」と意気込みを語ったそうです。
繰り返しになりますが、素晴らしい!
記者会見の場でJAXAから公開された画像は、赤外線と紫外線のカメラで撮影した3枚。金星を覆う雲の様子が写っており、モノクロ写真ではありますが、表面の縞模様がはっきりと見えます。これほど高精細の金星画像は例がないということのようです。
太陽系の惑星の中で地球のすぐ隣にある金星は、誕生した時期や大きさが地球とほぼ同じで、地球の「双子星」とも呼ばれていますが、地表の温度がおよそ470℃と高温になっているほか、硫酸の厚い雲に覆われるなど、地球とは異なる点が多く、探査機「あかつき」は、地球上の生命はとても住めない金星の気象の謎に迫ろうとしています。金星は、直径が地球の0.95倍、質量が地球の0.82倍とよく似ているほか、誕生したのも地球とほぼ同じおよそ46億年前とされています。一方で、「金星の気象」は、二酸化炭素の影響で地表の温度がおよそ470℃と高温になっているほか、硫酸の厚い雲に覆われ、その中では「スーパーローテーション」と呼ばれる秒速100メートルの猛烈な風が吹き荒れるなど、地球とは大きく異なっています。
JAXAは、「あかつき」による観測で、「双子星」と呼ばれる金星が、なぜ、地球上の生命はとても住めない全く異なる気象環境になったのか、本格的な解明を目指すことにしているそうで、具体的には、紫外線から赤外線までさまざまな種類の光を捉える5種類のカメラや、電波を使って、金星の大気の動きや温度を立体的に観測し、厚い雲に覆われる理由や猛烈な風が吹き荒れる原因の解明などを目指すということのようです。
頑張れ、「あかつき」!
『探査衛星「あかつき」、金星軌道投入に成功』
金星を回る軌道を目指し、7日、5年ぶりにエンジンの噴射に再挑戦した探査機「あかつき」が、金星を回る軌道に入ることに成功しました。JAXA(宇宙航空研究開発機構)は、9日午後6時から記者会見を開き、「あかつき」が撮影した精細な金星の画像を公開しました。
5年前の平成22年5月に打ち上げられた日本の金星探査機「あかつき」は当初、その年の12月に金星を回る軌道に入る予定でしたが、メインエンジンが噴射中に壊れ、当時の計画は失敗しました。「あかつき」は、その後、本来の目的から外れて、太陽の周りを回っていましたが、7日、残された小型のエンジンを使って金星を回る軌道に入ることに再挑戦しました。JAXAは、金星の上空に接近した「あかつき」の小型エンジン4基を20分28秒にわたって噴射させ予定どおりに噴射したことを確認するとともに、金星を回る軌道に入ったかどうかデータの分析を進めていました。この再挑戦の結果についてJAXAは、9日午後6時から記者会見を開き、「あかつき」が金星を回る軌道に入ることに成功したと発表しました。
日本の探査機が、地球以外の惑星を回る軌道に入ったのは、初めてです。また、一度、深刻なトラブルを起こした日本の探査機が復活を遂げるのは、機体を損傷しながらも5年前に地球に帰還した小惑星探査機「はやぶさ」以来の快挙です。
記者会見で、「あかつき」の責任者を務めるJAXAの中村正人プロジェクトマネージャは、「大変感慨深いものがあります。ついにわれわれの夢が実現しました。これで、惑星探査の世界に仲間入りができました」と述べました。記者会見では、「あかつき」が撮影した精細な金星の画像も公開されました。金星観測の責任者を務めるJAXAの今村剛准教授は、「間違いなく、世界トップレベルの精細な画像だ。観測用のカメラは、現在のところ目立った劣化はみられず、良好だ」と述べました。
JAXAでは、今後、「あかつき」に搭載されたカメラの試験を進め、来年4月頃から、すべての観測機器を使った本格的な観測に入りたいとしています。
(NHKニュース&スポーツ 12/09 20:31)
機器の故障を乗り越え、太陽からの熱にも耐えて、金星探査機「あかつき」がやってくれました。JAXAが諦めずに頑張ってくれました。この決して諦めない気持ちこそが、新しい技術や発見を生むのではないでしょうか。5年前の小惑星探査機「はやぶさ」の帰還、そして先日の国産初のジェット旅客機MRJの初飛行成功に引き続いて、日本のエンジニアにとって、胸が踊るような嬉しいニュースです。
5年前の平成22年5月に打ち上げられた日本の金星探査機「あかつき」は、当初、その年の12月にメインエンジンを逆噴射して金星を回る楕円周回軌道に入る予定でしたが、メインエンジンが燃料系のトラブルによって噴射中に壊れ、当時の計画は失敗しました。「あかつき」は、その後、本来の目的から外れて、太陽の周りを回っていましたが、7日、残された小型の姿勢制御用エンジンを使って金星を回る軌道に入ることに再挑戦しました。この5年間、最も懸念されたのは、想定を最大4割も超える厳しい太陽からの熱による悪影響だったようです。この間、「あかつき」は最も太陽に近づく近日点を9回通過。この時の「あかつき」の機体の温度は約140℃。設計想定温度は100℃なので、想定を40℃も超える厳しい環境に9回も突入したわけです。
メインエンジンが故障により使えなくなった「あかつき」ですが、失敗から5年後の今年12月7日、姿勢制御用の小型エンジン4基を使い、再び軌道投入に挑んだのでした。この軌道修正用の小型エンジンの推力は、1基あたりメインエンジンの約1/20。通常、姿勢制御用の小型エンジンは1秒以下と言う極々短時間しか噴射しないものなのですが、この決定的なパワー不足を補うため、今回は4基を同時に連続20分28秒にわたって噴射させたわけです。しかも、今回噴射した面はずっと太陽に向けていたため、設計想定温度を9回も超える厳しい環境に晒されていたため、劣化して使用できない可能性もありました。それでもリスクを承知の上で、いちかばちかの挑戦をしたわけです。もうこれは荒業と言ってもいいくらいの措置です。そして、この噴射が成功して、「あかつき」を奇跡的に金星周回軌道に乗せることができたわけです。
世界の惑星探査の歴史を見ても、先行した米国や旧ソ連も多くの失敗を経験しています。しかし、機体が損傷して惑星の周回軌道投入に失敗した探査機が、再挑戦で成功した例は他になく、今回の「あかつき」が世界初の快挙のようです。5年前の小惑星探査機「はやぶさ」の帰還も幾重にも上る致命的なトラブルを乗り越えての感動的な帰還でしたが、今回の「あかつき」の金星周回軌道投入も実に感動ものです。
素晴らしい!
僅かな可能性に賭けて、決して諦めずに挑戦していただいたJAXAのエンジニアの方々に敬意を表します。おめでとうございます。この決して諦めない姿勢は、日本の技術力の底力を世界に印象付けたことだと思います。
金星の周回軌道への投入には成功しましたが、JAXAの中村正人プロジェクトマネージャは今後の観測に向けて懸念材料があることも明らかにしています。報道によりますと、「金星を撮影した画像を地球に送るアンテナは何年も使っていないため、動くかどうかが心配で、仮にこれが使えないと、探査のうえで非常に痛い。また、機器の劣化は避けられず、突然どこかの機器が動かなくなったりすると、探査機全体の機能が失われる危険性もある」と述べたそうです。さらに、「金星の観測を成功させるためには、金星に近づき過ぎたり、日陰に入る時間が長くなり過ぎたりしないよう、これから2年間、正しい軌道に載せ続ける努力が必要だ」とも述べられています。その上で、「(今回の措置は)5年前に本当はやっているべきことであり、5年経って、もう一度スタートに立てただけだ。一度は失われたと思われたミッションが、人間の力以上のもので再びチャンスを与えられた。金星探査で得られる情報は、地球の将来やわれわれの子孫に必ず役に立つ知識になるので、しっかりと成功させたい」と意気込みを語ったそうです。
繰り返しになりますが、素晴らしい!
記者会見の場でJAXAから公開された画像は、赤外線と紫外線のカメラで撮影した3枚。金星を覆う雲の様子が写っており、モノクロ写真ではありますが、表面の縞模様がはっきりと見えます。これほど高精細の金星画像は例がないということのようです。
太陽系の惑星の中で地球のすぐ隣にある金星は、誕生した時期や大きさが地球とほぼ同じで、地球の「双子星」とも呼ばれていますが、地表の温度がおよそ470℃と高温になっているほか、硫酸の厚い雲に覆われるなど、地球とは異なる点が多く、探査機「あかつき」は、地球上の生命はとても住めない金星の気象の謎に迫ろうとしています。金星は、直径が地球の0.95倍、質量が地球の0.82倍とよく似ているほか、誕生したのも地球とほぼ同じおよそ46億年前とされています。一方で、「金星の気象」は、二酸化炭素の影響で地表の温度がおよそ470℃と高温になっているほか、硫酸の厚い雲に覆われ、その中では「スーパーローテーション」と呼ばれる秒速100メートルの猛烈な風が吹き荒れるなど、地球とは大きく異なっています。
JAXAは、「あかつき」による観測で、「双子星」と呼ばれる金星が、なぜ、地球上の生命はとても住めない全く異なる気象環境になったのか、本格的な解明を目指すことにしているそうで、具体的には、紫外線から赤外線までさまざまな種類の光を捉える5種類のカメラや、電波を使って、金星の大気の動きや温度を立体的に観測し、厚い雲に覆われる理由や猛烈な風が吹き荒れる原因の解明などを目指すということのようです。
頑張れ、「あかつき」!
執筆者
株式会社ハレックス
前代表取締役社長
越智正昭
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