2016/08/12
気象庁 緊急地震速報のデータ取り消し
先日、次のような報道が流れました。
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【気象庁 緊急地震速報のデータ取り消し 落雷が原因か】
8月1日午後5時すぎ、気象庁が特定の事業者に向けて出している緊急地震速報のシステムで東京湾を震源とする最大で震度7程度の激しい揺れを伴う地震が起きる可能性があるというデータが一時的に流れ、15秒後に取り消されました。このデータは鉄道会社や電力会社など合わせて54の特定の事業者に向けて出しているもので、NHKなどの放送では流れていません。
気象庁によりますと、千葉県富津市にある地震計の1か所で大きな揺れを示す誤ったデータが記録されたため一時的にデータが流れましたが、その後周辺の地震計では揺れが観測されなかったため、取り消されたということです。同じ時間に東京湾を震源とする地震は観測されておらず、およそ3分後にも同じ地震計から強い揺れを示す誤ったデータが入ったということです。
(NHKニュース&スポーツ 8月1日 21:07)
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この件につきまして、「ハレックスも問題があったのか?」というお問い合わせが多数寄せられましたので、まとめて回答させていただきます。
弊社ハレックスも記事の中に書かれている54の特定の事業者の1社で、気象庁から送られてくる緊急地震速報をもとに、1kmメッシュでどの程度の揺れが何秒後に襲ってくるかの情報を瞬時に提供する「高度利用報」と呼ばれるサービスを、『なまずきん』の名称で多くのお客様にご提供させていただいております。
今回の緊急地震速報のデータの影響で、東京の都営地下鉄や小田急電鉄などのほか、千葉、埼玉、神奈川などを走る一部の私鉄でいったん運転を停止したり、一部のスマートフォンの防災アプリや携帯電話の防災メールなどでは「東京湾でマグニチュード9.0の地震が発生。最大震度は7」といった誤った情報が利用者に流れたりしましたが、弊社ハレックスの『なまずきん』からはそのような誤った情報は流さずに済みました。
今回の原因は防災科学技術研究所の富津観測点で、落雷によるものと思われる大きなノイズが記録されたためで、周辺の観測点では揺れが観測されなかったために、15秒後に取り消し報が流されました。弊社の特定利用者向け緊急地震速報サービス『なまずきん』では、こうしたノイズの混入等不確かな原因による速報の誤発信を防ぐため、1点の観測点だけで揺れを観測した場合は“不確か”だとして発信を抑止し、2点以上の観測点で揺れを観測した場合に緊急地震速報を発信するという処理を瞬時に行うことをデフォルト(基本設定)としております。この処理による情報送信の遅延は1/100秒?1/10秒ほどの極短いものです。従いまして、誤った情報を流さずに済んだわけです。
(1点の観測点だけで揺れを観測した情報でも受け取りたいとご希望のお客様に限り、特別に不確かな情報でもお送りしています。そうしたお客様には、今回、誤った情報が届いてしまいましたが、事前にこういうことがあり得るということのご了解をいただいておりますので、特に問題にはなっておりません。)
当日はお客様からお問い合わせを多数いただいたのですが、こういうことから、そのほとんどは「テレビ等で緊急地震速報の誤報が大騒ぎになっているようだが、ハレックスのサービスでは緊急地震速報が鳴動しなかったのはどうして?」ってものでした。
私のところにも何人かの知人から「ハレックスのサービスは大丈夫だったのか?」というご心配をしていただくお声が届いたのですが、こういうことでした。ご心配をしていただき、ありがとうございました。
現在、IoT(Internet of Things)といって、IPアドレスを持つ各種センサーから検出されたデータ等により状態の「見える化」や「制御」、「最適化・効率改善の自動化」等を目指そうという取り組みが、ITの分野では盛んになりつつありますが、センサーは決して万能・万全なものではなくて、ノイズのような不確かな情報を拾うことが多々あり、それに対する対策をちゃんと施していないと大混乱に陥ることがある‥‥ということを、むしろ今回の事象を「他山の石」として、学習していただきたいと思っています。
こういうことをまだどなたも情報発信されていないようなので、敢えてここで「IoTへの警鐘」として書かせていただきます。
執筆者
株式会社ハレックス
前代表取締役社長
越智正昭
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