雷雲の発達を追って見る (6月13日東京を雷雲発達通過)
この日の東京は、梅雨入り後の長雨が終わり久々に晴天が広がった。しかし、日本海に中心を持つ上空の寒気渦の影響が残ったことと、昇温が重なり雷雲の発達しやすい状況で、早朝の天気予報から、激しい雷雨についての注意喚起を呼び掛けていた。
そこで、この日の関東地方の雷雲の発達を衛星画像とレーダー画像で追ってみる。雷雨に遭遇した方にとっては、雷雲がどのように変化したかは関係ないかもしれないが、雷雲がこんな変化をすることを知っていれば、今後の行動に活用できるかもしれない。
衛星画像の観測時刻は正時表示されるが、今回は日本付近を観測した時刻に近い時刻で示すことにした。8時45分の衛星画像では日本海側の地方は雲が広がっていたが、関東地方はほとんど雲のない状況であった。しかし、10時前の観測では奥多摩方面で雷雲の発生を捉えていた。赤外画像で見ると、まだ雲頂温度はそれほど低くなっておらず、発生間もない状況である。
その後の30分刻みの画像では、この雷雲が発達して東に移動している様子が見られる。発達とともに、赤外画像ではこの雲が次第に白くなっている。赤外画像で雲が白く写るのは、雲頂温度が低い雲、すなわち高い空にある雲であるから、この雷雲は雲頂が次第に高くなったことを示している。一方、可視画像でも、この雲はくっりと白く写っている。このように見える雲は下層から上層まで達する厚い雲であることを示している。
時間とともにこの雲は北東方向に細長く延び、北東端の輪郭はぼけている。この日、関東の上空では南西から北東方向の流れがあり、圏界面まで達した積乱雲の雲頂部から広がる上層雲(カナトコ雲と呼ばれる)が、この流れに流されている様子を捉えている。
激しい雷雨はこの雲の南西端部分にあり、北東の方向は先端部分では上空しか雨の降っていない状況である。
次に、レーダー画像を示すが、こちらは5分刻みの画像である。
衛星画像で雷雲の発生を捉えてからやや遅れて、奥多摩で弱い降水エコーが現れた。徐々にエコーが増加しているが、10時20分には中心部分に降水強度30㎜/1h以上が現れた。雷雲の発達が顕著となり、1035分頃から発雷していた。
個々の雷雲の寿命は短く、次々と新しい雷雲が発生発達を繰り返すが、新しい雷雲は降水域の移動方向の先端部分に現れることが多い。
雷が遠くに聞こえていると安心していたら、突然すぐ近くで雷光が見えたりしたことを経験した方が多いと思うが、雷雲の動きは直線的でなく、不規則な動きがあり、かつ先端部分に新しい雷雲が発生するので、早期の退避行動をとることを忘れないでほしい。
此処に示した2時間半の雷雲の動きから判るのは、この現象は極めて狭い範囲で起こり、かつ、中心部では非常に激しい現象が現れることである。昔から雷雨は『馬の背を分ける』と言われる程の現象であることを覚えておかれたい。
そこで、この日の関東地方の雷雲の発達を衛星画像とレーダー画像で追ってみる。雷雨に遭遇した方にとっては、雷雲がどのように変化したかは関係ないかもしれないが、雷雲がこんな変化をすることを知っていれば、今後の行動に活用できるかもしれない。
衛星画像の観測時刻は正時表示されるが、今回は日本付近を観測した時刻に近い時刻で示すことにした。8時45分の衛星画像では日本海側の地方は雲が広がっていたが、関東地方はほとんど雲のない状況であった。しかし、10時前の観測では奥多摩方面で雷雲の発生を捉えていた。赤外画像で見ると、まだ雲頂温度はそれほど低くなっておらず、発生間もない状況である。
その後の30分刻みの画像では、この雷雲が発達して東に移動している様子が見られる。発達とともに、赤外画像ではこの雲が次第に白くなっている。赤外画像で雲が白く写るのは、雲頂温度が低い雲、すなわち高い空にある雲であるから、この雷雲は雲頂が次第に高くなったことを示している。一方、可視画像でも、この雲はくっりと白く写っている。このように見える雲は下層から上層まで達する厚い雲であることを示している。
時間とともにこの雲は北東方向に細長く延び、北東端の輪郭はぼけている。この日、関東の上空では南西から北東方向の流れがあり、圏界面まで達した積乱雲の雲頂部から広がる上層雲(カナトコ雲と呼ばれる)が、この流れに流されている様子を捉えている。
激しい雷雨はこの雲の南西端部分にあり、北東の方向は先端部分では上空しか雨の降っていない状況である。
次に、レーダー画像を示すが、こちらは5分刻みの画像である。
衛星画像で雷雲の発生を捉えてからやや遅れて、奥多摩で弱い降水エコーが現れた。徐々にエコーが増加しているが、10時20分には中心部分に降水強度30㎜/1h以上が現れた。雷雲の発達が顕著となり、1035分頃から発雷していた。
個々の雷雲の寿命は短く、次々と新しい雷雲が発生発達を繰り返すが、新しい雷雲は降水域の移動方向の先端部分に現れることが多い。
雷が遠くに聞こえていると安心していたら、突然すぐ近くで雷光が見えたりしたことを経験した方が多いと思うが、雷雲の動きは直線的でなく、不規則な動きがあり、かつ先端部分に新しい雷雲が発生するので、早期の退避行動をとることを忘れないでほしい。
此処に示した2時間半の雷雲の動きから判るのは、この現象は極めて狭い範囲で起こり、かつ、中心部では非常に激しい現象が現れることである。昔から雷雨は『馬の背を分ける』と言われる程の現象であることを覚えておかれたい。
執筆者
気象庁OB
市澤成介