2014/07/30
相次ぐ台風の発生
7月29日グァム島の南東海上で台風第11号が発生した。翌30日早朝にはフィリピンの東海上で台風第12号が発生した。30日9時の地上天気図を見ると、沖縄の南海上に大きな円形の等圧線で囲まれた台風第12号があり北北西に進んでいる。一方の台風第11号はグァム島付近にあって12号に比べると円形の等圧線は小さくまとまっている。台風には、発生前の周囲の状況等によって急発達する台風もあれば、のんびり時間をかけて発達するものもあり、台風が発生したからと言って、同じような防災上の呼びかけをするのではなく、その台風の特徴を読み取って、その個性に合わせた解説と呼びかけをしてほしい。
この天気図では、2つの台風の中心気圧は2㍱しか違わないが、1000㍱の半径は12号の方が圧倒的に大きい。実は、この違いは中心付近の最大風速に現れるもので、12号は狭い範囲で急な気圧勾配があるため、中心付近の風は11号より強いことが判る。一方の12号は中心付近で強い風は吹かなくても、広範囲で風が強い状況になる。既に遠く離れた南大東島や沖縄本島方面で10m/sを超える風が吹いている。
次に、衛星画像で2つの台風を取り巻く雲の様子を見る。台風11号は地上天気図で見られるように小さくまとまり、中心部分には白く輝く厚い雲が見られる。一方、台風12号も白く輝く部分は11号と同じ程度であるが、もっと大局的な見方をすると、九州の南海上から、フィリピンの東海上を覆う大きな雲域の中に南側部分に存在しているように見える(黄点線円で囲んだ領域)。
そのように見る理由は、この数日前からの雲域の変化を見ればわかる。衛星画像は26日~29日までの12時の画像を並べたもので、赤点線円で囲んだ雲域が12号へと発達したもので、黄点線円で囲んだ雲域が12号へと発達したものである。11号は28日にまとまりを示し始め、29日には台風に発達している。一方の12号を含む大きな雲域は26日、27日には帯状の雲域の一部が発達しているがまとまりを示しておらず、28日になって大きな雲域全体が丸みを帯びてきたことが判る。しかし、中心部分に活発な雲の発達は見られず、雲域は南側と東側の2つの塊に分かれているように見える。このように大きな円形の雲域を構成している中の一部で活発化した部分に台風12号が発生したものなので、この台風については、周囲の雲域の動きとともに移動と発達を考える必要がある。
経験的には、このような大きな雲域の中で発生した台風は、あまりに巨大な雲域を一つまとめるには時間がかかることになり、発達はゆっくりとなる。一方の11号は既に大部分の雲が台風中心に集まっており、急速に発達する形であるが、規模が大きくなる形にはなっていない。 こんなところに注視して、今後の台風の動きを監視して欲しい。
なお、この大きな雲域に北に東日本から九州の南岸沿いに活発な雨雲があるが、この台風11号の外側の南東からの湿った気流の流入によって形成されているので、長く続く恐れがある。台風の接近前であるが、台風の動きと共に監視されたい。
この天気図では、2つの台風の中心気圧は2㍱しか違わないが、1000㍱の半径は12号の方が圧倒的に大きい。実は、この違いは中心付近の最大風速に現れるもので、12号は狭い範囲で急な気圧勾配があるため、中心付近の風は11号より強いことが判る。一方の12号は中心付近で強い風は吹かなくても、広範囲で風が強い状況になる。既に遠く離れた南大東島や沖縄本島方面で10m/sを超える風が吹いている。
次に、衛星画像で2つの台風を取り巻く雲の様子を見る。台風11号は地上天気図で見られるように小さくまとまり、中心部分には白く輝く厚い雲が見られる。一方、台風12号も白く輝く部分は11号と同じ程度であるが、もっと大局的な見方をすると、九州の南海上から、フィリピンの東海上を覆う大きな雲域の中に南側部分に存在しているように見える(黄点線円で囲んだ領域)。
そのように見る理由は、この数日前からの雲域の変化を見ればわかる。衛星画像は26日~29日までの12時の画像を並べたもので、赤点線円で囲んだ雲域が12号へと発達したもので、黄点線円で囲んだ雲域が12号へと発達したものである。11号は28日にまとまりを示し始め、29日には台風に発達している。一方の12号を含む大きな雲域は26日、27日には帯状の雲域の一部が発達しているがまとまりを示しておらず、28日になって大きな雲域全体が丸みを帯びてきたことが判る。しかし、中心部分に活発な雲の発達は見られず、雲域は南側と東側の2つの塊に分かれているように見える。このように大きな円形の雲域を構成している中の一部で活発化した部分に台風12号が発生したものなので、この台風については、周囲の雲域の動きとともに移動と発達を考える必要がある。
経験的には、このような大きな雲域の中で発生した台風は、あまりに巨大な雲域を一つまとめるには時間がかかることになり、発達はゆっくりとなる。一方の11号は既に大部分の雲が台風中心に集まっており、急速に発達する形であるが、規模が大きくなる形にはなっていない。 こんなところに注視して、今後の台風の動きを監視して欲しい。
なお、この大きな雲域に北に東日本から九州の南岸沿いに活発な雨雲があるが、この台風11号の外側の南東からの湿った気流の流入によって形成されているので、長く続く恐れがある。台風の接近前であるが、台風の動きと共に監視されたい。
執筆者
気象庁OB
市澤成介