2014/10/29
冬の訪れは近い?
10月27日朝の気象衛星画像には、北海道から日本海沿岸に沿って寒冷前線の雲帯が延びており、その西の日本海には筋状の雲列が広がっている。こうした雲列が現れるのは大陸からの冷たい空気が南下しているためである。地上天気図を見るとサハリン中部の低気圧から延びる寒冷前線が山陰まで達している。そして、この低気圧と中国東北区の高気圧の間に南北走行の等圧線が何本も見られ、西高東低型の気圧配置へ移行中である。この天気図上には各地の気象観測値が記入されている。輪島では前線の通過で雨が降っている。気温を見ると秋田や輪島で16℃であるが、日本海を挟んだウラジオストックでは4℃と12℃もの開きがある。さらに、中国東北区の高気圧の中心部分は氷点下の気温が並んでおり、高気圧の北側には-12℃を記録した観測所も見られる。大陸内部で育ったこの寒気が南下し、日本海を渡る間に暖かい海面から水蒸気の補給を受けて雲ができる。前線通過後にこうした雲が形成されるようになると、冬の訪れが近づいていると感ずる。この時期、晩秋から初冬に、寒冷前線の通過後に強い北風とともに寒気が入るとき、木枯らしが吹くことになる。27日夕方に近畿地方に「木枯らし1号が吹いた」との発表に続き、28日になって関東地方も「27日に木枯らし1号が吹いた」と発表があった。
寒冷前線の後面に南下する寒気の様子を可視画像の動画で見ると、朝の内は前線の南下とともに雲の量が増え、筋状の雲列がはっきりしていたが、午後になると筋状構造が崩れて、特に山陰沖では活発な部分が見られなくなっている。寒気の先端部分が日本海全体に広がるように南下したが、その後は西日本方面への南下より東日本方面への流れが主になっているように見える。動画の最後の時間(15時)の地上天気図を示すと、寒冷前線が東北地方の東に進み、日本海は寒気の中に入っているが、等圧線が南北走行になっている部分は北陸地方から東に限られ、寒気の中心は東日本から北日本方面に向かっている。
この時期はまだ、大陸から持続的に寒気が流れ出すわけではないので、西高東低の気圧配置が長く持続することがなく、低気圧の通過時に一時的に現れるだけである。このため、1日か2日後には大陸の高気圧は移動し日本付近を覆い、日本列島は穏やかな天気に変わる。こんな天気変化の繰り返しで、次第に冬へと向かうのである。
「寒冷前線の通過の後には、いつも寒気が入ってくるでしょう。だったら寒冷前線の通過の後にはいつも筋状の雲が発生するのでは」と思う方もあるでしょう。
これは季節によって変わるのです。次の衛星画像と天気図を見てほしい。9月4日の天気図です。まだ、残暑厳しい頃です。寒冷前線が通過すれば少し暑さが和らぐかと思える天気図です。沿海州の低気圧から寒冷前線が日本海、九州を通って東シナ海に延びている。この天気図の6時間後の衛星画像では、この寒冷前線に対応する幅広い雲の帯があるが、その西側には筋状の雲は見られない。大陸もまだ冷え込む季節ではなく、寒冷前線の通過といってもそれほど大きな温度変化がないためです。
寒冷前線の後面に南下する寒気の様子を可視画像の動画で見ると、朝の内は前線の南下とともに雲の量が増え、筋状の雲列がはっきりしていたが、午後になると筋状構造が崩れて、特に山陰沖では活発な部分が見られなくなっている。寒気の先端部分が日本海全体に広がるように南下したが、その後は西日本方面への南下より東日本方面への流れが主になっているように見える。動画の最後の時間(15時)の地上天気図を示すと、寒冷前線が東北地方の東に進み、日本海は寒気の中に入っているが、等圧線が南北走行になっている部分は北陸地方から東に限られ、寒気の中心は東日本から北日本方面に向かっている。
この時期はまだ、大陸から持続的に寒気が流れ出すわけではないので、西高東低の気圧配置が長く持続することがなく、低気圧の通過時に一時的に現れるだけである。このため、1日か2日後には大陸の高気圧は移動し日本付近を覆い、日本列島は穏やかな天気に変わる。こんな天気変化の繰り返しで、次第に冬へと向かうのである。
「寒冷前線の通過の後には、いつも寒気が入ってくるでしょう。だったら寒冷前線の通過の後にはいつも筋状の雲が発生するのでは」と思う方もあるでしょう。
これは季節によって変わるのです。次の衛星画像と天気図を見てほしい。9月4日の天気図です。まだ、残暑厳しい頃です。寒冷前線が通過すれば少し暑さが和らぐかと思える天気図です。沿海州の低気圧から寒冷前線が日本海、九州を通って東シナ海に延びている。この天気図の6時間後の衛星画像では、この寒冷前線に対応する幅広い雲の帯があるが、その西側には筋状の雲は見られない。大陸もまだ冷え込む季節ではなく、寒冷前線の通過といってもそれほど大きな温度変化がないためです。
執筆者
気象庁OB
市澤成介