2015/03/11
南北両半球に熱帯じょう乱発生
今朝(3月11日)のひまわり7号が捉えた全球画像を見ると、南半球には3つの熱帯じょう乱(Tropical Cyclone=台風)がある。この3つの渦を巻く雲域は、いつも見ている北半球の台風の渦と、渦巻きの方向が逆になっている。このことも確認して欲しいが、今回注目したいのは、その一番東側に位置する熱帯じょう乱の雲域である。この雲域の北側の北半球側にも熱帯じょう乱が見られる。
南半球の熱帯域では、この季節は熱帯じょう乱の最も発生発達しやすい時期にあたるが、北半球側の熱帯域は熱帯じょう乱(台風)の発生が最も少ない時期に当たる。この南北両半球の熱帯じょう乱の発生期の違いから、今回のように東経170度付近の熱帯域で南北両半球に熱帯じょう乱が対になって存在しているのはかなり希な状況である。
同じ雲域の中から発生する、まさに双生児であるが、この2つの熱帯じょう乱は、決して赤道を越えて南半球から北半球へとか、北半球から南半球へと移動することはなく、両者は同じ雲域内で発生したものの別々に赤道から次第に遠ざかる動きをして、一体化することはない。
11日朝の状況は、明らかに南半球側の雲域の方が大きくまとまりが良い。この南側のものは、9日朝に台風クラスまで発達し、Tropical Cyclone Pamと名前がつけられており、その後次第に発達し11日9時現在、強い勢力の台風に相当するまで発達しており、バヌアツとフィジーの間の海域に向かってゆっくりと南下を続けている。フィジー気象局の予想では、さらに発達し非常に強い勢力になるとしている。台風に相当するとの表現をしたのは、台風の呼び方は北西太平洋域に限って使われるもので、この海域に発生する熱帯じょう乱は「Tropical Cyclone」と呼ばれている。
一方の北半球側の雲域は、まだまとまりが十分ではないが、気象庁は10日夜から北西太平洋域の地上天気図に熱帯低気圧(TD=Tropical Depressions )を解析しており、明日朝(12日)9時には台風に発達するとの予報を発表している。
日々の変化を朝9時の可視画像で見ると、9日までは散在した一つの雲域が南北両半球にまたがっているように見えるが、10日朝には南半球側の雲がまとまり、中心から上層雲が反時計回りに周囲に吹き出している様子がはっきりし、渦が強まっていることを示している。北半球側では、まだまとまりが弱い状況にあるが、上層雲が時計回りに吹き出し始めている。11日朝には両者の雲域は次第に離れて、別々の発達を示していることが読み取れる。
気象衛星ひまわり7号は南北両半球に発生する熱帯じょう乱の発達や動きを刻々と捉えている。この中で気象庁が扱うじょう乱は、赤道以北の北西太平洋域だけで、この海域内に発生する熱帯じょう乱が中心付近で最大風速17m/sを超えると台風として扱っている。南半球については、オーストラリア、フィジー、ニュージーランド等が監視を行っているが、これらの機関が発表する熱帯低気圧の関する情報については、それぞれの国の気象局のHPで見ることができるが、世界気象機関(WMO)の次のページによって、各機関の情報を見ることができる。 http://severe.worldweather.org/
最後に、熱帯海域の雲域から南北両半球に熱帯じょう乱が発生し、それぞれが独立して発達している様子を動画で示す。3月9日9時からの2日間の変化である。なお、この期間に日本列島は発達した低気圧により、大荒れの天気となったが、その低気圧が発達する様子も見てください。
南半球の熱帯域では、この季節は熱帯じょう乱の最も発生発達しやすい時期にあたるが、北半球側の熱帯域は熱帯じょう乱(台風)の発生が最も少ない時期に当たる。この南北両半球の熱帯じょう乱の発生期の違いから、今回のように東経170度付近の熱帯域で南北両半球に熱帯じょう乱が対になって存在しているのはかなり希な状況である。
同じ雲域の中から発生する、まさに双生児であるが、この2つの熱帯じょう乱は、決して赤道を越えて南半球から北半球へとか、北半球から南半球へと移動することはなく、両者は同じ雲域内で発生したものの別々に赤道から次第に遠ざかる動きをして、一体化することはない。
11日朝の状況は、明らかに南半球側の雲域の方が大きくまとまりが良い。この南側のものは、9日朝に台風クラスまで発達し、Tropical Cyclone Pamと名前がつけられており、その後次第に発達し11日9時現在、強い勢力の台風に相当するまで発達しており、バヌアツとフィジーの間の海域に向かってゆっくりと南下を続けている。フィジー気象局の予想では、さらに発達し非常に強い勢力になるとしている。台風に相当するとの表現をしたのは、台風の呼び方は北西太平洋域に限って使われるもので、この海域に発生する熱帯じょう乱は「Tropical Cyclone」と呼ばれている。
一方の北半球側の雲域は、まだまとまりが十分ではないが、気象庁は10日夜から北西太平洋域の地上天気図に熱帯低気圧(TD=Tropical Depressions )を解析しており、明日朝(12日)9時には台風に発達するとの予報を発表している。
日々の変化を朝9時の可視画像で見ると、9日までは散在した一つの雲域が南北両半球にまたがっているように見えるが、10日朝には南半球側の雲がまとまり、中心から上層雲が反時計回りに周囲に吹き出している様子がはっきりし、渦が強まっていることを示している。北半球側では、まだまとまりが弱い状況にあるが、上層雲が時計回りに吹き出し始めている。11日朝には両者の雲域は次第に離れて、別々の発達を示していることが読み取れる。
気象衛星ひまわり7号は南北両半球に発生する熱帯じょう乱の発達や動きを刻々と捉えている。この中で気象庁が扱うじょう乱は、赤道以北の北西太平洋域だけで、この海域内に発生する熱帯じょう乱が中心付近で最大風速17m/sを超えると台風として扱っている。南半球については、オーストラリア、フィジー、ニュージーランド等が監視を行っているが、これらの機関が発表する熱帯低気圧の関する情報については、それぞれの国の気象局のHPで見ることができるが、世界気象機関(WMO)の次のページによって、各機関の情報を見ることができる。 http://severe.worldweather.org/
最後に、熱帯海域の雲域から南北両半球に熱帯じょう乱が発生し、それぞれが独立して発達している様子を動画で示す。3月9日9時からの2日間の変化である。なお、この期間に日本列島は発達した低気圧により、大荒れの天気となったが、その低気圧が発達する様子も見てください。
執筆者
気象庁OB
市澤成介