2015/03/12
台風3号が発生
前回(3月11日)、南北両半球に同じ経度帯に熱帯じょう乱が発生していることを述べたが、その後、北半球側の熱帯低気圧が発達して、3月12日に台風3号(BAVI)となった。この台風は発達しながら西に進む予報が出ており、日本列島への影響は今のところ考えなくてもよさそうである。
ところで、前回、衛星画像で南半球側にも台風クラスに発達する熱帯低気圧があると述べたが、オーストラリア北西の海域にあった熱帯低気圧が発達して台風クラスとなり、Olwyn と命名された。これで、南半球側に3つ、北半球に1つとひまわりの観測範囲内に4つの熱帯低気圧が存在することとなった。これだけそろい踏みすることは珍しいことである。
4つの熱帯低気圧の1時間後の様子を画像済に拡大して示し、最大風速も合わせて示した。南太平洋域で発生する熱帯低気圧はサイクロンと呼ばれ、オーストラリアやフィジーの気象局では5段階のカテゴリーで強さを表現している。これを北西太平洋域の台風の強さの階級と対応させると、下の表のようになる。それぞれのサイクロンの情報を聞いた時、どの程度の規模かを知るためにも、目安として覚えておくと便利である。
4つの熱帯低気圧の勢力を簡単に見ていくことにする。
まず、台風3号Baviは、衛星画像で見ると中心付近は下層の雲列が渦を巻いているが、活発な対流雲は中心から離れた南西側から西~北西に、中心を取り巻くように広がっている。周囲の厚い雲域が中心部分を覆うまでは急発達はなく、4つの内最も弱い勢力である。今後西に進みながらゆっくり発達するようだ。
南半球側を東側から順に見ることにする。台風でいえば非常に強い台風クラスに発達したPamは中心に眼が見えており、眼を取り巻く厚い積乱雲群しっかりしており、発達の最盛期に向かっているように見える。4つの中で最大勢力となっている。フィジーの予報では明日朝にはカテゴリー5のスーパーサイクロンの可能性を予想しており、バヌアツの島々へかなり接近の恐れも予想している。暴風や高潮に対する厳重な警戒が必要である。
次にオーストラリア北東岸に近づいたNathanは、中心付近に円形の厚い雲域があり、発達期にあることが読み取れるが、まだ眼は見えていない。オーストラリアの進路予報によると、この海域まで西進してきたが、動きが止まっており、Uターンして東に向きを変える予報が出ている。現在、沿岸にかなり近い位置にあり、沿岸部には厳重な警戒を呼び掛けているようだ。
最後の西端のOlwynは、中心部に活発な対流雲がまとまっているがNathan より若干小さい。発達初期の状態にあり、急発達の可能性を持っている。進路予報ではオーストラリア西海岸に明日朝にも上陸の予報が出ており、上陸時の勢力はカテゴリー3と強い勢力の台風並みを予報しており、上陸が懸念される沿岸地方には既に警報が発表されている。
最後に、2日間の衛星画像でそれぞれの熱帯低気圧がどのように発達し移動したか見てほしい。
前回話題とした、東経170度付近で発生した2つの熱帯低気圧は次第に離れ、それぞれが独立して発達している様子が見られる。熱帯域の流れは、北半球でも南半球でも主たる流れは西向きであるが、北半球側では北寄りに、南半球側では南寄りに移動し、高緯度側に進むのが一般的であるが、北半球側ではこの時期に北向きの移動は小さい。
ところで、前回、衛星画像で南半球側にも台風クラスに発達する熱帯低気圧があると述べたが、オーストラリア北西の海域にあった熱帯低気圧が発達して台風クラスとなり、Olwyn と命名された。これで、南半球側に3つ、北半球に1つとひまわりの観測範囲内に4つの熱帯低気圧が存在することとなった。これだけそろい踏みすることは珍しいことである。
4つの熱帯低気圧の1時間後の様子を画像済に拡大して示し、最大風速も合わせて示した。南太平洋域で発生する熱帯低気圧はサイクロンと呼ばれ、オーストラリアやフィジーの気象局では5段階のカテゴリーで強さを表現している。これを北西太平洋域の台風の強さの階級と対応させると、下の表のようになる。それぞれのサイクロンの情報を聞いた時、どの程度の規模かを知るためにも、目安として覚えておくと便利である。
4つの熱帯低気圧の勢力を簡単に見ていくことにする。
まず、台風3号Baviは、衛星画像で見ると中心付近は下層の雲列が渦を巻いているが、活発な対流雲は中心から離れた南西側から西~北西に、中心を取り巻くように広がっている。周囲の厚い雲域が中心部分を覆うまでは急発達はなく、4つの内最も弱い勢力である。今後西に進みながらゆっくり発達するようだ。
南半球側を東側から順に見ることにする。台風でいえば非常に強い台風クラスに発達したPamは中心に眼が見えており、眼を取り巻く厚い積乱雲群しっかりしており、発達の最盛期に向かっているように見える。4つの中で最大勢力となっている。フィジーの予報では明日朝にはカテゴリー5のスーパーサイクロンの可能性を予想しており、バヌアツの島々へかなり接近の恐れも予想している。暴風や高潮に対する厳重な警戒が必要である。
次にオーストラリア北東岸に近づいたNathanは、中心付近に円形の厚い雲域があり、発達期にあることが読み取れるが、まだ眼は見えていない。オーストラリアの進路予報によると、この海域まで西進してきたが、動きが止まっており、Uターンして東に向きを変える予報が出ている。現在、沿岸にかなり近い位置にあり、沿岸部には厳重な警戒を呼び掛けているようだ。
最後の西端のOlwynは、中心部に活発な対流雲がまとまっているがNathan より若干小さい。発達初期の状態にあり、急発達の可能性を持っている。進路予報ではオーストラリア西海岸に明日朝にも上陸の予報が出ており、上陸時の勢力はカテゴリー3と強い勢力の台風並みを予報しており、上陸が懸念される沿岸地方には既に警報が発表されている。
最後に、2日間の衛星画像でそれぞれの熱帯低気圧がどのように発達し移動したか見てほしい。
前回話題とした、東経170度付近で発生した2つの熱帯低気圧は次第に離れ、それぞれが独立して発達している様子が見られる。熱帯域の流れは、北半球でも南半球でも主たる流れは西向きであるが、北半球側では北寄りに、南半球側では南寄りに移動し、高緯度側に進むのが一般的であるが、北半球側ではこの時期に北向きの移動は小さい。
執筆者
気象庁OB
市澤成介