2015/06/10

大雨時の警報・注意報、情報

6月2日、3日に西日本各地で梅雨入りしたのに続き、6月8日には東海地方と関東甲信地方も梅雨入りした。いよいよ雨のシーズンを迎えたが、関東地方では、早々に東京都、神奈川県、千葉県の一部市町村に一時、大雨や洪水警報が発表された。
梅雨入りしたからと言って、連日雨が降り続く訳ではなく、曇雨天の割合が高くなる程度である。そして、梅雨の期間中に降る雨は常に大雨になるとは限らないが、雨への備えが必要な時期を迎えたと思って頂きたい。梅雨入り早々の大雨は今年の梅雨への備えができているかと問われたのではなかろうか。

9日12時の衛星画像によると、関東東部に進んだ低気圧から延びる梅雨前線が本州南岸沿いに伸び、九州南部を通って大陸方面に伸びている。梅雨前線上の九州南部には、特に白く輝く雲の塊が見られ、前線活動が活発なことを示している。こんな状況で、九州南部では、激しい雨が降った所があり、大雨や洪水の警報に加え、土砂災害警戒情報や肝属川水系はん濫注意情報も発表された。

大雨時の警報・注意報、情報


ここでは、今回の大雨域の中心となった、鹿児島県大隅半島中央部に位置する鹿屋市を対象として発表された警報・情報等を引用しながら、大雨時に気象台から発表される情報について解説する。鹿児島地方気象台から発表した警報・注意報、情報等を時間順に並べると次のようになっている(鹿屋市に関係しない情報発表は省いた) 。

大雨の恐れがあるときや落雷や突風の恐れがあるときには、注意を呼びかける気象情報が発表される。7日に発表された「落雷と突風に関する鹿児島県情報」は梅雨前線が九州南部にかかり活発化するため、落雷や竜巻等の突風に対する注意喚起をした情報で、通常、朝夕の2回、TVの気象解説の時間に合わせて発表されている。8日も同様な気象状況が続くとして、引き続き気象情報が発表された。

大雨時の警報・注意報、情報_2


状況の変化は、8日17時51分「大雨・洪水・雷注意報」が発表された時点にある。これまでは雷注意報のみの発表であったが、雨が激しく降る恐れがでてきたので、「大雨・洪水注意報」が追加発表された。この注意報によって鹿屋市では、時間雨量40mm超える激しい雨の降ると注意喚起したものである。警報・注意報の基準は市町村毎に決められているので、自分の街の基準を知っておかれたい。
9日朝5時40分には「大雨と突風に関する鹿児島県気象情報」とタイトルを変えて情報発表を行った。気象情報の表題はこれから注意警戒すべき現象を示しているので、情報の表題を見れば、どんな現象に対する注意警戒を呼び掛けているかを判断して頂きたい。気象情報が発表された際には、情報文から、現象の強さ、影響時間帯等を読み取り、対策を必要とする事項も確認して欲しい。

7時52分には「大雨警報(土砂災害)、洪水・雷注意報」が発表された。この警報・注意報の内容を示す。

大雨時の警報・注意報、情報_3


鹿屋市には7時52分に大雨警報(土砂災害)、洪水・雷注意報が発表されていたので、この時間は警報・注意報の継続発表となっているが、「大雨警報(土砂災害)」が「大雨警報(土砂災害・浸水害)」と変わっている。大雨によって起こる災害には「土砂災害」と「浸水害」があり、雨の降り方によって土砂災害が起こりやすい場合と浸水害が起こりやすい場合は異なる。そこで、大雨警報に関しては、起こる災害名を付加することで、警戒対象の絞り込みをしている。
警報文中には警戒期間、注意期間が示されているので、特に警戒期間での行動は慎重を期されたい。また、現象のピーク時間帯や最大雨量等も示されるので、これらも確認して欲しい。

8時20分には「肝属川水系はん濫注意情報」が発表されている。この情報は大きな河川を対象に気象台と国または県の河川を管理する機関が共同で行う洪水予報で、河川名が付される。この情報を洪水予報と称するが、大雨警報発表中にさらに危険度が高くなった場合に行うものですから、特に留意してほしい。まずは、自分の住まいする近くの川が対象河川になっているかを気象台か自治体に確認して、対象の河川となっている場合はこの情報の発表には特に留意してほしい。
今回の発表例と洪水予報で用いる情報名を示す。洪水予報文には、洪水の危険度と雨量と水位の予想が示されます。洪水の危険度に応じた標題名で発表され、この標題は水位レベルと連動しています。

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対象とする河川は影響の大きい河川のみで、この対象とならない河川については、気象台の発表する洪水警報・注意報により、対応する必要があります。

肝属川の洪水予報の発表から20分後に、「鹿児島県土砂災害警戒情報第1号」が発表された。この情報は鹿児島県と鹿児島地方気象台が共同で発表するもので、大雨警報が発表されている中で、特に土砂災害の危険度が高まった市町村を特定し、市区町村に伝達するとともに、報道機関の協力を得て住民への周知を図ることにしている。市区町村長が防災活動や住民への避難勧告等の災害応急対策を適時・適切に行うための支援や住民が自主避難の判断に利用することを目的としている重要な情報です。
自分の住家が土砂災害の危険性のある地域の場合は、この情報にも留意して、速やかに避難等の行動を取ってください。 今回の発表例は下の通りで、対象とする市町村が文字と地図で示されます。

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 なお、気象情報は地図に示されることが多いので、自分の街が県内のどの位置にあるかを知っておくと、危険度の高まった地域が自分の街の近くにあるかで、警戒対象が広がった場合も想定した事前の対応を取ることもできます。

これまで、鹿児島県鹿屋市を対象に発表された警報・注意報、情報を用いて、解説してきたが、大雨時にはこの他にもいくつかの情報が発表されます。その時間的な流れを示すと下のようになります。
今回の鹿屋市の大雨は土砂災害警戒情報災害や洪水予報が発表され、かなり危険度の高まった大雨事例であるが、さらに激しさを増す大雨事例も出てきます。図の下の方に示しているような情報が出る場合は、第一に命を守る行動をとることです。
そのためには、早い段階から気象情報を有効に活用して、事前の対策を取るよう心掛けていただきたい。

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