2014/07/28
芙蓉の人~富士山頂の妻~
NHKテレビで先週の土曜日(7月26日)から土曜ドラマ『芙蓉の人~富士山頂の妻~』が始まりました。連続6回の放送で、先週の土曜日はその第1回でした。
この『芙蓉の人~富士山頂の妻~』は今から約120年前の明治時代、富士山の山頂に観測所を作り、気象観測の発展に貢献した野中到(いたる)。彼を支えた妻の千代子の実話に基づく物語です。原作は新田次郎の小説『芙蓉の人』。これまで何度かテレビドラマ化されましたが、2000年代に入ってからはこれが初めてです。
http://www.nhk.or.jp/dodra/fuyou/
主なあらすじは以下の通りです。
平成25年6月、世界遺産に登録された日本の霊峰・富士山。今から120年前の明治28年(1895年)、日本の正確な気象予報のためには恒久的な高層気象観測の実現が不可欠との思いから、私財をなげうってその富士山の山頂に気象観測所を設置しようとした1人の民間人がいた。その人の名は野中到。彼は前人未踏の厳冬期の富士山登頂を試み、そしてそこで厳しい環境に耐えながら冬の気象観測に尽力を尽くしました。
その野中到を献身的に支え、「一人では必ず死んでしまう」と、夫の命を守るためその後を追って富士山に登頂、行動を共にして冬期の気象観測を行った夫人の千代子。この物語は野中到・千代子夫婦の夫婦愛と、気象観測に情熱を傾ける人生を描いたノンフィクションドラマです。
主演の野中千代子役には松下奈緒さん、野中到役には佐藤隆太さん。
松下奈緒さんは申し分なしのキャスティング。私がプロデューサーでも、この役には彼女を使うでしょうね。雰囲気があり、ピッタリです。そして、正確な気象予報をしたいという“思い”から無謀にも前人未踏の厳冬期の富士山登頂を試み、そしてそこで冬期の気象観測を行う…という“熱い男”を演じるとなれば、やはりこの人、佐藤隆太さん! 佐藤隆太さんは“熱い男”を演じさせたらピカイチの俳優さんですが、いつもよりテンションを抑え気味の演技が素晴らしいですね。テンションを抑えても、“静かな熱さ”のようなものを表現できていますからね。
気象観測がテーマということで、予告編を観て、始まるのを楽しみにしていました。第1回の放送を観たのですが、第1回はまず時代背景の説明と、主な登場人物の紹介が中心でした。私は仕事を通して一般の人より少しは気象観測のことが分かってきているので、富士山の山頂に観測所を設けることの重要性(高層気象観測の重要性)について、それなりに理解できているのですが、果たして一般の人にこの短い時間の中で理解して貰えることができたかどうか…。一緒に観た妻や娘の感想を聞く限りは、残念ながらちょっと伝えきれていないような…。まぁ、専門的すぎて、説明しだしたらあまりに長くなっちゃいますものね(^^;
でも、これからの徐々に佳境に入っていくようなので、そこで徐々に伝わってくるのでしょう。あと5回もありますから。番組のエンディングロールのところに「協力 気象庁」という文字がしっかり出ていましたから(^-^)v 楽しみです。
皆さんも是非、ご覧ください。まだ5回あって、これから佳境に入ります。お薦めです(^^)d
ちなみに、明治13年(1880年)から野中到らにより行われていた富士山山頂での気象観測ですが、明治28年(1895年)野中至が山頂の剣が峰に木造6坪の観測所を建設。冬季観測を試みました。この前後のエピソードを描いたのが、新田次郎の小説『芙蓉の人』であり、これがこのドラマの原作となりました。
その後、昭和7年(1932年)7月1日、国に移管され中央気象台臨時富士山頂観測所が開設。昭和11年(1936年)、常設の測候所富士山頂気象観測所として剣ヶ峯に移設されました。
昭和39年(1964年)9月10日、富士山レーダーを設置。昭和40年(1965年)3月1日よりレーダーの正式運用が開始されます。
昭和41年(1966年)9月25日には台風26号が富士山のすぐ西を通過し、山頂気象観測所で最大瞬間風速の日本記録となる91.0m/秒を観測しました。
平成11年(1999年)11月1日、レーダー観測廃止。平成16年(2004年)10月1日、無人化され、平成20年(2008年)10月1日に富士山特別地域気象観測所と名称を変更して今に至っています。
【追記】
気象に関わるようになって、気象観測や暦、地図作成等々、今のように科学技術が発達していない中、熱い思いで“自然”に立ち向かっていった偉大な先人達を描いた映画やテレビドラマは欠かさず観るようにしています。どれも観る人の心を熱くする素晴らしい作品ばかりです。
先日も『新農家暦』と題した日記の中で触れさせていただいた、江戸時代前期の囲碁棋士で天文暦学者である渋川春海の生涯を描き岡田准一さんが主演した映画『天地明察』(2012年)。この渋川春海は日本で最初の国産暦である『貞享暦』を作り出しただけでなく、地球儀をはじめ、天球儀、百刻環(赤道型日時計)などの数々の天文機器を日本で初めて製作した方です。
この映画でも宮崎あおいさん演じる妻との素晴らしい夫婦愛が描かれていました。どうも自然を相手にする人は純粋な人が多いようで、そういう方を支える奥様は芯がしっかりして凛とした中にも可愛らしさがあるタイプが多いようですね。ちなみに、宮崎あおいさん演じる妻の兄役を演じていたのが佐藤隆太さんでした。
また、明治39年(1906年)、陸軍参謀本部陸地測量部(現在の国土地理院)によって実際に北アルプス・立山連峰で行われた山岳測量プロジェクトを扱った浅野忠信さん主演の『劒岳 ~点の記~』(2009年)という映画もありました。この映画の原作も『芙蓉の人』と同じ新田次郎さんが書いた同名の小説でした。日本地図最後の空白地帯を埋め、日本地図を完成させる…という重要かつ困難を極める“山岳測量”という任務に、信念と勇気をもって取り組んだ男達を描いた作品で、共演は香川照之さんと松田龍平さん。
主人公の妻の役は、この映画でも宮崎あおいさんでした。こういう役は彼女のはまり役のようなところがありますが、冬の富士山に登っちゃうという野中千代子の役はちょっと無理な感じで、松下奈緒さんが適役ですね。
この映画も実に素晴らしい映画で感動しました。ガレ場(石や岩が堆積していて歩きにくい斜面)だらけの切り立った尾根と悪天候・雪崩などの厳しい自然環境、未発達な測量技術と登山装備など様々な困難と戦いながら測量が我々現代人の想像を絶するものであったことが、スクリーンから伝わってきました。
しかしながら、こういう方々は成功したごくごく僅かな方々で、その何十倍、何百倍、何千倍という方々が挑みはしたけれど、残念ながら失敗を積み重ねてきたわけです。そうした先人の方々を含め、偉大な先人達の残した偉大な業績の積み重ね、それも、自然を相手にするだけに時には命懸けの挑戦を伴う業績の積み重ねのおかげで、今の時代の科学技術、そして人々の暮らしがある!…と、私は思っています。なので、そうした先人の方々の思いに映画やテレビドラマを通して少しでも触れることは、極めて有意義なことだと私は思っています。
私はこうした作品が大好きで、見終わると「よお~し、俺もやらねば!」と己を奮い立たせていますp(^-^)q 単純ですから(^^;
この2つの映画もお薦めです。興味を持たれた方は、レンタルショップでDVDを借りてきて、是非、ご覧ください(^^)d
この『芙蓉の人~富士山頂の妻~』は今から約120年前の明治時代、富士山の山頂に観測所を作り、気象観測の発展に貢献した野中到(いたる)。彼を支えた妻の千代子の実話に基づく物語です。原作は新田次郎の小説『芙蓉の人』。これまで何度かテレビドラマ化されましたが、2000年代に入ってからはこれが初めてです。
http://www.nhk.or.jp/dodra/fuyou/
主なあらすじは以下の通りです。
平成25年6月、世界遺産に登録された日本の霊峰・富士山。今から120年前の明治28年(1895年)、日本の正確な気象予報のためには恒久的な高層気象観測の実現が不可欠との思いから、私財をなげうってその富士山の山頂に気象観測所を設置しようとした1人の民間人がいた。その人の名は野中到。彼は前人未踏の厳冬期の富士山登頂を試み、そしてそこで厳しい環境に耐えながら冬の気象観測に尽力を尽くしました。
その野中到を献身的に支え、「一人では必ず死んでしまう」と、夫の命を守るためその後を追って富士山に登頂、行動を共にして冬期の気象観測を行った夫人の千代子。この物語は野中到・千代子夫婦の夫婦愛と、気象観測に情熱を傾ける人生を描いたノンフィクションドラマです。
主演の野中千代子役には松下奈緒さん、野中到役には佐藤隆太さん。
松下奈緒さんは申し分なしのキャスティング。私がプロデューサーでも、この役には彼女を使うでしょうね。雰囲気があり、ピッタリです。そして、正確な気象予報をしたいという“思い”から無謀にも前人未踏の厳冬期の富士山登頂を試み、そしてそこで冬期の気象観測を行う…という“熱い男”を演じるとなれば、やはりこの人、佐藤隆太さん! 佐藤隆太さんは“熱い男”を演じさせたらピカイチの俳優さんですが、いつもよりテンションを抑え気味の演技が素晴らしいですね。テンションを抑えても、“静かな熱さ”のようなものを表現できていますからね。
気象観測がテーマということで、予告編を観て、始まるのを楽しみにしていました。第1回の放送を観たのですが、第1回はまず時代背景の説明と、主な登場人物の紹介が中心でした。私は仕事を通して一般の人より少しは気象観測のことが分かってきているので、富士山の山頂に観測所を設けることの重要性(高層気象観測の重要性)について、それなりに理解できているのですが、果たして一般の人にこの短い時間の中で理解して貰えることができたかどうか…。一緒に観た妻や娘の感想を聞く限りは、残念ながらちょっと伝えきれていないような…。まぁ、専門的すぎて、説明しだしたらあまりに長くなっちゃいますものね(^^;
でも、これからの徐々に佳境に入っていくようなので、そこで徐々に伝わってくるのでしょう。あと5回もありますから。番組のエンディングロールのところに「協力 気象庁」という文字がしっかり出ていましたから(^-^)v 楽しみです。
皆さんも是非、ご覧ください。まだ5回あって、これから佳境に入ります。お薦めです(^^)d
ちなみに、明治13年(1880年)から野中到らにより行われていた富士山山頂での気象観測ですが、明治28年(1895年)野中至が山頂の剣が峰に木造6坪の観測所を建設。冬季観測を試みました。この前後のエピソードを描いたのが、新田次郎の小説『芙蓉の人』であり、これがこのドラマの原作となりました。
その後、昭和7年(1932年)7月1日、国に移管され中央気象台臨時富士山頂観測所が開設。昭和11年(1936年)、常設の測候所富士山頂気象観測所として剣ヶ峯に移設されました。
昭和39年(1964年)9月10日、富士山レーダーを設置。昭和40年(1965年)3月1日よりレーダーの正式運用が開始されます。
昭和41年(1966年)9月25日には台風26号が富士山のすぐ西を通過し、山頂気象観測所で最大瞬間風速の日本記録となる91.0m/秒を観測しました。
平成11年(1999年)11月1日、レーダー観測廃止。平成16年(2004年)10月1日、無人化され、平成20年(2008年)10月1日に富士山特別地域気象観測所と名称を変更して今に至っています。
【追記】
気象に関わるようになって、気象観測や暦、地図作成等々、今のように科学技術が発達していない中、熱い思いで“自然”に立ち向かっていった偉大な先人達を描いた映画やテレビドラマは欠かさず観るようにしています。どれも観る人の心を熱くする素晴らしい作品ばかりです。
先日も『新農家暦』と題した日記の中で触れさせていただいた、江戸時代前期の囲碁棋士で天文暦学者である渋川春海の生涯を描き岡田准一さんが主演した映画『天地明察』(2012年)。この渋川春海は日本で最初の国産暦である『貞享暦』を作り出しただけでなく、地球儀をはじめ、天球儀、百刻環(赤道型日時計)などの数々の天文機器を日本で初めて製作した方です。
この映画でも宮崎あおいさん演じる妻との素晴らしい夫婦愛が描かれていました。どうも自然を相手にする人は純粋な人が多いようで、そういう方を支える奥様は芯がしっかりして凛とした中にも可愛らしさがあるタイプが多いようですね。ちなみに、宮崎あおいさん演じる妻の兄役を演じていたのが佐藤隆太さんでした。
また、明治39年(1906年)、陸軍参謀本部陸地測量部(現在の国土地理院)によって実際に北アルプス・立山連峰で行われた山岳測量プロジェクトを扱った浅野忠信さん主演の『劒岳 ~点の記~』(2009年)という映画もありました。この映画の原作も『芙蓉の人』と同じ新田次郎さんが書いた同名の小説でした。日本地図最後の空白地帯を埋め、日本地図を完成させる…という重要かつ困難を極める“山岳測量”という任務に、信念と勇気をもって取り組んだ男達を描いた作品で、共演は香川照之さんと松田龍平さん。
主人公の妻の役は、この映画でも宮崎あおいさんでした。こういう役は彼女のはまり役のようなところがありますが、冬の富士山に登っちゃうという野中千代子の役はちょっと無理な感じで、松下奈緒さんが適役ですね。
この映画も実に素晴らしい映画で感動しました。ガレ場(石や岩が堆積していて歩きにくい斜面)だらけの切り立った尾根と悪天候・雪崩などの厳しい自然環境、未発達な測量技術と登山装備など様々な困難と戦いながら測量が我々現代人の想像を絶するものであったことが、スクリーンから伝わってきました。
しかしながら、こういう方々は成功したごくごく僅かな方々で、その何十倍、何百倍、何千倍という方々が挑みはしたけれど、残念ながら失敗を積み重ねてきたわけです。そうした先人の方々を含め、偉大な先人達の残した偉大な業績の積み重ね、それも、自然を相手にするだけに時には命懸けの挑戦を伴う業績の積み重ねのおかげで、今の時代の科学技術、そして人々の暮らしがある!…と、私は思っています。なので、そうした先人の方々の思いに映画やテレビドラマを通して少しでも触れることは、極めて有意義なことだと私は思っています。
私はこうした作品が大好きで、見終わると「よお~し、俺もやらねば!」と己を奮い立たせていますp(^-^)q 単純ですから(^^;
この2つの映画もお薦めです。興味を持たれた方は、レンタルショップでDVDを借りてきて、是非、ご覧ください(^^)d
執筆者
株式会社ハレックス
前代表取締役社長
越智正昭
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