2014/08/01
憧れの五能線(その5)…霊場恐山
八戸を出て、観光バスで走ること約3時間。日本三大霊場の1つと言われている『恐山』です。冷水というところでお清めをしてから、恐山の名勝、三途の川へ入ります。ちなみに、恐山街道の途中にある湧き水「冷水(ひやみず)」は、1杯飲めば10年、2杯飲めば20年、3杯飲めば死ぬまで若返ると言われる水で、今も恐山を訪れる旅人の喉を潤しています。私はいちおう3杯飲んでおきました(笑)
恐山は、カルデラ湖である宇曽利湖(うそりこ)を中心とした8峰から成る外輪山の総称です。「恐山」という名称の単独峰は残念ながらありません。火山岩に覆われた「地獄」と呼ばれる風景と、美しい宇曽利湖の「極楽浜」との対比が物凄く、特徴になっています。
恐山は火山であり、特に霊界と俗界の境と言われている“三途の川”と呼ばれる一帯は、立ち込める硫黄臭と荒涼とした地獄のような風景から、まさに「三途の川」の名に恥じない感じのところです。何の意味があるのか聞くのを忘れてしまいましたが(おそらく、この世に産まれることなくあの世に旅立ってしまった“水子”の供養のためでしょうか)、ゴツゴツとした岩場の至るところには色とりどりの小さな風車が立てられていて、その風車が“やませ”の東風を受けてカラカラと勢いよく回る様は、この場所の不気味感をさらに掻き立て、いやがうえにも霊場感を増幅しています。
しかし、“三途の川”の地獄のような岩場地帯を抜けると、風景は急に一変します。宇曽利湖畔には地獄とは反対に「極楽浜」と呼ばれる観光スポットがあります。エメラルドグリーンの湖水が満々とたたえられ、その鮮烈な美しさが、かえって底知れぬ不気味さを感じさせるほどです。
小学生の頃、漫画雑誌でこの恐山の存在を初めて知り、名前のインパクトもあって、こんな怖い場所が日本にあるなんて…って思ったほどです。その雑誌を読んだ日には、あまりに怖くて、夜中に1人でトイレに行けなかったほどでした(^^;
しかし、実際にこうしてここにやって来てみると、そのあたりに霊がウジャウジャいるわけでもなく、現地に来ないと分からないいろいろなことがいっぱい見えてきます。
ここ恐山が霊場として亡くなった方々の魂と再び会える場所のように言われるようになった理由も、実際にこの場所に来てみると分かるような気がします。微かに硫黄の匂いが漂い、火山の噴火でできたゴツゴツとした草木もはえない不気味なほど殺風景な地形が広がり、そのような場所の傍らにはそれとは正反対にエメラルドグリーンの清んだ水を湛える同じく火山の噴火でできたカルデラ湖が深い森の緑に囲まれて静かに眠るように佇んでいる。しかも、11月から4月の冬期の6ヶ月間は雪に閉ざされてとても人が近づけないような土地で、近づくことができる夏は夏で“やませ”の影響ですぐ上空には不気味なくらいにドンヨリとした雲のような濃い霧がかかり、東風も吹いてさして標高が高いわけでもないのにヒンヤリと肌寒く、暗~い感じがするところです。
言葉は不適切かもわかりませんが、こりゃあ大自然の作り上げたテーマパークのようなところです。テーマは“地獄”と“極楽”。人が作ろうとしてもこれだけ大規模な仕掛けは作れません。まさに大自然の偉大な力のなせる技とでも言えばよろしいのでしょうか。そりゃあこの場所を最初に発見した昔の人達は、この大自然の造り出した造形に対して腰を抜かすくらいに驚き、畏れ(おそれ)の念を抱いたに違いありません。もしかしたら、恐山は“恐山”ではなくて“畏れ山”が正しい漢字の使い方だったのかもしれません。まさに、「歴史の謎は“地形”と“気象”で解ける!」ってやつです(^^)d
ちなみに、この恐山。恐山という名称だけ聞くとなんとも不気味なところのようですが、実は江戸時代までは宇曽利山(うそりやま)と呼ばれていました。また、その昔、下北地方全体のことをを宇曽利郷と呼んでいたこともあったようです。この“ウソリ”とは、アイヌ語のウショロ(入江とか、湾という意味)に由来しているとされ、これがさらに転化してオソレ(恐)になったものとみられています。
とは言え、火山岩に覆われた「地獄」と呼ばれる風景と、美しい宇曽利湖の「極楽浜」との対比はあまりに神秘的で、神々しささえあり、最初から恐山(畏れ山)でもよかったんじゃないか…と思えてきます。
先に、現地に来ないと分からないことがいっぱいあると書きました。先ほどの恐山という山の名称の由来もそうですが、そのほかにもあります。
先ほど恐山は日本三大霊山の一つに数えられていると書きましたが、この日本三大霊山というのが、実に怪しいんです。日本三大霊山の残りの2つは、滋賀県の比叡山と和歌山県の高野山らしいのですが、その比叡山も高野山も日本三大霊山などとはいっさい称しておらず、あくまでも恐山のみが勝手に日本三大霊山と自称しているにすぎないという噂もあるそうです。
また、恐山といえば、死者の御霊を呼び口寄せを行なうイタコと呼ばれる霊媒士がいる霊場として有名です。実は恐山にはイタコは常駐してはおらず、恐山にイタコが居るのは7月の恐山例大祭と恐山秋詣りの時だけです。幸いなことに、今年のその恐山例大祭の初日が私達が恐山を訪れたこの日、7月20日でした。なので、恐山にはイタコさんのテントが幾つかでき、そこに長い行列が出来ていました。
ちなみに、恐山でイタコの口寄せが行われるようになったのは、実は戦後になってからのことのようで、決して昔からあったことではありません。
なぁ~んだ…ってことが多くて、正直、ちょっと拍子抜けです(笑)。ただ、この恐山、なかなかの絶景で、北東北を旅するにおいては外せないスポットだと、私はお薦めです(^^)d
恐山は、カルデラ湖である宇曽利湖(うそりこ)を中心とした8峰から成る外輪山の総称です。「恐山」という名称の単独峰は残念ながらありません。火山岩に覆われた「地獄」と呼ばれる風景と、美しい宇曽利湖の「極楽浜」との対比が物凄く、特徴になっています。
恐山は火山であり、特に霊界と俗界の境と言われている“三途の川”と呼ばれる一帯は、立ち込める硫黄臭と荒涼とした地獄のような風景から、まさに「三途の川」の名に恥じない感じのところです。何の意味があるのか聞くのを忘れてしまいましたが(おそらく、この世に産まれることなくあの世に旅立ってしまった“水子”の供養のためでしょうか)、ゴツゴツとした岩場の至るところには色とりどりの小さな風車が立てられていて、その風車が“やませ”の東風を受けてカラカラと勢いよく回る様は、この場所の不気味感をさらに掻き立て、いやがうえにも霊場感を増幅しています。
しかし、“三途の川”の地獄のような岩場地帯を抜けると、風景は急に一変します。宇曽利湖畔には地獄とは反対に「極楽浜」と呼ばれる観光スポットがあります。エメラルドグリーンの湖水が満々とたたえられ、その鮮烈な美しさが、かえって底知れぬ不気味さを感じさせるほどです。
小学生の頃、漫画雑誌でこの恐山の存在を初めて知り、名前のインパクトもあって、こんな怖い場所が日本にあるなんて…って思ったほどです。その雑誌を読んだ日には、あまりに怖くて、夜中に1人でトイレに行けなかったほどでした(^^;
しかし、実際にこうしてここにやって来てみると、そのあたりに霊がウジャウジャいるわけでもなく、現地に来ないと分からないいろいろなことがいっぱい見えてきます。
ここ恐山が霊場として亡くなった方々の魂と再び会える場所のように言われるようになった理由も、実際にこの場所に来てみると分かるような気がします。微かに硫黄の匂いが漂い、火山の噴火でできたゴツゴツとした草木もはえない不気味なほど殺風景な地形が広がり、そのような場所の傍らにはそれとは正反対にエメラルドグリーンの清んだ水を湛える同じく火山の噴火でできたカルデラ湖が深い森の緑に囲まれて静かに眠るように佇んでいる。しかも、11月から4月の冬期の6ヶ月間は雪に閉ざされてとても人が近づけないような土地で、近づくことができる夏は夏で“やませ”の影響ですぐ上空には不気味なくらいにドンヨリとした雲のような濃い霧がかかり、東風も吹いてさして標高が高いわけでもないのにヒンヤリと肌寒く、暗~い感じがするところです。
言葉は不適切かもわかりませんが、こりゃあ大自然の作り上げたテーマパークのようなところです。テーマは“地獄”と“極楽”。人が作ろうとしてもこれだけ大規模な仕掛けは作れません。まさに大自然の偉大な力のなせる技とでも言えばよろしいのでしょうか。そりゃあこの場所を最初に発見した昔の人達は、この大自然の造り出した造形に対して腰を抜かすくらいに驚き、畏れ(おそれ)の念を抱いたに違いありません。もしかしたら、恐山は“恐山”ではなくて“畏れ山”が正しい漢字の使い方だったのかもしれません。まさに、「歴史の謎は“地形”と“気象”で解ける!」ってやつです(^^)d
ちなみに、この恐山。恐山という名称だけ聞くとなんとも不気味なところのようですが、実は江戸時代までは宇曽利山(うそりやま)と呼ばれていました。また、その昔、下北地方全体のことをを宇曽利郷と呼んでいたこともあったようです。この“ウソリ”とは、アイヌ語のウショロ(入江とか、湾という意味)に由来しているとされ、これがさらに転化してオソレ(恐)になったものとみられています。
とは言え、火山岩に覆われた「地獄」と呼ばれる風景と、美しい宇曽利湖の「極楽浜」との対比はあまりに神秘的で、神々しささえあり、最初から恐山(畏れ山)でもよかったんじゃないか…と思えてきます。
先に、現地に来ないと分からないことがいっぱいあると書きました。先ほどの恐山という山の名称の由来もそうですが、そのほかにもあります。
先ほど恐山は日本三大霊山の一つに数えられていると書きましたが、この日本三大霊山というのが、実に怪しいんです。日本三大霊山の残りの2つは、滋賀県の比叡山と和歌山県の高野山らしいのですが、その比叡山も高野山も日本三大霊山などとはいっさい称しておらず、あくまでも恐山のみが勝手に日本三大霊山と自称しているにすぎないという噂もあるそうです。
また、恐山といえば、死者の御霊を呼び口寄せを行なうイタコと呼ばれる霊媒士がいる霊場として有名です。実は恐山にはイタコは常駐してはおらず、恐山にイタコが居るのは7月の恐山例大祭と恐山秋詣りの時だけです。幸いなことに、今年のその恐山例大祭の初日が私達が恐山を訪れたこの日、7月20日でした。なので、恐山にはイタコさんのテントが幾つかでき、そこに長い行列が出来ていました。
ちなみに、恐山でイタコの口寄せが行われるようになったのは、実は戦後になってからのことのようで、決して昔からあったことではありません。
なぁ~んだ…ってことが多くて、正直、ちょっと拍子抜けです(笑)。ただ、この恐山、なかなかの絶景で、北東北を旅するにおいては外せないスポットだと、私はお薦めです(^^)d
執筆者
株式会社ハレックス
前代表取締役社長
越智正昭
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