2014/10/10
スーパー台風
台風18号が通り過ぎて、やれやれと思ったら、またまた次の台風19号が日本に接近中です。それも今年日本に接近した台風の中では最大級規模と予想される台風が…。
気象庁の観測によりますと、“大型で非常に強い”台風19号は、今日(10日)の午前6時には沖縄の南の海上を1時間におよそ10キロの非常にゆっくりとした速さで北へ進んでいます。中心の気圧は920ヘクトパスカル、中心付近の最大風速は50メートル、最大瞬間風速は70メートルで、中心から半径190キロ以内では風速25メートル以上の暴風が吹いています。
台風は、このあとも北よりに進み、明日(11日)以降、沖縄県に近づく見通しです。このため、沖縄・奄美、それに九州南部では明日は次第に風が強まり、波も高くなると予想されています。さらに台風は13日朝には九州の南の海上へ進み、その後、進路を北東に変えて西日本の南の海上へ進むと予想され、その後は先日の台風18号と非常によく似たコースで日本列島に接近・上陸しそうな感じです。九州の南海上に到達する13日の朝の段階での中心気圧は950ヘクトパスカル、中心付近の最大風速は40メートル、最大瞬間風速はメートル、風速25メートル以上の暴風警戒域は直径540kmの円形と予想されていて、今年日本に接近してきた台風の中では最大級の勢力を持つと予想されています。
しかも、今回の台風19号は、1週間前の台風18号より暴風域が広く、中心付近の雨雲が大変活発なのが特徴です。しかも、13日に種子島付近で進路を東寄りに変えるまで、自転車並みのゆっくりした速さで進みます。東寄りに進路を変えて西日本に接近してきた後も、駆け足で通り過ぎた台風18号よりもかなり遅い速度で進むと見られています。このため、影響を受ける時間もかなり長くなると予想されています。
先日の台風18号による大雨が降った地方では、いまだ水分を多く含んだ土壌のところが多く、そこに続けて台風19号による雨が加わることで、土砂災害や洪水等が発生する危険性は各地で増しています。非常に心配な状況です。
明日(11日)から三連休。行楽に出掛けられる方も多いでしょうし、自治体や各企業等では対策要員の手配も大変なことと思います。今後の台風の情報には、十分に注意してください。
10月に入り朝晩に涼しさを感じるようになってくると、台風が日本列島に接近、あるいは上陸してくるような印象は薄れるのですが、意外にもこの時期、本州付近への台風の接近や上陸の数は多いのです。
気象庁の定義によると、“上陸”とは、台風の中心が九州、四国、本州、北海道といった日本列島主要四島の海岸線に達した時のことを言いますが、10月に台風が上陸したのは1951年の統計開始以来14回ほどあります(このほかに1990年にはなんと11月30日に1990年第28号台風が和歌山県白浜町に上陸しました)。
昨年(2013年)は日本列島には年間で14個の台風が接近してきたのですが、そのうち10月は上陸こそなかったものの5個もの台風が日本に接近しました。特に、昨年(2013年)10月15日~16日にかけて、台風26号が関東地方に接近した際には、伊豆大島や千葉県では記録的な大雨となり、大きな被害が出ました。特に伊豆大島で甚大な被害が出たことは人々の記憶に新しいところです。伊豆大島では観測史上1位となる「1時間降水量122.5ミリ、3時間降水量335.0ミリ、24時間降水量824.0ミリ」という記録的な大雨となり、土砂災害で多くの方が犠牲となりました。また、その前年の2012年には年間で17個もの台風が日本に接近してきたのですが、うち4個が10月でした。
台風は上陸しなくても、近くを通り過ぎただけでも、あるいは中心から遠く離れたところでも、大雨を降らせることがあり、非常に注意が必要です。今年の10月はこれで日本への接近数は2個目ですが、そのどちらも上陸ということになりそうです。
このように10月はまだまだ台風シーズンだと言えます。油断はできません。台風の備えは近づいてからでは遅いので、避難場所をもう一度確認するなど早め早めの対処をお願いします。
(ちなみに、この“接近”とは、同じく気象庁の定義によると、台風の中心が国内のいずれかの気象官署から300km以内に入った場合を言います。また、小さい島や半島を横切って短時間で再び海に出る場合のことを“通過”と呼びます。)
日本への接近数で言うと、今年は今度の台風19号で11個目。昨年(2013年)の14個に比べると数は減っていますが、昨年は31個発生した台風のうちの数ですから、日本に接近する台風の割合で言うと、今年のほうが増えています。さらに一昨年(2012年)には17個の台風が日本に接近しているのですが、その年の発生数の総数は25個。ホント日本は台風の通り道にあるということですね。
気象庁の観測によりますと、猛烈な台風19号は9日正午の時点で、一時期、中心気圧が900へクトパスカル、中心付近の最大風速は60メートル、最大瞬間風速は85メートルという“猛烈な”勢力にまで発達しました。これは昨年11月にフィリピンのレイテ島で大変な被害を出した2013年第30号台風(ハイエン)と同レベルです。「ハイエン」は、上陸直前に中心気圧が895ヘクトパスカル、中心付近の最大風速が65メートルを記録しました。こうした最大風速が60メートル以上の台風のことを、アメリカでは「スーパー台風」と呼び特別視していて、監視体制も特別に強化しています。
台風の勢力の強さは、中心付近のはっきりとした“台風の目”にも表れます。台風は勢力が強まると中心付近に吹き込む風によって回転する力が増し、強い遠心力が働きます。このため中心付近では湿った空気が外に押し出され、雲がない“台風の目”と呼ばれる部分ができます。この“台風の目”がはっきりとした偏りのない円形になればなるほど、また、その目の直径が大きければ大きいほど、台風の勢力が強いことを示すとされています。衛星写真を見ると、現在、台風19号の台風の目の直径は40kmほどもあり、ほぼ真円。勢力の強さが伺えます。
また、台風19号は7日の午前0時からの24時間に、中心の気圧が970ヘクトパスカルから905ヘクトパスカルと、一気に65ヘクトパスカルも下がり、“猛烈な”勢力に発達しました。中心の気圧が24時間で40ヘクトパスカル以上も下がる現象のことを「急速強化」と呼ぶそうなのですが、台風19号ではその「急速強化」が起きていたと分析されているようです。
気象庁の観測では、今回の台風19号が急速に発達した南太平洋の海域は海面の水温が30℃近くあり、水深100メートルまでの海水温も、25℃以上のところが多かったということのようです。当初、気象庁は7日午前0時の時点で、台風は24時間後に、970ヘクトパスカルから960ヘクトパスカルと発達は10ヘクトパスカルと予測していました。それが実際には一気に65ヘクトパスカルも下がったわけです。
1週間ほど前に同じようなコースで台風18号が通過し、コース周辺の太平洋の海水がかき混ぜられて海面水温がある程度下がっているだろうから、私もそれほどまでには発達しないだろうな…と思っていましたが、そうではなかったようですね。
このことを先日、テレビのNHKスペシャル『巨大災害 ~MEGA DISASTER~ 地球大変動の衝撃』の第2集「スーパー台風 ~“海の異変”の最悪シナリオ~」で取り上げていました。私もそ のことをこの『おちゃめ日記』でも取り上げたのですが、まさにこういうことなんですね。
おちゃめ日記『巨大災害 ~MEGA DISASTER~ 地球大変動の衝撃(第2集)』
報道によりますと、気象庁さんは、「急速強化」には海面水温だけでなく、上空の気流や台風の積乱雲の形なども影響するため、現在の観測技術では、時期や発達の度合いを詳細に予測するのは難しい…と述べられたそうなんですが、まさにそうですね。自然はあまりに奥が深くて、まだまだ人間の頭では解明できていないことのほうが多く、さらなる観測技術の充実や発生メカニズムの解明、それによる予測技術の向上が必要となります。ここは、まずは来年夏から運用がはじまる気象観測衛星「ひまわり8号」に期待したいところです。
台風19号は今後、北上に伴って北側にある乾いた空気が流れ込むため、勢力をやや弱めるものの、“非常に強い”勢力を保ったまま日本列島に近づくおそれが強いです。
何度も繰り返しになりますが、今後の台風の情報にはくれぐれもご注意をお願いいたします。
気象庁の観測によりますと、“大型で非常に強い”台風19号は、今日(10日)の午前6時には沖縄の南の海上を1時間におよそ10キロの非常にゆっくりとした速さで北へ進んでいます。中心の気圧は920ヘクトパスカル、中心付近の最大風速は50メートル、最大瞬間風速は70メートルで、中心から半径190キロ以内では風速25メートル以上の暴風が吹いています。
台風は、このあとも北よりに進み、明日(11日)以降、沖縄県に近づく見通しです。このため、沖縄・奄美、それに九州南部では明日は次第に風が強まり、波も高くなると予想されています。さらに台風は13日朝には九州の南の海上へ進み、その後、進路を北東に変えて西日本の南の海上へ進むと予想され、その後は先日の台風18号と非常によく似たコースで日本列島に接近・上陸しそうな感じです。九州の南海上に到達する13日の朝の段階での中心気圧は950ヘクトパスカル、中心付近の最大風速は40メートル、最大瞬間風速はメートル、風速25メートル以上の暴風警戒域は直径540kmの円形と予想されていて、今年日本に接近してきた台風の中では最大級の勢力を持つと予想されています。
しかも、今回の台風19号は、1週間前の台風18号より暴風域が広く、中心付近の雨雲が大変活発なのが特徴です。しかも、13日に種子島付近で進路を東寄りに変えるまで、自転車並みのゆっくりした速さで進みます。東寄りに進路を変えて西日本に接近してきた後も、駆け足で通り過ぎた台風18号よりもかなり遅い速度で進むと見られています。このため、影響を受ける時間もかなり長くなると予想されています。
先日の台風18号による大雨が降った地方では、いまだ水分を多く含んだ土壌のところが多く、そこに続けて台風19号による雨が加わることで、土砂災害や洪水等が発生する危険性は各地で増しています。非常に心配な状況です。
明日(11日)から三連休。行楽に出掛けられる方も多いでしょうし、自治体や各企業等では対策要員の手配も大変なことと思います。今後の台風の情報には、十分に注意してください。
10月に入り朝晩に涼しさを感じるようになってくると、台風が日本列島に接近、あるいは上陸してくるような印象は薄れるのですが、意外にもこの時期、本州付近への台風の接近や上陸の数は多いのです。
気象庁の定義によると、“上陸”とは、台風の中心が九州、四国、本州、北海道といった日本列島主要四島の海岸線に達した時のことを言いますが、10月に台風が上陸したのは1951年の統計開始以来14回ほどあります(このほかに1990年にはなんと11月30日に1990年第28号台風が和歌山県白浜町に上陸しました)。
昨年(2013年)は日本列島には年間で14個の台風が接近してきたのですが、そのうち10月は上陸こそなかったものの5個もの台風が日本に接近しました。特に、昨年(2013年)10月15日~16日にかけて、台風26号が関東地方に接近した際には、伊豆大島や千葉県では記録的な大雨となり、大きな被害が出ました。特に伊豆大島で甚大な被害が出たことは人々の記憶に新しいところです。伊豆大島では観測史上1位となる「1時間降水量122.5ミリ、3時間降水量335.0ミリ、24時間降水量824.0ミリ」という記録的な大雨となり、土砂災害で多くの方が犠牲となりました。また、その前年の2012年には年間で17個もの台風が日本に接近してきたのですが、うち4個が10月でした。
台風は上陸しなくても、近くを通り過ぎただけでも、あるいは中心から遠く離れたところでも、大雨を降らせることがあり、非常に注意が必要です。今年の10月はこれで日本への接近数は2個目ですが、そのどちらも上陸ということになりそうです。
このように10月はまだまだ台風シーズンだと言えます。油断はできません。台風の備えは近づいてからでは遅いので、避難場所をもう一度確認するなど早め早めの対処をお願いします。
(ちなみに、この“接近”とは、同じく気象庁の定義によると、台風の中心が国内のいずれかの気象官署から300km以内に入った場合を言います。また、小さい島や半島を横切って短時間で再び海に出る場合のことを“通過”と呼びます。)
日本への接近数で言うと、今年は今度の台風19号で11個目。昨年(2013年)の14個に比べると数は減っていますが、昨年は31個発生した台風のうちの数ですから、日本に接近する台風の割合で言うと、今年のほうが増えています。さらに一昨年(2012年)には17個の台風が日本に接近しているのですが、その年の発生数の総数は25個。ホント日本は台風の通り道にあるということですね。
気象庁の観測によりますと、猛烈な台風19号は9日正午の時点で、一時期、中心気圧が900へクトパスカル、中心付近の最大風速は60メートル、最大瞬間風速は85メートルという“猛烈な”勢力にまで発達しました。これは昨年11月にフィリピンのレイテ島で大変な被害を出した2013年第30号台風(ハイエン)と同レベルです。「ハイエン」は、上陸直前に中心気圧が895ヘクトパスカル、中心付近の最大風速が65メートルを記録しました。こうした最大風速が60メートル以上の台風のことを、アメリカでは「スーパー台風」と呼び特別視していて、監視体制も特別に強化しています。
台風の勢力の強さは、中心付近のはっきりとした“台風の目”にも表れます。台風は勢力が強まると中心付近に吹き込む風によって回転する力が増し、強い遠心力が働きます。このため中心付近では湿った空気が外に押し出され、雲がない“台風の目”と呼ばれる部分ができます。この“台風の目”がはっきりとした偏りのない円形になればなるほど、また、その目の直径が大きければ大きいほど、台風の勢力が強いことを示すとされています。衛星写真を見ると、現在、台風19号の台風の目の直径は40kmほどもあり、ほぼ真円。勢力の強さが伺えます。
また、台風19号は7日の午前0時からの24時間に、中心の気圧が970ヘクトパスカルから905ヘクトパスカルと、一気に65ヘクトパスカルも下がり、“猛烈な”勢力に発達しました。中心の気圧が24時間で40ヘクトパスカル以上も下がる現象のことを「急速強化」と呼ぶそうなのですが、台風19号ではその「急速強化」が起きていたと分析されているようです。
気象庁の観測では、今回の台風19号が急速に発達した南太平洋の海域は海面の水温が30℃近くあり、水深100メートルまでの海水温も、25℃以上のところが多かったということのようです。当初、気象庁は7日午前0時の時点で、台風は24時間後に、970ヘクトパスカルから960ヘクトパスカルと発達は10ヘクトパスカルと予測していました。それが実際には一気に65ヘクトパスカルも下がったわけです。
1週間ほど前に同じようなコースで台風18号が通過し、コース周辺の太平洋の海水がかき混ぜられて海面水温がある程度下がっているだろうから、私もそれほどまでには発達しないだろうな…と思っていましたが、そうではなかったようですね。
このことを先日、テレビのNHKスペシャル『巨大災害 ~MEGA DISASTER~ 地球大変動の衝撃』の第2集「スーパー台風 ~“海の異変”の最悪シナリオ~」で取り上げていました。私もそ のことをこの『おちゃめ日記』でも取り上げたのですが、まさにこういうことなんですね。
おちゃめ日記『巨大災害 ~MEGA DISASTER~ 地球大変動の衝撃(第2集)』
報道によりますと、気象庁さんは、「急速強化」には海面水温だけでなく、上空の気流や台風の積乱雲の形なども影響するため、現在の観測技術では、時期や発達の度合いを詳細に予測するのは難しい…と述べられたそうなんですが、まさにそうですね。自然はあまりに奥が深くて、まだまだ人間の頭では解明できていないことのほうが多く、さらなる観測技術の充実や発生メカニズムの解明、それによる予測技術の向上が必要となります。ここは、まずは来年夏から運用がはじまる気象観測衛星「ひまわり8号」に期待したいところです。
台風19号は今後、北上に伴って北側にある乾いた空気が流れ込むため、勢力をやや弱めるものの、“非常に強い”勢力を保ったまま日本列島に近づくおそれが強いです。
何度も繰り返しになりますが、今後の台風の情報にはくれぐれもご注意をお願いいたします。
執筆者
株式会社ハレックス
前代表取締役社長
越智正昭
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