2015/03/18
猫が、ドラッカーを学んだら(その1)
先日帰宅したらリビングのテーブルの上に見掛けない一冊の雑誌が置かれていました。『PRESIDENT NEXT』。雑誌の名称や装丁から類推するに、どうもビジネス総合誌「PRESIDENT(プレジデント)」を発行するプレジデント社の雑誌のようです。雑誌の表紙に書かれている文字を見ると、「マンガで読書する新感覚ビジネス誌」とあって、Vol.1とあるので創刊号のようです。なるほど、若いビジネスマンをターゲットとした入門編のビジネス雑誌ということのようです。
この雑誌、誰が買ってきて読んでるんだ?…と思って妻に尋ねると、どうも中学校の養護教諭(平たく言うと、保健室の先生)として勤務している娘が買ってきた雑誌であるとのこと。読みかけでリビングのテーブルの上に置きっ放しにしてあったみたいです。オォッ!◯◯◯(娘)がっ! やるじゃん! いいこといいこと、とぉ~ってもいいこと(^.^)
学校の教師も一般常識として基本的なビジネス感覚くらいは最低限身に付けておかないと、これから将来を担う子供達をちゃんと導いてはいけない…と私は思っていますので、娘が買ってきて読んでいる雑誌だと聞いて、嬉しくなってニンマリしてしまいました(^.^)
その『PRESIDENT NEXT』の創刊号を手にとってパラパラとめくると、「マンガで読書する新感覚ビジネス誌」と題するだけあって、中は漫画だらけです(当然か)。あのお堅いプレジデント社がついにこんな本まで出版するようになったか…と思いながら読み始めました。
創刊号の目玉の特集は、「特集 マンガでわかる超入門ドラッカー」。『猫が、ドラッカーを学んだら。』と題した漫画がかなりの分量を割いて載っていました。表紙には「今日ほどドラッカーが使える時代はないんだ。そして君こそリーダーの器かもしれない。」の文字が…。ふむふむ、なるほど、ドラッカーで来ましたか。「今日ほどドラッカー…」その通りです(^.^)
ドラッカーと言えば、今から5年ほど前に岩崎夏海さんが書いた小説『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』(ダイヤモンド社)が発行部数250万部を超えるほどの大ベストセラーになり、2010年秋から2011年夏にかけてアニメ化や漫画化、映画化とメディアミックス企画が相次いで展開され、略称『もしドラ』が社会的な一大ブームとなったことがありました。
この時も話題になりつつある最中に娘が本を買ってきて読んでいたので、私もそのお相伴で読ませていただきました。当時娘は教員になったばかりで、おそらく大ベストセラーということで、ミーハーだから本屋で見つけて読んだだけなんでしょうけれど(笑)。この『もしドラ』もドラッカー先生の唱えるマネジメント論のエッセンスが誰が読んでも非常に解りやすく書かれていて、面白かったのですが、今度は女子高校生ではなくて猫で来ましたか(笑)
でも、この『猫が、ドラッカーを学んだら。』ですが、読んでみると『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』以上にドラッカー先生の「マネジメント」のエッセンスだけがギュッと凝縮して詰まっている感じで解りやすく、実践的で面白かったですね。漫画だけにサラサラと一気に読めます。その日は帰宅したのが日付が変わるほど遅かったのですが、不覚にも1時間ほどかけて一気に最後まで読んでしまいました。
内容はと言うと……小さなイタリア食堂が「マネジメント」で生まれ変わった…というものです。主な章立てが「マネジメント」の中に書かれているドラッカー先生の重要な言葉を“問いかけ”に直したものになっています。
プロローグ 母さんが、母さんが! Oh Mamma Mia!
第1幕 君の商売は何かね? What is your business?
第2幕 君の顧客は誰かね? Who is your customer?
第3幕 もっとも価値を届けたい人は誰かね? Create a customer.
第4幕 君の強みは何かね? Build on your strength.
第5幕 君の成功はずっと続くかね? How do you innovate?
エピローグ ニャンジェロよ、これが、イノベーションの起こし方じゃ。
まさに、これですね。長くなるので内容はバッサリ省略しますが、この漫画にはドラッカー流の「マネジメント」のエッセンスがギュッと凝縮されて詰まっていると私は思っています。
変化が常態になった(すなわち、常に社会が変化している)今日ほど、ドラッカー先生の理論が使える時代はないんじゃあないか…と私も思っています。皆さんもこの章立てにある“問いかけ”を自分に向けてしてみてはいかがでしょう?
①自分の(自社の)商売は何か? 何を価値として売っているのか?
②自分の(自社の)顧客は誰なのか?
③また、自分の(自社の)真の顧客(価値を届けたい相手)は誰なのか?
④自分の(自社の)強みは何なのか?
⑤そうした時、自分の(自社の)ビジネスモデルはこの先も盤石で成長し続けるのか?
単純にこれだけのことです。お金はいっさいかかりません。自分で考えるだけですから。ですが、これを考えるだけで、いろいろな課題や問題、やるべきことが見えてきて、変革に繋がる筈です。反対に、このあたりが解っていないと、なにをやってもうまくいくことはない!…と私は思っています。経営における基本中の基本というものです。
【追記】
それにしても、『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』、『猫が、ドラッカーを学んだら。』、どちらも娘が買ってきて読んだのをお相伴にあずかって読ませていただいたのですが、娘はドラッカーに興味があるのかしらん? ま・さ・か…?
もしそうだとすると、娘は学校の先生よりもビジネス向きだと以前から思っていたので、私の目に狂いはなさそうです。でもまぁ、今は学校の先生を職業として選択してしまったわけで、ここは『もし、中学校の保健室の先生がドラッカーの「マネジメント」を読んだら』を是非とも実践していただきたいものだと思っています。マネジメント論だけに、中学校の保健室の先生にでも役に立つことは多々あると思いますから。
…………(その2)に続きます(^^)d
執筆者
株式会社ハレックス
前代表取締役社長
越智正昭
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