2015/04/27

火山活動が活発化してきているようです

日本から見て地球の裏側にある南米のチリで火山の大規模な噴火がありました。このような報道が流れています。


『チリの火山で大規模噴火 住民避難』

南米チリで火山の大規模な噴火が起きて、噴煙が上空およそ15kmにまで達し、チリ政府は火山から半径およそ20km以内の住民に避難するよう命じました。

噴火したのは、チリの首都サンティアゴから南におよそ1,000km離れた、標高およそ2,000メートルのカルブコ火山です。現地時間の4月22日日午後6時頃に噴火し、チリ政府によりますと、噴煙が上空およそ15kmにまで達しました。現地からの映像では、火口付近から噴煙が空高く立ち上る様子が分かります。

チリ政府は警戒レベルを最高度に引き上げて、半径およそ20km以内に住む4,400人ほどに避難するよう命じ、これまでに大部分の住民が避難したということです。火山灰は隣国アルゼンチンの西部の町にも降り注ぐなど、影響が広がっています。

チリ政府は、さらにこの噴火からおよそ7時間後の現地時間の23日午前1時頃、カルブコ火山で新たに大規模な噴火が確認されたと発表しました。チリのバチェレ大統領は、23日には自ら現地を訪れ、被害状況を確認する予定です。

地元メディアによりますと、カルブコ火山が噴火したのは1972年以来43年ぶりだということです。チリでは先月(3月)3日にも南部にある別の火山で大規模な噴火が起きています。
(記事引用:NHKニュース&スポーツ 04/23 18:44)


チリでは、5年前の2010年2月にマグニチュード8.8の巨大地震が発生し、日本の沿岸にも津波が押し寄せました。

この巨大地震から1年余りたった2011年6月、チリ南部のアンデス山脈にあるコルドンカウジェ火山群で50年ぶりに規模の大きな噴火が発生し、噴煙は上空およそ15kmメートルに達しました。山麓に大量の火山灰や噴石が降ったほか、火山灰はおよそ1万km離れたオーストラリアの上空にまで広がり、南半球では航空機の運航に大きな影響が出たことが日本でも大きく報道されました。

また、今回噴火したカルブコ火山のおよそ200km北にあるビジャリカ火山では、今年3月に噴火が発生し、火口から溶岩が流れ出しました。2010年2月のマグニチュード8.8の巨大地震以降、火山活動が活発になり、規模の大きな噴火が相次いでいるようです。

報道の中で、火山噴火予知連絡会の藤井敏嗣会長は「歴史を振り返ってみても、マグニチュード9前後の巨大地震が起きたあとには、世界的に例外なく、周辺の火山で大規模な噴火が発生している。4年前に巨大地震があった日本では今のところ大規模な噴火の兆候は見られないが、今後の火山活動には注意が必要だ」と指摘しています。


世界の活火山の分布


火山の噴火に関しては、このところ日本でも不穏な動きがあります。

昨年の9月27日に木曽御嶽山が7年ぶりに突然噴火し、この噴火に山頂付近にいた多数の登山者が巻き込まれ、雲仙・普賢岳の大火砕流を超える戦後最悪の57人もの登山客が亡くなったり、行方不明になったりしたのは記憶に新しいところですが、木曽御嶽山だけでなく、今月(4月)に入ってからも、火山に関する次のような幾つかの報道が流れています。


『桜島の噴火活動活発 多量の火山灰も』

鹿児島県の桜島について、気象庁は、爆発的な噴火を繰り返し、3年ぶりに桜島を震源とする有感地震が起きるなど、活発な噴火活動が続いていて、今後、多くの火山灰を噴出する噴火が発生する可能性があるとして、火口から概ね2kmの範囲では、引き続き噴石や火砕流に警戒するよう呼びかけています。

気象庁が4月8日に発表した火山活動の概況によりますと、桜島では、先月、昭和火口で爆発的な噴火が178回発生し、統計を取り始めた昭和30年以降で最も多くなるなど、活発な噴火活動が続いています。

先月(3月)27日には1日に31回に達したほか、17日の爆発的な噴火では、噴煙が火口から3,300メートルの高さに達し、小規模な火砕流が発生して600メートルほど斜面を流れ下りました。

先月31日には、桜島島内を震源とする震度1以上の揺れを観測する地震が3年ぶりに起きました。また、地殻変動の観測では、今年1月頃から山が膨張していると考えられる変化が続いているほか、鹿児島湾奥部の「姶良カルデラ」の地下が長期的に膨張していることを示すと考えられる変化も続いているということです。

気象庁は、今後、噴煙が火口から5,000メートルの高さに達した一昨年8月の噴火以上の多くの火山灰を噴出する噴火が発生する可能性があるとして、引き続き昭和火口と南岳山頂火口から2kmの範囲では、大きな噴石や火砕流に警戒し、今後の火山活動の状況に注意するよう呼びかけています。
(記事引用:NHKニュース&スポーツ 04/08 19:47)


『蔵王山に初の火口周辺警報』

宮城県と山形県の県境にある蔵王山では、今月7日から火山性地震の回数が増えるなど、火山活動がやや活発な状態が続いています。気象庁は、今後、小規模な噴火が起きる可能性があるとして蔵王山に火口周辺警報を発表し、「御釜」と呼ばれる火口湖から2kmから3km程度の範囲では噴火に伴う噴石などに警戒するよう呼びかけています。

気象庁によりますと、蔵王山では、蔵王山では7日に「御釜」付近が震源とみられる火山性地震が17回発生して以降、8日は16回、9日は午後5時までに26回と、規模の小さな火山性地震が多い状態が続いています。また、9日午後3時49分頃には、地下のマグマやガスの動きを示すと考えられる火山性微動が観測され、1分20秒ほど続きました。火山性微動が観測されたのは今年2月以来で、これまでに観測された火山性微動の中では振幅は小さいということです。

気象庁は、蔵王山では火山活動がやや活発な状態が続いていて、今後、小規模な噴火が起きる可能性があるとして、13日午後、火口周辺警報を発表し、噴火が起きるおそれがあると想定される「馬の背カルデラ」から1.2km程度の範囲、「御釜」からは半径2km程度、東には3km程度の範囲では噴火に伴う噴石などに警戒するよう呼びかけています。蔵王山に火口周辺警報が発表されるのは、今回が初めてです。

【専門家「御嶽山と同じ規模の噴火可能性も」】
蔵王山の火山活動について研究している東北大学大学院地震・噴火予知研究観測センターの三浦哲教授は、「蔵王山は、去年9月に噴火した御嶽山と同じように、過去に水蒸気噴火を繰り返してきた火山であり、御嶽山と同じような規模で噴火が起きることも考えられる」と指摘しています。また、今後の活動について「過去の噴火の記録からは蔵王山では火山活動に周期性がみられない。御釜周辺の想定される火口から1.2kmの範囲は、水蒸気噴火が起きると噴石が飛ぶ可能性が高い」と説明しました。

また、御釜周辺では冬場閉鎖されている観光道路が開通すると、観光客が近づくことができることから、三浦教授は、「これからの季節は登山客に限らず一般の人も軽装のまま御釜を訪れる人も増えてくる。今後の気象庁が発表する情報に基づいて、登山を控えるなど、責任をもった行動をしてほしい」と話しています。

蔵王山は、宮城と山形の県境にある複数の山からなる活火山で、最も高い熊野岳は標高が1,841メートルです。過去にも水蒸気噴火や、蒸気や火山ガスの噴出を繰り返し、昭和15年には水蒸気噴火が発生したほか、昭和24年や昭和37年には噴気孔から活発に噴気を噴き出す活動が確認されています。

蔵王山では、去年8月に火山性地震が増加したあと、今月7日から再び多くなり9日には35回、12日は38回観測していました。また、地下のマグマや火山ガスなどの動きを示すとされる「火山性微動」も去年8月以降ほぼ毎月発生し、最も長い微動は8分間にわたって続きました。今月9日にもおよそ1分20秒にわたって火山性微動が観測されていました。

また、去年の10月には「御釜」と呼ばれる火口湖の一部が、一時的に白く濁る変化が見られました。一方、これまでのところ、地殻変動のデータや監視カメラによる映像には特段の変化は見られないということです。

蔵王山について、火山の専門家などで作る火山噴火予知連絡会は、今年2月、「蔵王山では地震活動の高まりが見られ、突発的に火山ガスや泥が噴出する可能性がある。観光や登山で山に近づく際には十分な注意が必要だ」とする検討結果をまとめていました。

【登山道入り口に規制の看板】
火口周辺警報の発表を受けて、川崎町の蔵王山の御釜に続く登山道の入り口では、町の職員が火口周辺と登山道への立ち入りを規制する看板を設置しました。

川崎町農林課の今野太久磨主事は「これから春を迎えて登山客も増える時期ですが、安全のためにも警報が発表されている間は入山は控えてもらいたいです」と話していました。
(記事引用:NHKニュース&スポーツ 04/13 14:29)


木曽御嶽山や蔵王山に限らず、火山は山の形が(風景が)美しい山が多く、「日本百名山」の中にも幾つもの活火山が含まれています。以下は、気象庁が指定する日本国内の活火山のうち、日本百名山に該当している山を一覧表にしたものです。なんと百名山の1/3の34の山が活火山です。なお、この一覧表は活火山に指定されている日本百名山の噴火の切迫性、危険性を示すものではありません。

【下表の見方】
『活火山の定義について』……火山活動を行っている山に対し「活火山」「休火山」「死火山」という分類が従来からなされてきましたが、現在では火山活動の度合いを最近100年間と過去1万年間の2つの期間で調べ、最も活動的な火山をAランク、次に活発な火山をBランク、残りの火山はCランクと、3つのランクに分類しています。これらの分類は各山の過去の活動状況をもとに分類されており、現時点での噴火の切迫性、危険性を示すものではありません。

『噴火警戒レベルについて』……気象庁が提供する「噴火警戒レベル」は、火山活動の状況を噴火時等の危険範囲や必要な防災対応を踏まえて5段階に区分したものです。この情報は、全ての活火山に対して提供されているものではありません。また、噴火警戒レベルが提供されている活火山は、全て「噴火警戒レベル1(平常)」が適用されていて、必要に応じ火口内への立入が禁止されている場合がありますので、事前の確認が必要となります。各山の噴火警戒レベルの最新の状況等、詳しい状況を調べたい場合は、下記の気象庁のサイト「気象庁 噴火予報・警報」のページを常に確認してください。

気象庁:噴火予報・警報

    (1) 利尻岳 北海道 1,719m ── Cランク
    (2) 羅臼岳 北海道 1,661m ── Bランク
    (3) 阿寒岳(雌阿寒岳) 北海道 1,499m レベル1(平常) Bランク
    (4) 阿寒岳(雄阿寒岳) 北海道 1,499m – –
    (5) 大雪山 北海道 2,290m ── Cランク
    (6) 十勝岳 北海道 2,077m レベル1(平常) Aランク
    (7) 後方羊蹄山 北海道 1,893m ── Cランク
    (8) 岩木山 東北 1,625m ── Bランク
    (9) 八甲田山 東北 1,585m ── Cランク
    (10) 八幡平 東北 1,613m ── Cランク
    (11) 岩手山 東北 2,038m レベル1(平常) Bランク
    (12) 鳥海山 東北 2,236m ── Bランク
    (13) 蔵王山 東北 1,841m レベル1(火口周辺危険)── Cランク
    (14) 吾妻山 東北 2,035m レベル2(火口周辺規制) Bランク
    (15) 安達太良山 東北 1,700m レベル1(平常) Bランク
    (16) 磐梯山 東北 1,819m レベル1(平常) Bランク
    (17) 那須岳 北関東 1,915m レベル1(平常) Bランク
    (18) 燧ケ岳 尾瀬 2,356m ── Cランク
    (19) 赤城山 上州 1,828m ── Cランク
    (20) 日光白根山 日光 2,578m ── Cランク
    (21) 妙高山 上信越 2,446m ── Cランク
    (22) 草津白根山 上信越 2,165m レベル2(火口周辺規制) Bランク
    (23) 浅間山 上信越 2,568m レベル1(平常) Aランク
    (24) 富士山 南関東 3,776m レベル1(平常) Bランク
    (25) 天城山 南関東 1,406m レベル1(平常) Bランク
    (26) 焼岳 北アルプス 2,444m レベル1(平常) Bランク
    (27) 乗鞍岳 北アルプス3,026m ── Cランク
    (28) 御嶽山 御嶽山 3,067m レベル3(入山規制) Bランク
    (29) 白山 北陸 2,702m ── Cランク
    (30) 九重山 九州 1,787m レベル1(平常) Bランク
    (31) 阿蘇山 九州 1,592m レベル2(火口周辺規制) Aランク
    (32) 霧島山(新燃岳) 九州 1,700m レベル2(火口周辺規制) Bランク
    (33) 霧島山(御鉢) 九州 1,700m レベル1(火口周辺危険) Bランク
    (34) 開聞岳 九州 922m ── Cランク


日本の活火山の分布


このゴールデンウィークも多くの登山好きの方が山へ行かれるかと思います。くれぐれも無理をなさらず、最新の気象情報、噴火予報・警報に注意を払って、楽しい思い出を作ってきてください。

自然界においては、「美しいものには“力”がある」ということをお忘れなく。“力”は、時として人類の想像を超える圧倒的な破壊力であったりもしますから(^^)d