2015/04/27
ネパールで大きな地震
先週の土曜日(25日)にはネパールでマグニチュード7.8という大きな地震が発生し、大きな被害が出ています。
『ネパールの地震 死者3,300人以上に』
ネパールの中部で日本時間の25日午後、マグニチュード7.8の大きな地震があり、ネパールでは3,200人以上が死亡したほか、隣国のインドや中国などでも死者が出ており、被害が広がっています。
アメリカの地質調査所によりますと、現地時間の25日正午前(日本時間の午後3時すぎ)、ネパール中部を震源とするマグニチュード7.8(震源の深さ約15km)の大きな地震があり、ネパールからインド北部にかけての広い地域で強い揺れが観測されました。
震源は首都カトマンズの北西80キロ付近とみられ、現地ではその後もマグニチュード6.7をはじめとした余震とみられる地震がこれまでに多数起きています。
この大地震で、ネパールでは、多くの住宅や歴史的な建造物が倒壊し、現地の警察によりますと、これまでに3,217人の死亡が確認され、6,400人以上が怪我をしました。
一方、地震が発生した際、外国人400人を含む1,000人以上の登山者がいたエベレスト周辺では、地震によって発生した雪崩が登山者のベースキャンプを襲い、現地の日本大使館によりますと、いずれも50代の日本人の男女2人がベースキャンプの近くで雪崩に巻き込まれ、このうち男性が死亡し、女性が怪我をしたということです。
また、地震の被害は周辺の国々にも広がっていて、インドで67人、中国のチベット自治区で20人、バングラデシュで2人が死亡したということです。
震源に近いネパールの首都カトマンズでは、旧市街地にある世界遺産に登録されている地区で、カトマンズの名前の由来にもなった歴史的な寺院が崩壊するなど大きな被害がでていて、軍などがショベルカーを使って、夜を徹して、倒壊した建物下に閉じ込められた人たちの救出活動が続けられています。
また、余震を恐れて被災者の多くが広場などに集まり、屋外での避難生活を強いられているほか、多くの商店が営業を停止し、路線バスなどの公共交通機関の多くも運行を取りやめています。
カトマンズには、インドや中国など各国の救助隊が次々に到着しているほか、日本の国際緊急援助隊も27日に現地入りする予定で、国際社会による支援の動きが本格化しています。
(記事引用:NHKニュース&スポーツ 04/27 11:56ほか)
『ネパール周辺 プレート衝突で大地震が多発』
今回地震が起きたネパールの周辺は、ユーラシア大陸が載った陸側のプレートに、南から移動してくるインドの載ったプレートがぶつかってひずみがたまりやすく、過去にも繰り返し大きな地震が発生しています。
4年前の2011年9月18日には今回の地震の震源より東側のインドとネパールの国境付近でマグニチュード6.9の地震が発生し、およそ100人が死亡しました。10年前の2005年10月には、今回の震源の西側にあたるパキスタン北部でマグニチュード7.6の大地震が発生し、およそ40万棟の建物に被害が出て7万人以上が死亡しました。
また、今回の震源に比較的近いネパール中部の中国との国境付近では、今から180年余り前の1833年にマグニチュード8クラスの巨大地震が発生して多くの犠牲者が出たとみられています。
東京大学地震研究所の加藤照之教授は「この地域はプレートどうしの衝突によってヒマラヤ山脈が作られるほど常に大きな力がかかっているため、地震活動が活発だ。しかし、この地域の建物には揺れに弱いものもあり、これまでもマグニチュード7から8の地震で甚大な被害が出ている。今後、比較的規模の大きな余震が起きるおそれがあり、建物が倒壊する危険性がある」と指摘しています。
(記事引用:NHKニュース&スポーツ 04/25 18:21)
さして大きな都市があるわけでもないネパールで、死者2,500人以上というのは大変な事態です。テレビのニュース映像を観る限り、首都であるカトマンズでもレンガ(煉瓦)積みなどの耐震性の著しく低い建物が多いようで、そこにマグニチュード7.8の巨大地震が、ほぼ直下型で直撃したわけです。ひとたまりもなかったことでしょう。惨状が容易に想像できます。まだ連絡が取れていないような辺鄙な地域も多く、たいへんにお気の毒なことではありますが、死者の数はさらに増えると思われます。大いに心配されます。これ以上、犠牲者の数が増えないことを祈るだけです。
皆さんご存知のように、地球の表面はプレートと呼ばれる十数枚の厚さ100kmほどの岩盤で覆れています。プレートには大陸プレートと海洋プレートがあり、海洋プレートは大陸プレートよりも強固で密度が高いため、この2つがぶつかると海洋プレートは大陸プレートの下に沈み込んでいくことになります。また、地下のマグマの上昇により、プレートに亀裂ができ、連続してマグマが上昇し続けると、その後プレートが分断されて両側に分かれることになったりもします。
この地球の表面を覆うプレートの下にはマントルと呼ばれる層があり、その上部は流動性を有する極めて高温の岩石成分と揮発性成分(主に水)で構成されています。これがマグマと呼ばれるものです。流動性を有する成分で構成されているということは流れるということで、プレートはこのマグマの流れに乗って、常に移動しているというわけです。そして、マグマがプレートの中の割れ目や裂け目を伝わって地表面に直接噴き出してくるのが火山噴火や溶岩流出です。
報道にも書かれているように、今回地震が起きたネパールの周辺は、ユーラシア大陸が載った陸側のプレートに、南から移動してくるインドの載ったインド・オーストラリアプレートがぶつかった接合面に位置しています。東京大学地震研究所の加藤照之教授のコメントにもあるように、この地域はプレートどうしの衝突によってヒマラヤ山脈が作られるほど常に大きな力がかかっているため、地震活動が活発なところです。
また、カルブコ火山が大規模な噴火を起こした南米のチリ周辺も陸側の南米プレートに海側のナスカプレートがぶつかる接合面周辺にあり、ここも火山活動だけでなく地震活動も活発なところです。
このところ地球が不気味な動きをしているようで、大いに気になります。
【追記】
「坂の上のクラウドコンソーシアム」でご一緒している愛媛県農業法人協会会長の牧さんが経営なさっているジェイ・ウイングファームに、昨年までネパールから愛媛大学農学部に留学してきた留学生が実践農業を学ぶため働いていたのですが、昨年彼と会った時に「来年(すなわち今年)はネパールに戻って、ネパールの農業発展のために頑張る」と言っていたことを思い出し、昨日(26日)、牧さんに「彼の安否は確認がとれましたか?」って電話を入れてみました。
幸い、そのネパール人の彼は今年度もまだ帰国せずに日本(松山)に残って勉強しているようで、「おぉ、地震があった25日も午前中ウチに遊びに来とったが。後で電話がかかってきたが、カトマンズにいる彼の両親や家族も安否の確認がとれて無事だったみたいだけど、彼の実家のカトマンズの2軒の家が大きな被害を受けたようや」とのこと。なにはともあれ、彼の無事が確認できて、よかったよかった。
ちなみに、ジェイ・ウイングファームでは今年度からはバングラデシュからの留学生を受け入れて、実践農業の研修を行っているそうです。農業の世界もグローバリズムの波は押し寄せて来ています。
『ネパールの地震 死者3,300人以上に』
ネパールの中部で日本時間の25日午後、マグニチュード7.8の大きな地震があり、ネパールでは3,200人以上が死亡したほか、隣国のインドや中国などでも死者が出ており、被害が広がっています。
アメリカの地質調査所によりますと、現地時間の25日正午前(日本時間の午後3時すぎ)、ネパール中部を震源とするマグニチュード7.8(震源の深さ約15km)の大きな地震があり、ネパールからインド北部にかけての広い地域で強い揺れが観測されました。
震源は首都カトマンズの北西80キロ付近とみられ、現地ではその後もマグニチュード6.7をはじめとした余震とみられる地震がこれまでに多数起きています。
この大地震で、ネパールでは、多くの住宅や歴史的な建造物が倒壊し、現地の警察によりますと、これまでに3,217人の死亡が確認され、6,400人以上が怪我をしました。
一方、地震が発生した際、外国人400人を含む1,000人以上の登山者がいたエベレスト周辺では、地震によって発生した雪崩が登山者のベースキャンプを襲い、現地の日本大使館によりますと、いずれも50代の日本人の男女2人がベースキャンプの近くで雪崩に巻き込まれ、このうち男性が死亡し、女性が怪我をしたということです。
また、地震の被害は周辺の国々にも広がっていて、インドで67人、中国のチベット自治区で20人、バングラデシュで2人が死亡したということです。
震源に近いネパールの首都カトマンズでは、旧市街地にある世界遺産に登録されている地区で、カトマンズの名前の由来にもなった歴史的な寺院が崩壊するなど大きな被害がでていて、軍などがショベルカーを使って、夜を徹して、倒壊した建物下に閉じ込められた人たちの救出活動が続けられています。
また、余震を恐れて被災者の多くが広場などに集まり、屋外での避難生活を強いられているほか、多くの商店が営業を停止し、路線バスなどの公共交通機関の多くも運行を取りやめています。
カトマンズには、インドや中国など各国の救助隊が次々に到着しているほか、日本の国際緊急援助隊も27日に現地入りする予定で、国際社会による支援の動きが本格化しています。
(記事引用:NHKニュース&スポーツ 04/27 11:56ほか)
『ネパール周辺 プレート衝突で大地震が多発』
今回地震が起きたネパールの周辺は、ユーラシア大陸が載った陸側のプレートに、南から移動してくるインドの載ったプレートがぶつかってひずみがたまりやすく、過去にも繰り返し大きな地震が発生しています。
4年前の2011年9月18日には今回の地震の震源より東側のインドとネパールの国境付近でマグニチュード6.9の地震が発生し、およそ100人が死亡しました。10年前の2005年10月には、今回の震源の西側にあたるパキスタン北部でマグニチュード7.6の大地震が発生し、およそ40万棟の建物に被害が出て7万人以上が死亡しました。
また、今回の震源に比較的近いネパール中部の中国との国境付近では、今から180年余り前の1833年にマグニチュード8クラスの巨大地震が発生して多くの犠牲者が出たとみられています。
東京大学地震研究所の加藤照之教授は「この地域はプレートどうしの衝突によってヒマラヤ山脈が作られるほど常に大きな力がかかっているため、地震活動が活発だ。しかし、この地域の建物には揺れに弱いものもあり、これまでもマグニチュード7から8の地震で甚大な被害が出ている。今後、比較的規模の大きな余震が起きるおそれがあり、建物が倒壊する危険性がある」と指摘しています。
(記事引用:NHKニュース&スポーツ 04/25 18:21)
さして大きな都市があるわけでもないネパールで、死者2,500人以上というのは大変な事態です。テレビのニュース映像を観る限り、首都であるカトマンズでもレンガ(煉瓦)積みなどの耐震性の著しく低い建物が多いようで、そこにマグニチュード7.8の巨大地震が、ほぼ直下型で直撃したわけです。ひとたまりもなかったことでしょう。惨状が容易に想像できます。まだ連絡が取れていないような辺鄙な地域も多く、たいへんにお気の毒なことではありますが、死者の数はさらに増えると思われます。大いに心配されます。これ以上、犠牲者の数が増えないことを祈るだけです。
皆さんご存知のように、地球の表面はプレートと呼ばれる十数枚の厚さ100kmほどの岩盤で覆れています。プレートには大陸プレートと海洋プレートがあり、海洋プレートは大陸プレートよりも強固で密度が高いため、この2つがぶつかると海洋プレートは大陸プレートの下に沈み込んでいくことになります。また、地下のマグマの上昇により、プレートに亀裂ができ、連続してマグマが上昇し続けると、その後プレートが分断されて両側に分かれることになったりもします。
この地球の表面を覆うプレートの下にはマントルと呼ばれる層があり、その上部は流動性を有する極めて高温の岩石成分と揮発性成分(主に水)で構成されています。これがマグマと呼ばれるものです。流動性を有する成分で構成されているということは流れるということで、プレートはこのマグマの流れに乗って、常に移動しているというわけです。そして、マグマがプレートの中の割れ目や裂け目を伝わって地表面に直接噴き出してくるのが火山噴火や溶岩流出です。
報道にも書かれているように、今回地震が起きたネパールの周辺は、ユーラシア大陸が載った陸側のプレートに、南から移動してくるインドの載ったインド・オーストラリアプレートがぶつかった接合面に位置しています。東京大学地震研究所の加藤照之教授のコメントにもあるように、この地域はプレートどうしの衝突によってヒマラヤ山脈が作られるほど常に大きな力がかかっているため、地震活動が活発なところです。
また、カルブコ火山が大規模な噴火を起こした南米のチリ周辺も陸側の南米プレートに海側のナスカプレートがぶつかる接合面周辺にあり、ここも火山活動だけでなく地震活動も活発なところです。
このところ地球が不気味な動きをしているようで、大いに気になります。
【追記】
「坂の上のクラウドコンソーシアム」でご一緒している愛媛県農業法人協会会長の牧さんが経営なさっているジェイ・ウイングファームに、昨年までネパールから愛媛大学農学部に留学してきた留学生が実践農業を学ぶため働いていたのですが、昨年彼と会った時に「来年(すなわち今年)はネパールに戻って、ネパールの農業発展のために頑張る」と言っていたことを思い出し、昨日(26日)、牧さんに「彼の安否は確認がとれましたか?」って電話を入れてみました。
幸い、そのネパール人の彼は今年度もまだ帰国せずに日本(松山)に残って勉強しているようで、「おぉ、地震があった25日も午前中ウチに遊びに来とったが。後で電話がかかってきたが、カトマンズにいる彼の両親や家族も安否の確認がとれて無事だったみたいだけど、彼の実家のカトマンズの2軒の家が大きな被害を受けたようや」とのこと。なにはともあれ、彼の無事が確認できて、よかったよかった。
ちなみに、ジェイ・ウイングファームでは今年度からはバングラデシュからの留学生を受け入れて、実践農業の研修を行っているそうです。農業の世界もグローバリズムの波は押し寄せて来ています。
執筆者
株式会社ハレックス
前代表取締役社長
越智正昭
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