2015/07/06

「世界の管理者」という言葉は聞かない

先日、知人との会話の中で、あらためて気付かされたことがあります。

それは、「世界のリーダー、政界のリーダー、ビジネスのリーダーという言葉はふつうに聞くことがあるが、世界の管理者、政界の管理者、ビジネスの管理者という言葉は聞いたことがない」ということです。

知人のその言葉を聞き、「リーダーの役割」というものの本質をズバリついた言葉であると感じました。

当たり前のことなのですが、リーダーは皆をリードして導く立場の人のことであり、皆をチェックして管理するだけの人をリーダーとは言いません。それが、知人の言った「世界の管理者」などという言葉は聞いたことがない…ということに表れているのではないでしょうか。

さて、現在私達を取り巻く経済・市場はアベノミクスの効果が表れてきて、日経平均株価などはリーマンショック前の水準まで持ち直してきています。しかしながら、その恩恵は当社のような中小企業まではまだ十分には届いていないという感じで、引き続き不安定で厳しい状況が続いています。このような状況下で、企業を継続しビジネスを展開するためには、不安を抱えている配下スタッフの力を結集し、競合相手との競争に勝ち残らなければなりません。

その役割を与えられているのは“管理者”ではなく“リーダー”なのです。

激変する経済・市場において、企業を取り巻く環境が同じままで存在することはありません。常に変化している世界情勢や市場環境に対応する対策を立てることが、いま、本当に求められているリーダーの役割なのではないでしょうか。

管理することがマネジメントであると理解しているリーダーは、管理・チェックを強めてスタッフのできていないところを指摘するか、あるいは会社全体といった大きな視点ではなく自分の部署や自分の管轄を守ることを中心にした行動をとりがちです。

このようなマネジメントでは、いくら管理を強めても、経済・市場の環境自体が変化し、ビジネスとして通用するルールの変更がなされたことに対応ができないため、企業として、また組織として生き残ることは不可能です。

私自身ハレックス社のトップですから、当然リーダーの役目を求められます。皆をリードし導くことが私の役割であることは間違いありません。しかしながら、私自身がリーダーとしての素質をすべて完璧に備えているわけではありません。

会社の組織は、私を含めてすべてにおいて完璧なメンバーで構成されているわけではないのですから、私自身がリーダーの素質をすべて備えていなくても、私の欠点を補うためにスタッフそれぞれの長所を見つけてそれを結集し、行動の道筋を指し示すことができればそれでよいと思っています。

実際に、スタッフの意見や言動、発案の中には、役職や経験に関係なく、改善・改良などについて組織全体で見ればリーダー的なものが多々あります。その中から、いいものを拾い上げ、社内に指し示し、具現化することができれば、結果として私はリーダーの役割を果たすことができると考えています。