2015/12/04
JR四国バス(その1)
先日、東京駅八重洲南口にある高速バスターミナルの横を歩いていて、出発を待つ全国各地へ向かう何台ものバスの群れの中に、私の故郷、四国のJR四国バスの姿を見掛け、思わず足を止めて、そのバスが出発して姿が見えなくなるまで、しばらく眺めてしまいました。
大都会東京のど真ん中で、故郷で見慣れたバスを見掛けると、懐かしさでメチャメチャ嬉しくなってしまいます。既に20時を過ぎて、周囲は暗くなっていたのですが、そのJR四国バスの2階建ての車体(ダブルデッカー車:三菱ふそう・エアロキング)だけは明るく大きく光り輝いて見えました。
LED表示の行き先を見ると、なんとなんとの『ドリーム松山号 松山駅経由JR松山支店行き』(^^)v 東京駅を出発して、一旦新宿駅に立ち寄り、その後、東名高速道路、名神高速道路、中国自動車道、山陽自動車道、神戸淡路鳴門自動車道(淡路鳴門大橋)、高松自動車道、松山自動車道等を一晩(約12時間)かけて走り、翌朝の午前8時半過ぎにはJR松山駅に到着します(確か…)。走行距離は868km(確か…)。現在日本最長の高速バス路線である西日本鉄道(西鉄)の『はかた号』(新宿高速バスターミナル~博多バスターミナル)の1,150kmには及びませんが、間違いなく日本で五指に入る長距離高速バス路線です。
(かつては西武観光バスと西鉄高速バスが運行する『Lions Express』(福岡天神バスターミナル~大宮駅西口間)の走行距離が1,170kmと日本最長でしたが、残念ながら今年5月16日発車便をもって運行休止になっています。)
東京駅からは若い人や家族連れを中心にそれなりの数の乗客が乗り込みました。耳に馴染みのある松山訛りの言葉も聞こえてきます。なぁ~んか心地いいです。1階席後方の荷物スペースに運転士が乗客の荷物を積み込んでいます。『ドリーム松山号』は東京ディズニーランドが始発なので、荷物スペースには見慣れた“夢の国”のお土産袋が幾つも積まれています。深夜を走行するため既に窓にはカーテンがかかっているので車内の様子はよくは分かりませんが、東京駅八重洲南口バスターミナル発車時点でほぼ満席のようです。
鉄道マニアと言うよりも“公共交通機関マニア”の私は、バスも趣味の対象としているのですが、実は、残念ながらこれまで一度も『ドリーム松山号』を利用したことがありません。東京羽田空港と松山空港の間にはJAL、ANAが6往復ずつの1日12往復。それに成田空港と松山空港の間にLCCのジェットスターの1日3往復を加えると、計1日15往復の飛行機が、首都圏と愛媛松山の間を空路で結んでいて、両空港間は1時間ちょっとの実フライト時間で移動できるので、首都圏と松山間の移動には空路を使うのが一般的になっています。
私もこの30年ほど、松山との移動には空路ばかりを利用してきました。何度か出張先の大阪から松山に移動することもあったのですが、その際にも利用したのは空路でした。(大阪からでもそんな感じです。鉄道利用の場合、岡山までは新幹線で速いのですが、そこから先は在来線で時間もかかるので、どうしても時間優先で空路利用になってしまっています)。
東京駅をはじめとした首都圏と故郷松山の間に深夜高速バスが走っていることは以前から知っていて、いつかはそれに乗って松山に帰ってみたい…と思ってはいるのですが、いまだそれは実現していません。いつかは利用して帰省したいと思っていますが、いつのことになるか…。仕事を引退して、少しは時間に余裕ができてからかなぁ~。
首都圏と故郷・愛媛を結ぶ深夜高速バスの路線としては、この東京駅八重洲南口発のJR四国バスの松山行き高速バス(JRバス関東との共同運行便)のほかにも、新宿駅西口の新宿高速バスターミナル発で松山市駅経由八幡浜行きの伊予鉄道の高速バス(オレンジライナーえひめ:西東京バスとの共同運行便)がありますし、品川からは今治行きのせとうちバスの高速バス(パーレーツ:京急バスとの共同運行便)も出ています。
さらに今年1月までは、私が住む埼玉県さいたま市の大宮駅と愛媛県南部の宇和島市を結ぶ宇和島自動車の高速バス(ウワジマエクスプレス:西武観光バスとの共同運行便)が運行されていました。時々帰宅途中にその宇和島自動車の高速バスを新大宮バイパスで見掛けることがあり、行先を示す“宇和島”というLED表示を見て、ビックリしました。大宮発ですから走行距離はゆうに1,000kmを越えていて、どう考えてみても所要時間は15時間近くかかるのではないかと思われました。凄いです。(調べてみると、このほかにもツアーバス会社が運行許可を得て運行している深夜高速バスが幾つかあります。)
こうした生まれ育った故郷で見慣れたバスを大都会の喧騒の中で見掛けると、首都圏に住んでいても故郷愛媛としっかりと繋がっているんだなぁ~…ってことを実感し、ホッと心が癒されます。「これに乗れば、翌朝には愛媛。いつでも故郷に帰れる。じゃあ、もうちょっと頑張ってみるか…」。故郷を遠く離れて首都圏に出てきて頑張っている愛媛県人にとっての“心の糸”のようなものですね。
この感情は海外の空港で日本のJALやANAの機体を見掛けた時の感情と似てはいますが、バスという日常的に間近で見掛ける乗り物だけに、私のような地方出身者にとってはインパクトはより強いものがあります(^^)v これは愛媛県出身の私だけでなく、きっと他の地方出身の方も同じ感情を持つのではないかな…と、私は思っています。地方出身者の皆さん、いかがですか?
宇和島自動車が今年1月で運行を休止したように、運行を続けていくにはいろいろな意味で大変なことだとは思いますが、故郷との“心の糸”を切らさないために、これからも頑張って運行を続けていただきたいと思っています。
東京駅八重洲南口で20時20分発の『ドリーム松山号 JR松山駅行き』を見送った直後、今度は20時30分発『ドリーム高知号 高知駅経由はりまや橋行き』のJRバス関東の三菱ふそう・エアロキング車が入線してきました。四国方面へ向かう深夜高速バスは、そのあと、20時50分発『ドリーム高松号 高松駅経由観音寺駅行き』、21時10分発『ドリーム徳島号 徳島駅経由阿南駅行き』と続きます。この日は急いで帰る必要もなかったので、しばらくそれらの四国方面行きのバスが発車していく様子を眺めてから帰路につきました。
帰宅途中の電車の中では、なぁ~んかホッコリとした優しい気持ちになれました(^-^)v
執筆者
株式会社ハレックス
前代表取締役社長
越智正昭
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