2016/02/05
南の島に雪が降る
先月(1月)の24日(日)から25日(月)にかけて、全国的に大寒波に襲われ、特に沖縄地方では上空に流れ込んだ非常に強い寒気の影響で、気温が平年よりかなり低くなりました。このため、沖縄地方の気象庁が設置している観測所において、1月の日最低気温の低いほうからの記録や、日最高気温の低いほうからの記録を更新するところが続出しました。国頭村の奥では24日午後8時18分に3.4℃を観測しました。沖縄気象台によると、1970年代後半にアメダスが導入されて以降、沖縄本島で気温が4℃を下回ったのは初めてのことなのだそうです。
また、1月24日の夜遅くから25日の未明にかけて、久米島や沖縄本島北部の名護において、“みぞれ”を観測しました。“みぞれ”の観測は、久米島では1977年2月17日以来39年ぶりとなるほか、沖縄本島では1890年の観測開始以来初めての観測となりました。
ちょうど妻が1月23日から25日にかけて、その沖縄県名護市に出張していました。出張とは言え、35年ぶりの沖縄ということで、出掛ける前は「暖かい沖縄なので、なにを着ていこうかな…」と言いながら、かなりテンションが高めだった妻も、現地からは「なに、これ!?(@_@) 埼玉よりも寒い!!(>_<)」と悲鳴のようなメールを出してきました。沖縄は寒さに対する備えが不十分なため、会議室の室内も相当冷え込んだようで、コートを着たまま会議に出席していた…と、帰宅後、言っていました。
全国版のニュースではそれほど報道されなかったようですが、その沖縄県の雪騒動から4日後の1月29日(金)、沖縄地方は今度は各地でなんとなんと“夏日”を観測しました。南から湿った暖かい空気が流れ込んできた影響で気温がグングン上昇。最高気温は下地島空港で27.5℃まで上がり、1月の最高気温を更新しました。また、波照間や新石垣空港でも27.2℃まで気温が上昇。那覇市でも最高気温が25.5℃まで上昇しました。那覇市で1月下旬に気温が25℃超えたのは、1988年1月22日に観測した26.8℃以来28年ぶりのことです。
わずか4、5日のうちにこれだけの温度差。セーターにマフラー、ダウンコートを羽織っても寒く感じた僅か数日後に、今度は半袖Tシャツでも暑く感じるような極端な気候の変化です。沖縄の方々は、いったいなにを着ればいいのか迷ってしまい、さぞや大変だったと思います。自律神経をおかしくされた方も続出したのではないでしょうか(私は体質的にこのような極端な気候の変化に弱く、すぐに自律神経をおかしくしちゃいます)。
後追いになりますが、この急激な(極端な)気温の変化を偏西風の流れを中心に検証してみたいと思います。
図1は1月24日09時(JST)における偏西風の蛇行の様子(GSM全球モデル)を海面更正気圧と重畳して表示したものです。これをご覧いただくとお分かりいただけると思いますが、偏西風は中国大陸内陸部に居座る非常に強い高気圧を回り込むように南と北に分かれたコースで西から東に流れています。特に北側のコースをとる偏西風は北極からの非常に冷たい寒気を巻き込んで流れている様子が見て取れます。この北側と南側の2つのコースを辿ってきた偏西風が中国の東北部(旧満州地方)で合流して、日本列島に流れ込んできたわけです。
この特に北側を流れる偏西風が運んできた非常に冷たい寒気の影響で、図2では地上1,500メートル付近でもマイナス20℃を下回るような猛烈な寒気の一団が日本列島、それも西日本を襲っている様子が見て取れます。これが1月24日から25日にかけて沖縄県を含む西日本一帯を襲った大寒波の正体です。
いっぽう、図3~図5は1月29日15時(JST)における偏西風の蛇行の様子(GSM全球モデル)です。
これらの図をご覧いただくと、1月24日09時(図1)と比べ、偏西風の流れるコースが微妙に異なっていることに気付かれると思います。特に北側のコースを流れる偏西風は少し緯度の高いところを流れるようになり、その流れの中心は北海道あたりに北上しています。これにより、北海道では降雪になっているものの、西日本では平年並みの気候に戻ったわけです。さらに沖縄県地方では南側を流れる偏西風が少しコースを南下させ、太平洋の暖かく湿った空気を運んできたため、急激に気温を上昇させ、夏日を招いたと考えられます。
まさにボブ・ディランの名曲『風に吹かれて』の最後の歌詞、「The answer, my friend, is blowin’ in the wind.(友よ、答えは流れる風の中にある)」ですね。
【追記】
題名の『南の島に雪が降る』は、俳優の加東大介さん(故人)が書いた従軍経験手記(小説)の題名です。初版は1961年9月でベストセラーになり、のちに映画化、テレビドラマ化されました。太平洋戦争(大東亜戦争)末期、飢えとマラリアに苦しむ南方のニューギニア戦線で、兵士の慰安と士気高揚のため作られた劇団の物語(実話に基づく小説)です。南の島(ニューギニア)で紙吹雪の雪を見た兵士達が日本を懐かしんで涙するシーンがとても印象的でした。
父が読んでいたのでしょう、自宅の居間に置いてあったので、題名に惹かれて読み、夏休みの宿題の読書感想文を書いたことがあります。確か私が小学校6年生の時のことです。なので、この本の題名や内容は今でも覚えています。まぁ~、小学校6年生の子供が読書感想文を書くような本ではなかったですね(^_^;)
また、1月24日の夜遅くから25日の未明にかけて、久米島や沖縄本島北部の名護において、“みぞれ”を観測しました。“みぞれ”の観測は、久米島では1977年2月17日以来39年ぶりとなるほか、沖縄本島では1890年の観測開始以来初めての観測となりました。
ちょうど妻が1月23日から25日にかけて、その沖縄県名護市に出張していました。出張とは言え、35年ぶりの沖縄ということで、出掛ける前は「暖かい沖縄なので、なにを着ていこうかな…」と言いながら、かなりテンションが高めだった妻も、現地からは「なに、これ!?(@_@) 埼玉よりも寒い!!(>_<)」と悲鳴のようなメールを出してきました。沖縄は寒さに対する備えが不十分なため、会議室の室内も相当冷え込んだようで、コートを着たまま会議に出席していた…と、帰宅後、言っていました。
全国版のニュースではそれほど報道されなかったようですが、その沖縄県の雪騒動から4日後の1月29日(金)、沖縄地方は今度は各地でなんとなんと“夏日”を観測しました。南から湿った暖かい空気が流れ込んできた影響で気温がグングン上昇。最高気温は下地島空港で27.5℃まで上がり、1月の最高気温を更新しました。また、波照間や新石垣空港でも27.2℃まで気温が上昇。那覇市でも最高気温が25.5℃まで上昇しました。那覇市で1月下旬に気温が25℃超えたのは、1988年1月22日に観測した26.8℃以来28年ぶりのことです。
わずか4、5日のうちにこれだけの温度差。セーターにマフラー、ダウンコートを羽織っても寒く感じた僅か数日後に、今度は半袖Tシャツでも暑く感じるような極端な気候の変化です。沖縄の方々は、いったいなにを着ればいいのか迷ってしまい、さぞや大変だったと思います。自律神経をおかしくされた方も続出したのではないでしょうか(私は体質的にこのような極端な気候の変化に弱く、すぐに自律神経をおかしくしちゃいます)。
後追いになりますが、この急激な(極端な)気温の変化を偏西風の流れを中心に検証してみたいと思います。
図1は1月24日09時(JST)における偏西風の蛇行の様子(GSM全球モデル)を海面更正気圧と重畳して表示したものです。これをご覧いただくとお分かりいただけると思いますが、偏西風は中国大陸内陸部に居座る非常に強い高気圧を回り込むように南と北に分かれたコースで西から東に流れています。特に北側のコースをとる偏西風は北極からの非常に冷たい寒気を巻き込んで流れている様子が見て取れます。この北側と南側の2つのコースを辿ってきた偏西風が中国の東北部(旧満州地方)で合流して、日本列島に流れ込んできたわけです。
この特に北側を流れる偏西風が運んできた非常に冷たい寒気の影響で、図2では地上1,500メートル付近でもマイナス20℃を下回るような猛烈な寒気の一団が日本列島、それも西日本を襲っている様子が見て取れます。これが1月24日から25日にかけて沖縄県を含む西日本一帯を襲った大寒波の正体です。
いっぽう、図3~図5は1月29日15時(JST)における偏西風の蛇行の様子(GSM全球モデル)です。
これらの図をご覧いただくと、1月24日09時(図1)と比べ、偏西風の流れるコースが微妙に異なっていることに気付かれると思います。特に北側のコースを流れる偏西風は少し緯度の高いところを流れるようになり、その流れの中心は北海道あたりに北上しています。これにより、北海道では降雪になっているものの、西日本では平年並みの気候に戻ったわけです。さらに沖縄県地方では南側を流れる偏西風が少しコースを南下させ、太平洋の暖かく湿った空気を運んできたため、急激に気温を上昇させ、夏日を招いたと考えられます。
まさにボブ・ディランの名曲『風に吹かれて』の最後の歌詞、「The answer, my friend, is blowin’ in the wind.(友よ、答えは流れる風の中にある)」ですね。
【追記】
題名の『南の島に雪が降る』は、俳優の加東大介さん(故人)が書いた従軍経験手記(小説)の題名です。初版は1961年9月でベストセラーになり、のちに映画化、テレビドラマ化されました。太平洋戦争(大東亜戦争)末期、飢えとマラリアに苦しむ南方のニューギニア戦線で、兵士の慰安と士気高揚のため作られた劇団の物語(実話に基づく小説)です。南の島(ニューギニア)で紙吹雪の雪を見た兵士達が日本を懐かしんで涙するシーンがとても印象的でした。
父が読んでいたのでしょう、自宅の居間に置いてあったので、題名に惹かれて読み、夏休みの宿題の読書感想文を書いたことがあります。確か私が小学校6年生の時のことです。なので、この本の題名や内容は今でも覚えています。まぁ~、小学校6年生の子供が読書感想文を書くような本ではなかったですね(^_^;)
執筆者
株式会社ハレックス
前代表取締役社長
越智正昭
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