2016/02/12

仮説と検証

ネットワーク、メディア、ITなどのインフラが発達した現在では、どのような地域でも同じ情報、同じ商品・商材、同じサービスが手に入るようになりました。その結果、他社よりアドバンテージのある商品・商材、サービスを持っている企業は稀で、ほとんどの業種において、差がほとんどない、すなわち同じようなものでライバルとの熾烈なビジネス競争をしているのが実状のような状況になっています。

分かりやすいようにクルマを例にすると、例えば、ファミリーカーとして人気の高いミニバンですが、N社のミニバンとT社のミニバンを買い手側の視点で比較した場合、それぞれの仕様や装備について、日常の使用に支障を来たすような大きな差があるようには思われません。

家電製品にしても同じことです。地デジ化で各社注力しているテレビにしても、S社のテレビとP社のテレビを比較した場合、ミニバンと同様に大きな差は見受けられません。

我々気象の業界においても同じです。「この会社にしかできない!」…ということや、「ここに頼むしかない!」…というような特化した商品・商材、サービスはほとんど見当たりません。仮にそのような商品・商材、サービスがあれば、今日のような価格競争にはならないはずです。

しかし、どのような状況でも、買い手側は手に入れたいものを購入し、希望するサービスを提供してくれる企業を選んでいます。逆にいうと、差のないようなもの、同じようなものを提供していても、買い手側に選ばれている企業が必ずあるわけです。

提供する商品・商材、サービスが選ばれるために、あるいは営業スタイルやマネジメントが市場に受け入れられる必要があります。このため、営業で成功している会社では次のようなことにこだわり続けているようです。

1.商品・商材、サービスの品質と価格
2.提供している企業のイメージ、信頼度
3.担当している営業の言動
4.サポートする技術スタッフの対応
5.マーケティングや販促
6.商品・商材、サービスの開発力
7.人脈、つながり

売り手側は、自社が提供する商品・商材、サービス、また営業スタイルやマネジメントが市場に受け入れてもらえるだろう…、そしてライバルに勝って注文してもらえるだろう…という「仮説」を立てて、準備を行い、そして行動します。

それを実際に市場に問いかけてみることで「検証」が始まります。売り手側の「仮説」と買い手側の反応の結果、すなわち「検証」に大きな差が生じれば受注は不可能であり、差がない、あるいは差が少なければ受注の可能性が高くなります。

仮説を立てて結果の検証を繰り返して、その差をできる限り少なくすることが、売り手側である企業が存続するために必要なこととなります。

ともすれば、売り手側は受注成功例や自分自身に都合のよい結果だけを成果として記録に残しがちです。しかし、大事なのは成否の結果ではなく「なぜ弊社が選択されたのか?」、あるいは「なぜ他社が選択されたのか?」という結果の理由を明確にすることにあります。

買い手側が自社のどのような部分に共感したのか、また、どのような部分が気に入らなかったのか等々…、結果を検証しその記録・履歴を残すことが大切です。しかし、当社もそうですが、残念ながらそれらがあまり重視されていないというのが現状ではないでしょうか?

検証の履歴を残し、“仮説”と“検証結果”の差をなくすこと


      ……それが強い営業力を生み出す唯一の道と私は考えます。