2016/04/11
チャンピョン石本康隆選手、タイトル初防衛に成功!!
やったぁ〜!、やってくれました‼︎ 4月2日、格闘技の聖地、東京・後楽園ホールで行われたプロボクシング日本スーパーバンタム級タイトルマッチで、私が熱烈応援している香川県高松市出身のチャンピョン・石本康隆選手(帝拳ジム)が、指名挑戦者の同級1位・藤原陽介選手(ドリームジム)を3対0の大差の判定で破り、タイトル初防衛を果たしてくれました。(^O^☆♪
ばんざぁーい、ばんざぁーい‼︎ *\(^o^)/**\(^o^)/*
石本康隆選手は昨年12月に3度目のタイトル挑戦となった日本スーパーバンタム級王座決定戦で、同級1位(当時)の久我勇作選手ワタナベジム)と対戦。序盤は9歳も年下の若い久我選手の強打に手を焼いている感じもしましたが、久我選手のパンチがヒットして鼻血を出した第3ラウンド以降、突然目覚めたように本来の石本選手のボクシングが蘇り、正確な左ジャブで確実にポイントを稼ぎ、また相手が攻勢になってくるとクリンチで寸断するなど、34歳のベテランらしい巧みな試合運びで、3対0の判定勝ち。デビュー14年目、プロ35戦目にして、念願の日本タイトルのチャンピョンベルトを奪取しました。そして、この日4月2日にその初防衛戦に臨んだわけです。
(日本スーパーバンタム級チャンピョン、いっしもとぉ~やっすたかぁ~!)
初防衛戦決定後、私は友人2人と石本選手を囲むささやかな激励会を開催し、10グラムでもパンチに重みが加わるように‥‥と厚めのステーキをご馳走したのですが、果たしてその効果は出るのでしょうか‥‥。
(チャンピオン石本康隆選手、初防衛戦決定!)
事前に入手した情報によると、石本選手の状態は上々だということでしたので、この4月2日が来るのを本当に楽しみにしていました。しかし、試合当日の昼過ぎにチャンピョン石本康隆選手本人から「東側A10席にいるうちの弟に越智さんのTシャツ3枚預けています。受け取って応援よろしくお願いします。応援のノボリですが、第4試合が始まったら赤コーナー裏に来てください! 必ず勝ちます!」というメールが届きビックリしました! Σ(・□・;)
すぐに私からは「了解しました。おぅ!頑張れ! 勝利を信じています!!」というメールを返しましたが、これには本当にビックリしました。今日、これから大事な大事な日本タイトルの初防衛戦に臨もうかという選手、それも日本チャンピョンが、応援してくれるファンのことを気遣って、このようなメールを出してくるとは‥‥。よっぽど気持ちが落ち着いているのか‥‥。まぁ〜、この律儀さというか気配りの良さ、人間性が石本康隆選手の魅力と言えば魅力なのですが、それでもこのメールを貰った時、正直、今日は大丈夫なのか‥‥と少し心配しちゃいました。
この日(4月2日)の後楽園ホールは第37回のチャンピョンカーニバルの一環で行われる試合で、石本選手の日本スーパーバンタム級のタイトルマッチに加えて、それよりもうちょっと重い階級の日本スーパーフェザー級タイトルマッチの試合も組まれたダブルタイトルマッチだったので、石本選手の試合はセミファイナルでした。
私はこの日の初防衛戦が来るのを指折り数えるくらいメチャメチャ楽しみにしていたこともあり、またこの日は週末の土曜日だったこともあり、応援団集合時刻の17時20分よりも随分前に後楽園ホールのある水道橋駅に到着しました。この日、東京ドームではプロ野球パ・リーグのソフトバンクホークス対北海道日本ハムファイターズの試合があり、レプリカユニフォームを身に纏った両チームのファンが大勢観戦に訪れていました。セ・リーグでは、この日、我等が阪神タイガースがデーゲームで横浜DeNAベイスターズを8対3で撃破し、大好きな藤川投手がタイガース復帰後初勝利を挙げてくれました。これは幸先がいいです。石本康隆選手もやってくれることでしょう。
東京ドーム周辺でしばし時間を潰し、一番乗りで石本応援団の待ち合わせ場所に。そこにはお世話役の香川県人会幹事の齋藤さんが待っておられました。いつもいつもお世話になります。こういう献身的にお世話をしていただける方がいらっしゃるから、私達も楽しめます。本当に頭が下がります。m(_ _)m
後楽園ホールの外にはこの日の試合のポスターが貼られていましたが、さすがに日本チャンピョン、そのポスターには石本康隆選手の写真がデッカク載っていました。これは嬉しいです。一気に気分は観戦モードに切り替わり、ファンとしても気持ちが大いに昂ぶってきます。
齋藤さんからチケットを受け取り、後楽園ホールの入っているビル名物の落書きだらけの階段を昇って会場へ。2月に催した石本選手の激励会に参加してくれた友人2人も、もちろん一緒です。彼等もこの日の初防衛戦を本当に楽しみにしてくれていたようです。それにしても、この後楽園ホールの階段の落書きは凄すぎです。左右の壁面だけでなく、なんと床までもがビッシリと落書きで埋め尽くされています。格闘技の聖地らしく、たぶんプロレスを観て興奮した観客が書き残したのでしょう。落書きもここまで来ると立派な“アート”ですね。しまった、写真を撮り損ねてしまいました。まぁ、仮に撮っていたとしても、内容的に不適切なものが多く含まれていますので、なかなかここには載せにくいのですが‥‥。(笑)
後楽園ホールに入ると正面ロビーの壁面上部に現在の世界チャンピョンと東洋太平洋チャンピオン(日本人ボクサーのみ)、それと日本チャンピョンの写真が飾られているのですが、そこにも日本スーパーバンタム級チャンピオンとして我等が石本康隆選手の写真が飾られていました。なんだか誇らしくなってきます。
この日の試合は日本タイトルマッチ2試合のほか、4回戦2試合と8回戦2試合の計6試合が組まれていました。17時45分、試合開始。私達が観戦した席は南側の正面、F26〜29の席。リングからの距離も近く、ちょうど目線の高さがリング上で戦っている選手と同じくらいの高さになる席なので、観戦には絶好です。いい席を用意していただきました。私達の横には香川県人会関係の石本選手の応援団が陣取っていましたが、背後には対戦する藤原選手の応援Tシャツを着込んだ人の姿もあります。
その第1試合、東日本新人王戦ライトフライ級の予選(4回戦)はデビュー戦同士の一戦でしたが、郡司勇也選手(帝拳ジム)が亀山大輝選手(ワタナベジム)に4回判定(2対1)で勝利しました。両選手とも19歳で、この試合がデビュー戦。デビュー戦らしく若さと気負いが感じられる試合でした。2対1という判定結果が物語るように、どっちが勝ってもおかしくない拮抗した内容の試合で、負けた亀山選手も黒星デビューで気落ちすることなく、これからも頑張って欲しいものです。
第2試合は東日本新人王戦スーパーバンタム級の予選(4回戦)で、舟山大樹選手(帝拳ジム)が飯塚誠選手(金子ジム)に第3ラウンド開始早々のテクニカルノックアウト(TKO)勝利、次戦に駒を進めています。第3ラウンド開始早々の舟山選手の強烈なパンチが飯塚選手の顔面にクリーンヒット。2度のダウンを奪い、レフェリーストップによるテクニカルノックアウト(TKO)になりました。o(^_-)O
第3試合はスーパーバンタム級の8回戦で、堀池雄太選手(帝拳ジム)がシラパチャイ・シットチャーンシン選手(タイ)に第2ラウンド、レフェリーストップによるテクニカルノックアウト(TKO)で勝利を収めました。このタイの選手、本来はキックボクサーではないかと思えるほどガードの位置が低い選手で、あれじゃあ顔面に簡単にパンチを喰らってしまいます。大丈夫、下からキックは来ませんから。
第2試合、第3試合とTKOで決着がつく試合が続いたので、やたらと早くプログラムが進行していきます。石本選手がリングに入場する際には応援団有志が応援の幟を掲げて花道を飾ることが恒例になっています。12月に行われた王座決定戦の際に私も初めてその応援の幟を掲げる係を務めさせていただいたのですが、その試合で石本選手が勝利してだい39代の日本スーパーバンタム級チャンピオンの座についたので、“勝利の男神”としてのゲンを担いで、この初防衛戦でも引き続き応援の幟を掲げる係を務めさせていただくことにしました。昼過ぎに届いた石本選手からのメールのとおり、第4試合が始まる前に石本選手の弟さんから受け取った応援Tシャツを着込んで赤コーナー裏の通路のところに行きました。
通常、前座の試合を幾つか観戦しながら、ボクシングの観戦眼を慣らすのですが(パンチが当たったかどうかを見極めるには目をある程度慣らしておかないといけません)、この日はその余裕はありませんでした。応援団の有志が集まり、幟の最終的な組み立てです。2回目ですし、試合後の祝勝会などで知った顔がほとんどなので、ひときわ年上の私ですが、温かく迎えてくれました。リングサイドの応援席で観戦している女性からは「社長!、今日も“勝利の男神”をよろしくお願いします!」との声もかかりました。「おうよっ! 任せとけ‼︎」 o(^▽^)o
赤コーナーのリングサイドにはWBC世界バンタム級チャンピオンで10回防衛中の山中慎介選手(確か)の顔も見えます。山中選手も帝拳ジムの所属なので、仲間の応援に来ているのでしょう。山中選手はバンタム級で、石本選手はその1つ上の階級のスーパーバンタム級、メインイベントの日本スーパーフェザー級タイトルマッチに登場するチャンピオンの尾川堅一選手(帝拳ジム)もそのちょっと上の階級なので、この3人はスパーリングなどでよく一緒に練習している間柄なのではないか‥‥と勝手に想像してしまいました。
さすがにボクシングの名門・帝拳ジムです。現役の世界チャンピョンをはじめ、元世界チャンピョン、次期世界チャンピョンを狙う有力な世界ランカーが揃っています。帝拳ジム主催の試合ではそういう選手がリングサイドにゾロゾロ顔を見せますし、それ以外の試合でも顔を出したりします。
石本選手が日本チャンピョンのタイトルを獲得した昨年12月の試合には当時WBC世界ライトフライ級チャンピョンのタイトルを獲得したばかりの木村悠選手が応援に駆け付けていました(木村悠選手は今年3月4日に行われた初防衛戦に12回判定で敗れ、王座防衛に失敗し、先日引退を表明しました)。
その前の試合では、2012年のロンドン五輪で日本人選手として48年ぶりのボクシング金メダルを獲得し、現在WBC世界ミドル級5位、IBF同5位、WBO同8位につけて今年中にも世界タイトル挑戦が期待されている村田諒太選手がリングサイドに応援に来ていて、私のすぐ横を通り過ぎて行きました。その際、私が「村田ぁ〜、ぜったい世界を獲れよ!」と声を掛けると、村田選手は右の拳を掲げて応えてくれたので、きっと今年中にはやってくれると思っています。 こういう選手をすぐ間近で見られるのもボクシング観戦の魅力です。
この日の第4試合はスーパーフライ級8回戦で、喜久里正平選手(帝拳ジム)が東洋太平洋フライ級12位のジェイアー・ディアマ選手(フィリピン)と対戦したのですが、TKOで早々と決着がついたまえの2試合と異なり、この試合は一進一退で、決め手に欠く膠着した試合展開が続きます。ジェイアー・ディアマ選手がスーパーフライ級に似合わないほどの背の低い選手で、喜久里選手もパンチを上から打ち下ろす感じになって、なかなか顔面にヒットせず、やりづらそうに感じました。結局、8回判定(3対0)で喜久里選手の勝利に終わったのですが、応援の幟の準備を早々と終えた私達石本応援団の面々は長さの調整を終えた幟を持ちながら、赤コーナー裏の通路のあたりでじっと待機していました。その時間のなんて長かったことか‥‥。
第4試合が終わり、さぁて次はいよいよセミファイナル、石本康隆選手の登場する日本スーパーバンタム級タイトルマッチです。対戦する相手は指名挑戦者の同級1位・藤原陽介選手(ドリームジム)。ちなみに、プロボクシングにおいて、チャンピオンに対して一定期間の間に義務付けられるタイトルマッチのことを指名試合と呼びます。王座認定団体が挑戦者を指名することからこう呼ばれており、挑戦者は指名挑戦者と呼ばれます。指名挑戦者はほとんどの場合、その時点でのランキング1位の選手で、今回の藤原陽介選手も試合前の時点で日本スーパーバンタム級の1位にランキングされていた選手です。いっぽう、指名試合に対し、通常のタイトルマッチはチャンピョンに挑戦者の選択権が認められることから選択試合と呼ばれます。今回の石本康隆選手の試合は、昨年12月の王座決定戦でタイトルを獲った直後の試合なので、指名試合になったと思われます。
藤原陽介選手は29歳。島根県出雲市の出身で、2008年全日本スーパーフライ級新人王の実績を持つ正統派タイプのボクサーで、これまでの戦績は19戦して16勝(4KO)3敗。デビューから約8年半かけてのタイトル初挑戦になります。試合前のおおかたの予想では、経験の差から石本選手が優位とのことなのですが、若くてパンチ力もあるので決して侮れない相手です。初めてのタイトル挑戦ということで、序盤からガンガンやって来ると思われますので、石本選手としては序盤の試合の入り方が大きな鍵を握ると思われます。藤原選手は島根県出雲市の出身ということで、青コーナー側の壁面には「出雲の希望の星 藤原陽介」という横断幕が掲げられています。
これから日本タイトルマッチということでセミファイナルの前にしばし休憩タイムが入り、私達応援団はさらに待たされます。一度高まった戦闘気分が萎えかかるので、幟を持つ応援団全員で円陣を組んで気合い入れ! この試合のためわざわざ福岡から駆け付けた応援リーダーの掛け声のもと、「ぜったいにタイトルを守るぞ! おおっ!!」。私、こういうの大好きです。( ^ ^ )/□( ^ ^ )/■
いよいよ選手入場。最初に青コーナーから挑戦者・藤原陽介選手が入場してきました。なかなか精悍な面構えをしています。胸に「出雲」、背中に「島根県」と白字で書かれた黒いTシャツ姿です。「島根県出身者初のチャンピオンになりたい」という藤原選手の意気込みが感じられます。そっちが47都道府県で2番目に人口が少ない島根県なら、こっちは47都道府県で最も面積の狭い香川県です!o(`ω´ )o
続いて赤コーナーからいつものテーマ曲にのってチャンピオン石本康隆選手が入場してきました。私達応援団が幟を持ってリングまでの花道を飾ります。「続いて、赤コーナーからチャンピオン石本康隆選手の入場です!」というリングアナウンサーの声が場内に鳴り響いてからも、なかなか石本選手は出てきません。じらすなぁ〜って声が幟を持つ我々応援団からも漏れる中、ついに石本選手が入場です。ふだんの石本康隆クンとは違って、入場してきたチャンピオン石本康隆選手は闘争本能丸出しの獣のような目をしています。私の目の前を通り過ぎる時、「頑張れ! 石本!」と声をかけたのですが、耳に入っていないのか真っ直ぐに前を見据えたままです。そうとう気合いが入っています。身体の肌ツヤもよく、体調は万全のようです。これならやってくれるでしょう。
両選手入場の後、リング中央でレフェリーの試合前の注意があり、カーン!と乾いた音で試合開始のゴングが鳴り響きました。さぁ〜、いよいよタイトル初防衛に向けた10ラウンドが始まりました。
私は第1ラウンドを赤コーナー裏の通路のところで応援の幟を片付けながら眺めていました。序盤の入り方が鍵だと思っていましたが、石本選手は冷静に相手の出方を見ているようです。上々の立ち上がりと見ました。第1ラウンドの3分間が終わり、第2ラウンドまでの間に観客席に戻りました。
第2ラウンドも第1ラウンドに引き続きちょっと間合いを取ったスタンスで左のジャブを繰り出しながら相手の出方の探り合うような試合展開が続いていましたが、そういう中で石本選手が右ストレートを一閃。この右ストレートでダウンを奪いました。藤原選手は一瞬何が起こったのかわからない‥‥といった表情をしましたし、石本選手のほうも同じく一瞬何が起こったのかわからない‥‥といった表情をしたように私は読み取りました。あのパンチで相手がダウンするとは、おそらく石本選手も予期していなかったのではないでしょうか。そのくらい速い右ストレートでした。あの激励会のステーキが効いたか(笑)
その後も石本選手が優位な戦い方を展開します。第5ラウンド終了時点での採点は3人のジャッジとも49対45の大差で赤コーナー石本選手の優勢との判定。そうでしょそうでしょ。手数は挑戦者・藤原選手のほうが幾分多いようにも見えましたが、石本選手はパンチが当たる寸前のところでうまくそのパンチをかわし、なかなか有効打を与えません。反対に石本選手は相手に先に打たせてカウンターを狙う作戦だったように見て取れました。確実に相手の顔面にパンチをヒットさせ、藤原選手の顔がラウンドを重ねるうちに赤く腫れあがっていくのが分かります。
その後も石本選手は攻勢に試合を進めながらも、疲れてきたのかベテランらしい老獪な戦法で故意にやっているのかは私のような素人には判断は付きませんが、クリンチで相手の攻撃を寸断する場面が目立つようになってきます。第7ラウンドには石本選手の足が止まったように見え、藤原選手の右ストレートを再三受ける反撃を食らいます。頭を下げて防戦するも、偶然のバッティング(頭突き)で前頭部を2箇所も裂傷し、流血する場面も…。2度目のバッティングでは藤原選手も左まぶたから出血する流血戦となります。
かなりヒヤッとしましたが、次の第8ラウンドでは攻勢に持ち直し、続く第9ラウンドには右アッパーでこの試合2度目のダウンを奪いました。私なんぞここで一気に攻めてノックアウト(KO)勝ちでのタイトル初防衛を期待して、「倒せ! 倒せ!」と大声を張り上げて声援しましたので、声が嗄れてしまいましたが…。石本選手も一気に攻めて倒しにかかったようですが、結局ノックアウトには至りませんでした。激励会でのステーキの量がちょっと少なかったかな‥‥。10グラム程度のパンチ力の増量では足りなかったのかもしれません。次回はもうちょっと大きめのステーキを食べていただいて、さらにパンチ力を増やしてもらわないといけません。
ノックアウトには至らなかったのですが、確実にポイントを稼ぎます。リードをさらに広げ、第10ラウンド終了のゴングが鳴り、勝敗は3人のジャッジによる判定に持ち込まれました。採点の結果は3人のジャッジとも98対90の8ポイント差と言う大差がついて、3対0でチャンピョン石本康隆選手の勝利。日本スーパーバンタム級チャンピョンのタイトルの初防衛を果たしました。
試合後の勝利者インタビューで、石本選手はジョーク交じりに「僕にKOは期待してないと思う。滅多にダウンをとったことがないので焦りました。迷いがあり、後手になり、力んで雑になってしまいました…」と反省ばかりを口にしていました。
試合後に行われた祝勝会で石本選手に聞くと、セコンドについたトレーナーや帝拳ジムの会長から「王者が先にクリンチしているようではダメだ!」と、メチャメチャ叱られたそうです。う~~~~ん、私もそう思います。老獪な試合巧者ぶりは石本選手の持ち味ですが、見栄えは決して良くはありません。ましてやチャンピョンなんだから。大相撲でも先場所14勝1敗で優勝した横綱の白鵬関の取組み内容について「横綱の品格を欠く」という声が殺到しているようですが、横綱や王者は単に勝てばいいってものじゃあないというのも日本人のメンタリティです。勝つのなら、王者らしく美しく勝つ! ましてやこの試合、3人のジャッジとも98対90の8ポイント差と言う大差をつけて石本選手が優勢と判断したくらいですから、素人の私が見てもあのクリンチの多用は不要だったように思います。
石本選手は現在WBOの世界ランキングで第9位と世界タイトルも十分視界に入ってきています。石本選手は勝利者インタビューでは、「この試合じゃ恥ずかしいけど、世界を目指しています。収穫は勝ったことだけです。これから練習します。皆さん、応援ほんとにありがとうございました」…と続け、初防衛を果たしたにも関わらず、喜びはちょっと少なめでした。初防衛は果たしたものの、世界タイトルを目指すにあたって次に乗り越えなければならない課題が見つかった試合だったということでしょう。そのように前向きに捉え、これからも頑張って精進し続けていただきたいと、ファンとしても願っています。
ちなみに、この試合の勝利で、石本選手の戦績は28勝(7KO)8敗となりました。試合後、優しそうな目をして対戦相手の藤原選手に健闘を称えあう姿は、いつもの石本康隆クンに戻っていました。いいですねぇ〜。
続くこの日のメインイベントは日本スーパーフェザー級タイトルマッチ。チャンピオンの尾川堅一選手(帝拳ジム)が指名挑戦者である同級1位の杉田聖選手(奈良ジム)の挑戦を受ける試合でした。尾川選手もこの試合が初防衛戦でしたが、ここまでの戦績は18戦して17勝1敗。17勝のうち14勝がKO勝ちというハードパンチャーです。対する杉田選手も14戦して11勝2敗1分。11勝のうち7勝がKO勝ちというハードパンチャー。どちらが勝つにしても判定にまで持ち込まれることはなく、ノックアウト(KO)での決着は必至だろうと期待できる一戦でした。セミファイナルで石本康隆選手が勝利し、タイトルの初防衛を果たした後でしたので、この試合は気分よく、冷静に観戦することができました。石本選手が勝ってくれたおかげです。
試合は開始から優位に試合を進めた尾川選手がダウンこそ奪えないものの第5ラウンド終了時の採点で3対0(50-45、49-46、48-47)とリードすると、迎えた第9ラウンド、尾川選手の強烈な左フックが炸裂してダウンを奪います。立ち上がろうとする杉田選手でしたが、大きく身体をよろめかせると同時にセコンドからタオルが投げ込まれ、第9ラウンド1分36秒、尾川選手のノックアウト(KO)勝利で試合終了となりました。ハードパンチャー同士の破壊力抜群の試合は、期待どおりのノックアウト(KO)での決着になりました。
それにしてもこの試合、私がこれまでナマで観てきたボクシングの試合の中で最も面白い試合ではなかったかと思います。勝利して初防衛を果たした尾川堅一選手はまだ28歳。ガードが甘いところがあり、不用意に相手のパンチを受けてしまうところがありますが、十分に世界タイトルが狙える選手だと思いました。現在、WBCスーパーフェザー級第8位。今後を注目したい選手です。
試合後の勝利者インタビューでは、尾川選手は2人の男のお子さんもリングに上げ、インタビューに応えていました。さっきまで獣のような怖い目つきの顔をしてリング上で戦っていた尾川選手が、その時はすっかり優しいパパの目に変わっていました。
試合後に開催された石本康隆選手の祝勝会、もちろん律儀な石本康隆選手は顔を出してくれました。次の試合は9月、2度目の日本タイトルの防衛戦です。次の試合では圧倒的な力の差を見せつけて勝利し、是非、世界に羽ばたく足がかりにしてほしいものです。
私は石本康隆選手を応援し続けます o(^▽^)o
【追記】
石本康隆選手も言っていましたが、石本康隆ファンは中年のオッサンが多いのだそうです。還暦を過ぎたオッサンの私もその1人ですが、中年のオッサンファンって試合を観にきても、ジッと黙って応援する選手の戦いぶりを見守るといった感じで、熱くなって声を限りに声援するといったことはまずありません。これはボクシングに限らず、野球やサッカーでも同じです。スポーツの試合を観てすぐに熱くなってしまうは、どうも私がオッサンとしては変わっているだけのことのようです。
この日の試合でも私は大声を出しての声援をずっと続けたのですっかり声が嗄れてしまい、翌週の前半まで仕事に支障が出たほどです。私は子供の頃、児童少年合唱団に入っていて、喉はそれなりに鍛えられていて、声が嗄れることって滅多にないことなので、ここまで私の声が嗄れるというのはよっぽどのことです。まぁ〜私は長年の阪神タイガースファンで、球場で大声を出して応援する(時として選手に聞こえるように野次る)のを当たり前のことだと思っているので、どんなスポーツでも同じように大声を出して一生懸命戦っている選手に対して声援を送ります。一緒に戦うって感覚ですね。
この日の石本選手の試合を観戦して思ったことは、石本康隆ファンの方々には申し訳ないのですが、石本康隆ファンは応援の仕方がイマイチ下手だってことです。他の選手の応援団と比べて声援の量が少ないように思えます。それも圧倒的に。この日、後楽園ホールに集まった石本康隆選手の応援団は約300名、尾川選手の応援団が500名だったということですので、後楽園ホールの収容人員を考えると対戦相手側の応援団の数はごく僅かだった筈です。それでも声援の大きさでは負けているように思えたのは問題だと私は思います。声援の大きさは選手を勇気づけることだけにとどまらず、ジャッジの判定に少なからず影響を与えることもありますので、石本選手が世界タイトルを狙う上でも、応援団としてもここは改善すべき点だと私は思います。
石本応援団も石本康隆選手と一緒に世界タイトルを目指したい、と私は思っています。
執筆者
株式会社ハレックス
前代表取締役社長
越智正昭
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