2016/09/05
中山道六十九次・街道歩き【第4回: 大宮→桶川】(その4)
氷川鍬神社やJR上尾駅から歩いてすぐの右奥に「遍照院」というとても立派な寺院があります。その遍照院の山門前左手に、前述の二賢堂の創設者である山崎武平治の墓を示す標識が立っていますが、実際の墓は墓地の北端にあるのだそうです。墓地の西側の中程に「孝女お玉の墓」があります。お玉は越後柏崎の貧しい家に生まれ、親の生活を楽にしようと11歳の時に上尾宿の大村楼に身を売り、遊女になりました。大変美しくしかも気立てが良かったことから、19歳の時、参勤交代の加賀前田藩の小姓に見初められ、ともに江戸へ向かいました。しかし、2年後、病に倒れ、一度上尾に戻ったのですが、25歳で帰らぬ身になりました。憐れんだ大村楼の主人が建てたという墓石は自然石を縦に板状に切って、表面を機械で鏡のように磨き上げた立派なもので、江戸時代の墓石には見えなかったのだそうです。今あるものは再建されたもののようですが、それもなかなか立派な墓石です。
旧中山道に戻り、さらに4~5分歩いた図書館西交差点の手前右手の歩道際に庚申塔があります。いつ建立されたものかはっきりとは分かりませんが、青面金剛と見ざる言わざる聞かざるの三猿の浮彫りもはっきりしていて、なかなか保存状態のいい庚申塔です。
その向こう側、信号を渡ると、その先に真っ黒な大きな建物が見えてきます。明治27年創業の酒蔵文楽という名のこのあたりでは老舗の造り酒屋なのだそうです。
はなみずき通りとの緑丘地下横断道交差点の右手角に「上尾宿」の碑と上尾宿案内板があり、その屋根瓦の上にも「鍾馗様」が乗っています。屋根に鍾馗様を乗せるというのは、どうも上尾宿特有の風景のようです。ここが上尾宿の京方、すなわち京都側の入り口で、ここまでが上尾宿というわけです。上尾宿案内板には渓斎英泉の「木曽街道六十九次」に描かれた上尾宿の浮世絵の写真が掲げられているのですが、前述のようにその絵に描かれている風景はどちらかと言うと大宮宿に近い賀茂神社の風景で、上尾宿は遠景でも描かれておりません。
JR北上尾駅入口を通過し、しばらく街道を歩いた久保西交差点の東角地に黒板塀の上にうっそうと樹が茂った「須田家」があります。塀が高く、樹木が鬱蒼と茂って内部はよく窺えませんが、屋敷内には幾つかの土蔵や古い建物が幾つも残っているようです。この須田家、かつては最上地方についで全国2位の生産量を誇った桶川紅花の仲買を行っていた豪商だったのだそうです。豪商ならではのとても大きな屋敷です。
上尾宿と桶川宿はさして遠くはありません。途中、休憩のためJR高崎線沿いにある諏訪雷電神社と言う厳めしい名称の神社に立ち寄っても、歩いて僅か1時間足らずの距離です。ところどころに畑地が残る住宅地の中を歩き、富士見通り交差点を渡ると桶川市に入ります。
……(その5)に続きます。
旧中山道に戻り、さらに4~5分歩いた図書館西交差点の手前右手の歩道際に庚申塔があります。いつ建立されたものかはっきりとは分かりませんが、青面金剛と見ざる言わざる聞かざるの三猿の浮彫りもはっきりしていて、なかなか保存状態のいい庚申塔です。
その向こう側、信号を渡ると、その先に真っ黒な大きな建物が見えてきます。明治27年創業の酒蔵文楽という名のこのあたりでは老舗の造り酒屋なのだそうです。
はなみずき通りとの緑丘地下横断道交差点の右手角に「上尾宿」の碑と上尾宿案内板があり、その屋根瓦の上にも「鍾馗様」が乗っています。屋根に鍾馗様を乗せるというのは、どうも上尾宿特有の風景のようです。ここが上尾宿の京方、すなわち京都側の入り口で、ここまでが上尾宿というわけです。上尾宿案内板には渓斎英泉の「木曽街道六十九次」に描かれた上尾宿の浮世絵の写真が掲げられているのですが、前述のようにその絵に描かれている風景はどちらかと言うと大宮宿に近い賀茂神社の風景で、上尾宿は遠景でも描かれておりません。
JR北上尾駅入口を通過し、しばらく街道を歩いた久保西交差点の東角地に黒板塀の上にうっそうと樹が茂った「須田家」があります。塀が高く、樹木が鬱蒼と茂って内部はよく窺えませんが、屋敷内には幾つかの土蔵や古い建物が幾つも残っているようです。この須田家、かつては最上地方についで全国2位の生産量を誇った桶川紅花の仲買を行っていた豪商だったのだそうです。豪商ならではのとても大きな屋敷です。
上尾宿と桶川宿はさして遠くはありません。途中、休憩のためJR高崎線沿いにある諏訪雷電神社と言う厳めしい名称の神社に立ち寄っても、歩いて僅か1時間足らずの距離です。ところどころに畑地が残る住宅地の中を歩き、富士見通り交差点を渡ると桶川市に入ります。
……(その5)に続きます。
執筆者
株式会社ハレックス
前代表取締役社長
越智正昭
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