2017/11/02
PMAJ特別賞
さる9月14日に開催された特定非営利活動法人 日本プロジェクトマネジメント協会(PMAJ)主催の「PMシンポジウム2017」での2017年度 PMAJ表彰式におきまして、PMAJ特別賞を受賞しました。
この賞はPMAJが主催するPMセミナー、PMシンポジウムにおいて優れた講演をして、プロジェクトマネジメント(PM)の発展に貢献したことに対するもので、対象になった講演は以下の通りです。
新春PMセミナー2014「ビッグデータ活用で人々の生命と財産を守る」
PMシンポジウム2015「気象ビッグデータの活用で社会を元気に!」
このほか、大阪において2015年に開催された新春PMセミナー2015でも「ビッグデータ活用で人々の生命と財産を守る」という題名で講演をさせていただいております。
2017年度PMAJ表彰式(日本プロジェクトマネジメント協会HP) -外部リンク
これらの講演はここ数年、弊社ハレックスが取り組んでおります気象庁から配信される気象ビッグデータを活用したオリジナル気象情報サービス「HalexDream!」の開発と事業展開の考え方について述べさせていただいたもので、聴いていただいた方々からのご評価が特に高かったということで、今回の受賞になったのだそうです。
プロジェクトマネジメント(プロジェクト管理:Project Management)とはプロジェクトを成功裏に完了させることを目指して行われる活動のことで、日本プロジェクトマネジメント協会(PMAJ)では『P2M』と呼ばれるプロジェクトマネジメントの知識体系を主催し、そのP2Mに基づくPMC(プロジェクトマネジメントコーディネーター)、PMS(プロジェクトマネジメントスペシャリスト)という2つの認定資格を出しています。
日本プロジェクトマネジメント協会HPトップページ -外部リンク
私も40年近く、主としてコンピュータシステムの開発という面で幾多のプロジェクトに携わってきましたが、まさかプロジェクトマネジメントの分野でこのような栄えある賞を受賞するとは思ってもみませんでした。これまでやってきたことが認められた思いがして、大変に嬉しく思っております。
授賞式では次のような挨拶をさせていただきました。
この度は栄えある賞をいただき、本当にありがとうございます。
近年、「データドリブン経営」や「データドリブンマーケティング」など、「データドリブン」という言葉が多くの場で使われるようになりました。データドリブン(Data Driven)とは、売上データやマーケティングデータ、WEB解析データなど、世の中に存在する膨大なディジタルデータに基づいて様々な判断やアクションをすることです。
ハンガリー出身のアメリカ合衆国の数学者、ジョン・フォン・ノイマンが現在のほとんどのコンピュータの動作原理である「プログラム内蔵方式(ストアードプログラム方式)ディジタルコンピュータ」に関する論文を発表したのが1945年。それから約70年が経過し、コンピュータは劇的とも言える目覚しい発展を遂げ、世の中を根底から変えていきました。最初は高価かつ大型で一部の人の一部の目的でしか使えなかったコンピュータも、使用する半導体素子の集積度の向上により、急速に小型化、低廉化が図られ、また、ディジタル通信技術の進展とあいまって、私達、一般庶民がいつでもどこでも気軽に使うことができるとっても身近なものになってきました。今やコンピュータなくして世の中は成り立たないと言っても過言ではありません。
いっぽうで、コンピュータはこの約70年間、膨大な量のディジタルデータを世の中に送り出し、さらに、今この時も絶え間なく新たなディジタルデータが大量に生み出されています。このディジタルデータの活用に注目が移っているのは必然とも言える時代の流れのようなもので、これからはこのディジタルデータを征するものがマーケットを征する時代、すなわち「データドリブン社会」がやって来るとも言われています。
私が今回、栄えある特別賞をいただいた講演(東京2回、大阪1回)は、極めて近い将来にそうしたデータドリブン社会が間違いなく到来するであろうことを見据えて、民間気象情報会社である弊社ハレックスで8年前から取り組んできた事例についてご紹介したものです。
私は「世の中の最底辺のインフラは地形と気象」だという考え方を持っており、気象に関する情報は世の中のあらゆる業種業態に少なからず関係する極めて重要なインフラ情報であると考えています。インフラ情報ということは気象データが1つの“変数”として様々な業務システムや制御システムに簡単に組み込まれる…そういう形にならないといけないと考えています。しかも気象データは規模が大きいことに加えて、更新頻度が多いという特徴があります。気象庁がオープンデータとして公開している気象データは数値データに限っても1日約5万電文、約50ギガバイト、気象観測衛星のデータまで加えると1日約1テラバイトにも及ぶビッグデータです。そのデータが持つ潜在的な可能性をどのように容易に引き出せるようにするか…、これはこれまで誰も成し遂げたことのないもので、私のこれまでのエンジニアとしてのプロジェクト経験が最大限に問われるような難問でした。
時代に先駆けてこれまでにない新しいサービスや仕組みを構築する際の最大の難問は他に参考とすべき事例が見当たらないこと。何を作ればいいのかさえ手探りで探さないといけないことでした。その難問を解決したのは、将来的な利用イメージを見据えて、どうすれば利用者にとって使いやすい情報提供をするのかという目的志向に徹したことだったように思います。また、果敢なチャレンジの連続でしたが、そのチャレンジを成功に結びつけたのは愚直なまでに基本に忠実に…という姿勢だったのではないかと、今、振り返っています。
文字通り暗中模索・試行錯誤の連続で、大変にリスキーなプロジェクトではありましたが、反面、大変に“夢”が感じられるプロジェクトでもありました。それで名付けたサービス名称が「HalexDream!」です。その「HalexDream!」に込めた弊社の思いをお客様が認めていただき、徐々に導入事例が増えていっていることは、PM(プロジェクト・マネージャー)としてこの上ない喜びです。
余談ですが、開発開始から3年間に渡る果敢なチャレンジの連続でしたが、講演でご紹介した仕組みは、その新奇性と独創性が認められて、今年6月に特許庁よりビジネスモデル特許を取得しました。また、弊社の事業もこれまでのような単なる情報提供ビジネスから、この仕組みをベースとしたより付加価値の高いソリューションビジネスへと大きく様変わりしてきており、様々な産業分野でご活用が始まっています。
実ビジネスでの経験に基づく私のこの講演が皆様方の今後のビジネスの参考となり、新しい商品やサービス、施設等を世の中に送り出すうえで少しでもお役に立つことができるのであれば、これ以上の喜びはありません。
最後にプロジェクトマネジメント協会様と会員の皆様方のますますのご発展を祈念いたします。今回は本当にありがとうございました。
執筆者
株式会社ハレックス
前代表取締役社長
越智正昭
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