2018/04/05
東京都心お花見ウォーク
3月31日(土)、妻を誘って東京都心部の主な桜の名所を辿る『お花見ウォーク』に行ってきました。スタートポイントは日比谷公園。日比谷公会堂の前がスタートポイントでした。
日比谷公園の目の前にはNTT日比谷ビルが建っています。このNTT日比谷ビルは現在、NTTコミュニケーションズの本社が置かれていますが、かつてはこのビルに日本電信電話公社(電電公社)の本社が入っていました。私が昭和53年(1978年)4月1日に電電公社に入社した時、このビル(当時は“日比谷電電ビル”と呼ばれていました)の6階にある講堂で入社式がありました。あの時も目の前の日比谷公園の桜がとても綺麗に咲き誇っていたのを思い出します。あれから40年が経過しました。その節目の時にここに来れて良かったです。
また、このNTT日比谷ビル(日比谷電電ビル)には20歳代後半の4年間勤務した思い出があります。当時の私は技術局伝送部門という部署の所属で、加入者線ディジタル伝送担当、PCM伝送担当、搬送担当という担当で、東京~名古屋~大阪と言った幹線ルートの大容量中継伝送路から電話局間の中容量中継伝送路、さらにはラストワンマイルとも言うべき加入者線伝送路(通信回線)のディジタル化に向けての各種伝送装置や伝送制御システムの実用化の仕事に従事させていただきました。当時はアナログ通信全盛期でしたが、光ファイバケーブルの敷設が全国的に始まった時期で、通信路網のディジタル化が急ピッチで進められている時で、会社に何泊も連続して泊まり込んで仕事をするほどメチャメチャ忙しかったのですが、日本の通信路網をディジタルに変えるという本当にやりがいのある仕事に従事させていただくことができたと思っています。自分で頑張ったというとなんとも手前味噌になりますが、あの当時の頑張りが、間違いなく今の時代の通信環境を作り上げるベースになったという思いと誇りは持っています。
さらには昭和60年(1985年)の電電公社が民営化されてNTTになる直前の3ヶ月間はこのNTT日比谷ビル(日比谷電電ビル)の裏手にあった霞が関電話局に置かれていた総裁室企画室勤務として、民営化に向けての組織整備の仕事の一端も経験させていただきました。ディジタル交換機やディジタル伝送装置のソフトウェア開発組織の立ち上げの仕事で、その時に立ち上げた開発組織が、現在のNTTコムウェアに発展しています。振り返って考えてみると、20歳代後半のビジネスマンとして最も伸び盛りの時の経験だっただけに、このNTT日比谷ビル(日比谷電電ビル)で勤務していた時の経験が、今の私の原点のようなものになっています。なかなか得難い、ホントいい経験をさせていただいたところです。
また、妻と知り合って付き合っていた頃がこのNTT日比谷ビル(日比谷電電ビル)勤務の頃で、前述のように私がメチャメチャ忙しかったこともありますが、当時助産師として病院で働き泊まり勤務もあった妻とはなかなかデートの時間が取れず、お昼休みにこの日比谷公園のベンチに座って妻が作ってきてくれたお弁当を食べながら話をするのが私達二人のデートでした。なので、日比谷公園は私と妻との思い出の場所でもあるんです。
そんな日比谷公園の30数年前にちょうど妻とお昼休みお弁当デートを楽しんでいたあたりは、チューリップが満開に咲き誇っていました。色とりどりで綺麗です。また、ところどころに植えてある桜もちょうどこの時が満開で綺麗です。
祝田門のところで日比谷公園を抜け、祝田橋を渡り、桜田門までかすめるように皇居の中を歩きます。桜田濠の皇居の正門、そして二重橋があるあたりにも桜が咲いています。
桜田門で皇居を抜け、内堀通りを時計回りに進みます。桜の花に囲まれた国会議事堂もいいですね。これぞ日本国の立法府!…って感じがします。
内堀(桜田濠)を右手に見ながら、三宅坂の緩い勾配を登っていきます。この日は雲一つない快晴で、気温も20℃近くまで上昇し、ウォーキングをしていても長袖シャツでは汗ばむほどでした。半袖Tシャツでもよかったくらいです。この陽気で桜の開花が一気に進み、今年、週末にお花見が楽しめるのはこの週末(3月31日、4月1日)が最後って感じです。
国立劇場です。歌舞伎や文楽、狂言といった日本国の伝統芸能の聖地のようなところですので、日本の国花である桜の花が本当に似合います。
半蔵門です。天皇・皇后両陛下も皇居の中の桜の花を楽しまれておられるのでしょうか。遠くに見える皇居の中の桜も満開のようです。
ここからは九段下まで千鳥ヶ淵の縁道を歩きます。白いソメイヨシノ(染井吉野)や、ピンクに色づいたシダレザクラ(枝垂桜)など、この千鳥ヶ淵の桜並木は本当に見事です。
この日も多くのお花見客が来ていて、歩くのに苦労するほどでした。特に目につくのが海外からのお客様。千鳥ヶ淵の縁道でお花見を楽しんでいる花見客全体の3割~4割は外国人観光客って感じです。欧米人、インド人、中国人、韓国人…、ホントいろいろな国の方々が日本の美しい桜を観て、楽しんでいただいています。きっと、この時期を狙っての日本(特に東京)観光ツアーが世界中で組まれているのでしょうね。そうした海外からのお客様はこの美しい東京の桜を観て、日本のことを間違いなく好きになってくれることでしょう。
ここに植えられている桜は一般的なソメイヨシノ(染井吉野)やシダレザクラ(枝垂れ桜)だけではありません。新しい品種の桜も植えられています。これは「舞姫」という新しい品種の桜です。説明書きによると、この舞姫は公益財団法人日本花の会創立50周年を記念して命名された桜で、日本花の会桜見本園にある八重紅枝垂に実った種子から生まれたものです。ソメイヨシノ(染井吉野)の後から葉に先立って薄紅色八重咲きの花を咲かせる美しい桜です(農林水産省品種登録第20923号)。
それにしてもお堀の水面に映る桜の花もあって、千鳥ヶ淵の桜は見事です。
千鳥ヶ淵戦没者墓苑です。この日も参拝の方の姿が何人もありました。
散った桜の花びらが帯状に水に浮かんで流れて行く様のことを筏に見たてて「花筏(はないかだ)」と呼びます。その花筏の中を何艘ものボートが遊覧しています。気持ち良さそうです (でも、ボート乗り場は長い長い行列ができていました。その長い行列で待たされても、それを凌駕するほどの気持ちよさではないかと思われます)。
千鳥ヶ淵の縁道脇にはツバキ(椿)やモクレン(木蓮)をはじめ、様々な草花が咲いています。
この薄紫色の花はアブラナ科のオオアラセイトウ(大紫羅蘭花・諸葛菜)です。このオオアラセイトウは中国原産の越年草で、まだまだ日本ではあまり見掛けませんが、春に咲く美しい紫色の花ということで、世界中で人気の花のようです。
これはアヤメ科アヤメ属のシャガ(コチョウカ)です。中国原産の植物で、アヤメ(文目)やハナショウブ(花菖蒲)より幾分早く開花し、根茎から匍匐枝を伸ばしてうす暗い林の下などに群生するのが特徴です。花は一日しかもたず、開花した翌日には萎んでしまいます。
東京の桜と言えば、ここを訪れないわけにはいきません。靖国神社です。
2018年3月17日(土)、気象庁は平年より9日早く、また昨年(2017年)より4日早く東京都心の桜(ソメイヨシノ)の開花宣言を出しました。東京都心の桜の開花の定義は、千代田区の靖国神社境内にある桜の標本木(ソメイヨシノ)の花が 5~6輪以上開いた状態となった時のことを言います。そして8割以上開いた状態になった時が満開日となります。その靖国神社の標本木が下の写真の左側で、能楽堂に枝がかかるこの木です!
気象庁が満開日の宣言をしたのがこの日の1週間前の3月24日(土)。あれから1週間が経ち、さすがに標本木に開花している花は少なくなっていましたが、そのほかの木はまだまだ満開で咲き誇っていました。私と妻がちょうどこの気象庁の桜の標本木にところに来た時、一陣の風が吹き抜け、たくさんの桜の花びらが散り、そしてまさに“桜吹雪”のようにヒラヒラとその周囲一面に舞いました。皆さん、見上げているのはその桜吹雪です。靖国神社で桜吹雪………、私の頭の中で軍歌の『同期の桜』が流れました。この日、靖国神社に参拝に見えられている方々には私と同じ世代か年上の世代の方が大勢いらっしゃいました。なので、私と同じように頭の中で『同期の桜』が流れた方も多かったのではないでしょうか。靖国神社では先の大戦で尊い命を散らされた御英霊の皆さまに「私達が現在平和な世の中で幸せに暮らさせていただいているのも皆さまのおかげです。ありがとうございます」と心の中で呟き、二礼二拍一礼で参拝させていただきました。
靖国神社の二の鳥居を潜って境内を出ようとした時、二の鳥居の横で真っ白な鳩を見かけました。真っ白い鳩といえば平和の象徴です。靖国神社で、桜吹雪と真っ白い鳩……、御英霊の皆さんが何かを私達に伝えようとしているのだ……と、私は汲み取りました。何を伝えようとしているのか、私にはよぉ〜く分かります。
靖国神社を後にして九段下、そして神田小川町に向かいます。これはこれは、昔懐かしいチンドン屋さんです。私が子供の頃は街中でよく見掛けました。テレビやインターネットによる広告の普及でこのところすっかり街中で見掛けなくなりましたが、まだ頑張っておられるんですね。それも比較的若い年代の方々が…。このチンドン屋さんも立派な日本の“伝統芸能”です。
神田小川町を左折し、御茶ノ水を目指します。御茶ノ水のシンボルとも言うべき「ニコライ堂」です。「ニコライ堂」は通称であり、正式名称は「東京復活大聖堂」(Holy Resurrection Cathedral in Tokyo)といい、イエス・キリストの復活を記憶するための大聖堂で、日本正教会の府主教座教会です。「ニコライ堂」の“ニコライ”は、日本に正教会の教えをもたらしたロシア人修道司祭(のち大主教)であった聖ニコライに由来します。「ニコライ堂」の建築面積は約800平方メートル、緑青を纏った高さ35メートルのドーム状の屋根が特徴であり、日本で初めてにして最大級の本格的なビザンティン様式の教会建築といわれています。1891年に竣工し、駿河台の高台に位置したため、御茶ノ水界隈のシンボルになっています。関東大震災で大きな被害を受けた後、一部構成の変更と修復を経て現在に至っており、1962年、国の重要文化財に指定されました。
聖橋(ひじりばし)で神田川を渡ります。右下にJR中央線と総武線の御茶ノ水駅があり、目の前を東京メトロ丸ノ内線の線路を通っています。神田川を花筏が流れ、JR中央線と東京メトロ丸ノ内線の電車が走る……、高層ビルが建ち並ぶ近代的な風景の中にも古き伝統が残る、先ほどのチンドン屋さんもそうですが、これが現在の日本の首都東京の姿です。そういうところ、私は大好きです。
聖橋を渡った先にあるのは湯島聖堂です。湯島聖堂に祀られているのは孔子です。この湯島聖堂は江戸幕府5代将軍徳川綱吉によって建てられた孔子廟であり、後に幕府直轄の学問所である昌平坂学問所、すなわち「昌平黌(しょうへいこう)」となったところです。教育・研究機関としての昌平坂学問所は、幕府天文方の流れを汲む開成所、種痘所の流れを汲む医学所と併せて、後の東京大学へ連なる系譜上に載せることができるほか、この地に設立された東京師範学校(現在の筑波大学)や東京女子師範学校(現在のお茶の水女子大学)の源流ともなりました。また、敷地としての昌平坂学問所の跡地は、そのほとんどが現在は東京医科歯科大学の湯島キャンパスとなっています。
湯島聖堂前交差点の横断歩道で本郷通り(国道17号線)を渡り、右折したところにあるのが神田明神です。神田明神はちょうど2年前に『中山道六十九次・街道歩き』を始めた時に訪れました。すなわち、この前の通りが旧中山道です。「中山道六十九次・街道歩き【第1回:日本橋→板橋】(その2)」にも書きましたが、神田明神は天平2年(730年)に出雲氏族で大己貴命(おおなむちのみこと)の子孫・真神田臣(まかんだおみ)により武蔵国豊島郡芝崎村(現在の東京都千代田区大手町の将門塚周辺)に創建された神社です。その後、平将門を葬った墳墓(将門塚)周辺で天変地異が頻発し、それが将門の御神威(祟り)として人々を恐れさせたため、時宗の遊行僧・真教上人が手厚く将門の御霊を慰め、さらに延慶2年(1309年)、神田明神に祀られました。慶長5年(1600年)、天下分け目の合戦と言われた関ヶ原の戦いが起きると、徳川家康が合戦に赴く際にここで必勝の祈祷を行い、見事に勝利し、天下統一を果たしました。それにより、神田明神は幕府の尊崇する神社となり、元和2年(1616年)に江戸城の表鬼門守護の場所にあたる現在の場所に遷座し、幕府により社殿が造営されました。明治時代に入り、社名を神田明神から神田神社に改称したのですが、今でも一般的には神田明神と呼ばれていて、東京の守護神となっています。
神田明神と言えば、名物の甘酒です。この日もちょっと疲れも出てきたので、神田明神名物の甘酒をいただいて先を進みました。
緩い坂道を下り、神田明神下交差点を左折して直進すると、この日のゴール上野恩賜公園が見えてきます。
不忍池(しのばずのいけ)にも花筏ができています。それもデッカイ! この花筏からも想像できるように、不忍池の周囲の桜は今が満開、散り始め…ってところで、ベストなタイミングで訪れることができた…って感じです。
これは立派な八重桜です。花冠がデッカイ!
上野恩賜公園では白や淡いピンク、濃いピンクといった様々な種類の桜が今が盛りと咲き誇っていました。
新種の桜も幾つかあります。これはエイゲンジ(永源寺)という品種の桜です。
こちらはヤエベニシダレ(八重紅枝垂)です。
こちらはシロタエ(白妙)。オオシマザクラ系サトザクラの園芸品種です。八重桜でツボミは淡いピンク色。花は白色で、花びらは10〜15枚ほどあります。大輪の花が咲き、大木となるようです。淡いピンクの色を帯びたツボミと白い花のコントラストが、非常に可愛らしく、凛とした清楚な印象の桜です。私はこのシロタエがこれまで見た桜の中で一番気に入っちゃいました。外国人観光客にも人気の桜のようです。
これはまた何という品種の桜なのでしょうか? もしかしてウメ(梅)? 非常に濃い細いピンク色をした花弁が八重になって花冠を形成しています。しかも濃い香りが漂っています。
この日の上野恩賜公園には多くのお花見客が押し寄せていました。公園内のあちこちでお花見の宴が繰り広げられています。いいですねぇ〜。こんな見事なまでに咲き誇った桜の花を見ていると、日本人に生まれて本当に良かったなぁ?って思えてきます。
しばらく上野恩賜公園内を散策したのですが、上野動物園で昨年6月に生まれたジャイアントパンダの雌の赤ちゃん、シャンシャン(香香)の一般公開が昨年の12月から始まっていることもあり、上野恩賜公園の園内は人、人、人……。せっかく上野に来たのだから国立科学博物館や東京国立博物館に立ち寄ってもいいな…と思ったのですが、そこもどうも人気の特別展をやっているらしく入場券を購入するまでに30分待ちという大盛況の状況。とにかくあまりの人の多さに酔っちゃいそうになったので、JR上野駅から京浜東北線の電車に乗って帰宅しました。
この桜は自宅近所の公園で咲いていた桜です。1本の木の中に淡いピンク色をした花が咲いてる枝と、濃いピンク色をした花が咲いている枝が混在している珍しい桜の木です。もしかすると、枝を接ぎ木したものかもしれません。紅白…って感じで、おめでたい桜ですね。
この日も歩数にして23,233歩、距離にして17km歩きました。いつもの街道歩きと異なり、こういうウォーキングもたまにはいいものですね。それにしてもメチャメチャ人が多くて、17kmという距離以上にとにかく疲れました。でも、気持ちよかったです。年度替わりの気分転換には最適でした。
執筆者
株式会社ハレックス
前代表取締役社長
越智正昭
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